【試合レビュー】静岡と名古屋の首位攻防戦は激闘の末ドロー、優勝決定は最終節へ|2026なでしこリーグ1部 第21節

試合レビュー

2026プレナスなでしこリーグ1部は第21節。全22節のリーグ戦も残り2試合となり、首位・静岡SSUボニータと2位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋が直接対決を迎えた。

この試合に勝利すれば、静岡は悲願のなでしこリーグ1部初優勝が決まる。一方、名古屋が勝利すれば勝点で静岡を逆転し、首位に浮上する。引き分けの場合は優勝決定が最終節に持ち越され、3位・オルカ鴨川FC、4位・ヴィアマテラス宮崎、5位・伊賀FCくノ一三重にも逆転優勝の可能性が残る。

両チームだけでなく、上位5チームの優勝争いを左右する重要な首位攻防戦となった。

第10節の前回対戦では、名古屋がセットプレーから2点を先行。整理された守備組織と多彩な攻撃で静岡を圧倒し、3-0で今季初黒星をつけている。

優勝争いの行方を大きく左右する一戦は、両チームの高い守備強度とゴールに向かう推進力が際立つ好ゲームとなった。

前半は静岡が鋭い攻撃で決定機を作り、名古屋も徐々に試合の流れを引き寄せる。後半は名古屋が攻勢を強めたものの、静岡の堅い守備を崩し切れず。

互いにゴールを許さないまま0-0で引き分け、優勝チームの決定は最終節へ持ち越された。

この記事の要点

  • 静岡は横山久美・中島咲友菜・三輪玲奈を中心に鋭い攻撃を仕掛けるも、名古屋の粘り強い守備に阻まれ無得点。
  • 名古屋は後半の主導権を握り、静岡を押し込む展開を作った。
  • 両チームの堅守が光る0-0。静岡は首位を維持し、名古屋も逆転優勝の可能性を残して最終節を迎える。

試合情報

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試合展開

静岡が猛然とプレス、横山久美のシュートはクロスバー直撃

試合は立ち上がりから静岡が積極的に仕掛ける展開となった。

前半開始早々、スローインの流れから#10横山久美が巧みなターンで相手をかわし、ペナルティエリアの角付近からシュート。強烈な一撃はクロスバーを直撃し、いきなり名古屋ゴールを脅かした。

静岡は名古屋がゴールキーパーを起点にパスをつなごうとすると、#8三輪玲奈・#9中島咲友菜・#10横山久美らが連動して前線からプレスをかける。
ゴールキーパーやセンターバックに時間と余裕を与えず、相手のパス精度を落としたところから一気にゴールへ迫った。

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攻撃面でも、横山がボールを収めると積極的にゴール方向へプレーを進め、シュートや味方へのラストパスにつなげていく。

中島は半身の姿勢でボールを受け、前を向くと一気に加速。相手を振り切るドリブルから縦へ突破し、名古屋の守備陣に脅威を与えた。

静岡が得意とする前線のスピードと個人の突破力を生かし、試合開始から主導権を握ろうとする姿勢が鮮明だった。

中盤の攻防で名古屋が盛り返し、互いに決定機

しかし、15分を過ぎたあたりから名古屋も徐々に攻撃を組み立て始める。

名古屋は自陣でパスを回すことに固執せず、縦方向への配球を強く意識。右サイドでは#14上田真子が個人技で突破を図り、ボランチの#5安部由希子は低い位置からの配球に加え、相手守備の間にポジションを移してパスを引き出すなど、攻撃の起点となった。

守備で重要な役割を担ったのが#4逸見桃子だ。
中盤で相手の攻撃を跳ね返すだけでなく、最終ラインの前方を広くカバー。静岡の攻撃を中盤で食い止めることができれば、名古屋はサイドバックの#2夏目歩実・#24角田菜々子が積極的に攻め上がり、チーム全体で陣形を押し上げて静岡陣内に人数をかけた。

一方で、中盤を突破されると静岡の前線の突破力と枚数に対してセンターバックが後手に回る場面もあり、名古屋にとってはボールを失う位置が重要だった。
特に角田は、対面する中島への守備対応と攻撃参加の両方でハードワークを続けた。

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名古屋のプレスにも工夫が見られた。

静岡のビルドアップに対し、#14上田真子・#9水野亜美・#13仁木愛実・#8渕上野乃佳らが連動してプレッシャーをかけ、静岡の左サイドへボールを誘導する。
#15岸野早奈への配球に対しては、渕上・夏目・逸見らがボールを奪いに行き、そのままカウンターにつなげる場面が見られた。
静岡の逆サイドに位置する、フィジカルと得点力のある#9中島咲友菜への展開を制限しながら、ボールを奪う狙いがあったように見える。

そのため、名古屋の攻撃を受ける静岡の右サイドバック・#22上西可奈子には大きな守備負担がかかったが、持ち前のスピードとフィジカルを生かして対応。
また、中島咲友菜も守備に戻りながら低い位置でボールを受け、そこから一気に加速して攻撃に転じるため、名古屋は捕まえどころが難しい様子だった。

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互いに持ち味を発揮する中、35分に静岡が決定機を作る。

#22上西可奈子が右サイドからクロスを供給すると、ゴール前の#10横山久美が頭でボールをすらす。これに反応した#8三輪玲奈がゴールキーパーとの1対1の状況でヘディングシュートを放つが、名古屋GK#16流川桐佳が素早い反応でセーブ。
静岡は絶好の先制機を逃した。

対する名古屋も39分、静岡のゴールキックを#2夏目歩実が頭で跳ね返し、こぼれ球を拾った#5安部由希子が巧みな足技で相手をかわして#13仁木愛実にスルーパス。
仁木は静岡のCB#3彦坂桃花・#4青葉結衣を引き付けると、ファーサイドへ走り込んだ#14上田真子にパスを通す。

しかし、上田はボールコントロールにわずかに時間がかかり、その間に#5服部花音が素早くシュートコースを塞いでブロック。静岡も失点を免れた。

互いに高い守備強度を保ちながら、ボールを奪えば素早くゴールへ向かう。
前半は両チームが決定機を作りながらも、0-0で折り返した。

名古屋がラインを押し上げて猛攻、静岡は堅守とカウンターで対抗

後半に入ると、名古屋がさらに攻勢を強めた。

前線からのプレス強度を高め、最終ラインも押し上げることで陣形をコンパクトに維持。縦方向への配球を増やしながら、サイドバックも積極的に攻撃に加わって静岡を自陣に押し込んでいった。

前半は静岡の鋭いプレスに苦しむ場面もあったが、後半は名古屋がより高い位置でボールを奪い、攻撃を繰り返す時間が長くなった。

途中出場の#28永田晶子は、#2夏目歩実のクロスに合わせてゴール前へ飛び込み、立て続けにヘディングシュートを狙う。

しかし、静岡GK#21田谷春海がいずれも身体を張って対応。ゴール前に人数をかける名古屋に対し、こぼれ球を許さない確実なキャッチングでゴールを守った。

さらに名古屋はストライカーの#11藤原愛里を投入。
藤原は左サイドに開いてボールを引き出すと、自ら中央へ切り込んでゴールに迫ったが、静岡の#22上西可奈子が粘り強い守備で対応した。
名古屋はサイドを起点に攻撃の厚みを増し、静岡の最終ラインに繰り返しプレッシャーをかけ続けた。

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一方の静岡も守るだけではない。

中盤でボールを奪うと、#10横山久美・#9中島咲友菜を起点に素早く前線へ展開。ボランチやサイドバックも一気に駆け上がり、少ない手数でゴールへ迫る鋭いカウンターを見せた。

ただし、名古屋の守備陣も素早く戻って対応し、シュートまで持ち込ませない。静岡は攻撃の糸口を見つける場面こそあったものの、後半は決定機を作る回数が限られた。

名古屋は途中出場の#20増永朱里も右サイドでスピードを生かし、攻撃の起点となる動きやクロス、前線からのプレスで貢献。
交代選手を積極的に起用しながら運動量と攻撃の勢いを維持し、勝利を目指して攻め続けた。

藤原愛里の決定機も田谷春海が阻止、首位攻防戦はドロー

両チームが最後まで勝利を目指す中、後半アディショナルタイムに名古屋が決定機を迎える。

スローインの流れから生まれた中盤のこぼれ球を#28永田晶子が粘り強くつなぎ、#5安部由希子にボールを残す。
安部は静岡の最終ラインの背後へ抜け出した#11藤原愛里に、絶妙なスルーパスを通した。

藤原はGK田谷との1対1となり、ワンタッチで左足を振り抜く。しかし、田谷が冷静に反応してシュートをセーブ。
名古屋にとっては試合終了間際に訪れた絶好の勝ち越し機だったが、静岡の守護神がゴールを許さなかった。

試合はそのまま0-0で終了。

昨季王者の名古屋と、今季なでしこリーグ1部初優勝を目指す静岡による首位攻防戦は、互いの強みをぶつけ合う緊迫した90分間となった。

両チームとも最後まで高い強度を維持し、攻守の切り替えとゴールへ向かう推進力を発揮したが、相手の守備を破ることはできなかった。

勝点1を分け合う結果となり、優勝争いの決着は最終節へ持ち越された。

総括

静岡が勝てばなでしこリーグ1部初優勝、名古屋が勝てば首位逆転でリーグ連覇に近づいた重要な一戦は、両チームが持ち味を発揮しながらも守備陣が踏ん張り、0-0の引き分けに終わった。

中断期間明けの両チームの戦績や内容から、試合前は静岡が優位に進めると予想していた。しかし、名古屋は攻守の強度を高め、特に後半は静岡を自陣に押し込むなど、予想を上回るパフォーマンスを見せた。

静岡にとっては、初優勝を決める機会を逃した一戦となった。一方の名古屋も、静岡の優勝決定を阻止したものの、自力優勝の可能性を失った。

どちらも勝点3が欲しい状況で、互いに守備の強さとゴールに向かう積極性を見せたが、最後の一歩で相手の守備を崩し切れなかった。

だがひとつ言えるのは、どちらが勝利してもおかしくない、首位攻防戦にふさわしい好ゲームだった。

静岡SSUボニータ

静岡は、今季の強みである前線の高い個人能力と組織的な守備を、この試合でも発揮した。

横山久美・中島咲友菜・三輪玲奈らは、ボールを受ければ少ない手数でゴールへ迫り、名古屋に脅威を与え続けた。サイドバックの上西可奈子も攻守両面で存在感を発揮し、チームを支えた。

ただし、名古屋の強度の高い守備を前に、攻撃を継続できなかったことは課題として残る。
特に後半は押し込まれる時間が長く、中盤でボールを奪っても、素早く守備に切り替える名古屋を突破できない場面が増えた。

それでも失点を許さず、勝点1を確保したことは大きい。攻撃面を対策された場合でも、守備の安定感によって敗戦を回避できることが、今季の静岡の強さでもある。

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一方で、気になったのは選手交代のタイミングと人数だ。

静岡は83分に三輪玲奈を下げるまで交代カードを切らなかった。
拮抗した試合で先発メンバーを維持する判断にも合理性はある。実際、今季の静岡は先発選手たちの高い能力と組織の練度を強みに、首位を走り続けてきた。

しかし、名古屋が次々と交代選手を投入して運動量と攻撃の勢いを維持したのに対し、静岡は後半に主導権を取り戻すことができなかったように見えた。
交代策が試合の流れを変えたとまでは言い切れないものの、押し込まれる状況を打開するために、別の選択肢があったのではないかとも感じる。

今節で初優勝を決めることはできなかったが、最終節を残して首位を維持。得失点差でも名古屋を大きく上回り、優勝争いで最も有利な立場にいることは変わらない。

悲願の初優勝は、手の届くところまで来ている。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋

勝利こそできなかったものの、名古屋にとっては中断期間明けのベストゲームだったと感じる。
特に評価したいのは、相手ゴールへ向かうためのパス回しという目的が明確になっていたことだ。

今季の名古屋は、低い位置からのビルドアップを相手に狙われ、危険な位置でボールを失う場面が見られた。
しかし、この試合では無理にパスをつなぐことに固執せず、縦方向への配球を積極的に使うことで、静岡の強烈なプレスに対応した。

また、安部由希子と逸見桃子が中盤で果たした役割も大きかった。
安部は強度の高い守備に加え、相手の守備の間でパスを引き出して攻撃を組み立て、逸見は広範囲をカバーして静岡の鋭い攻撃を食い止めた。

この2人の働きが、名古屋の攻守のバランスを保つうえで重要だった。

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さらに、相手陣内でボールを奪い返す場面が増えたことも印象的だった。
チーム全体で陣形をコンパクトに保ち、自陣ゴールから離れた位置でプレーすることで、低い位置でボールを奪われる弱点を軽減。攻守の切り替えも速く、静岡のカウンターを封じながら攻撃を継続できた。

後半は交代選手の投入によって攻撃の厚みも増し、静岡を押し込む展開を作った。

それだけに、1点を奪えなかったことが惜しまれる。

後半アディショナルタイムの決定機をはじめ、得点の機会はあった。しかし、静岡の堅い守備を最後まで崩し切れることができず、自力優勝の可能性は途絶えた。

試合内容には大きな改善が見られた一方、優勝争いという観点では厳しい結果となった。
それでも、今節の名古屋は昨季王者としての力を改めて感じさせるパフォーマンスだった。

最終節も、この攻守の積極性と縦への強い意識を維持し、逆転優勝を信じて勝点3をつかみ取りたい。

順位表

第21節の全試合終了後に更新予定。

過去5試合:勝利 引き分け 敗戦

優勝条件

第21節 静岡x名古屋戦後

次節に向けて

静岡SSUボニータ

静岡SSUボニータは最終節、VONDS市原FCレディースをホームに迎える。
第11節の前回対戦では、静岡が5得点を奪って快勝している。

ただし、現在のVONDSは前回対戦時とは異なるチームになりつつある。

開幕から14連敗を喫したものの、中断期間明けは守備組織の改善が進んでいる。さらに攻撃面ではセットプレーだけでなく、流れの中からも得点を奪えるようになっている。

第20節には、静岡を第18節で破り5連勝中だった6位・ニッパツ横浜FCシーガルズを相手に、試合終盤までリードを保った。最終的には引き分けに終わったが、上位チームとも互角に渡り合えることを示している。

さらに、VONDS自身も残留争いの渦中にあり、最終節まで勝点が必要な状況が続く可能性が高い。
静岡にとって、前回のような一方的な展開を期待できる相手ではないだろう。

それでも、個々の能力と組織の完成度では静岡に分があると考える。
名古屋との勝点差は2ポイント。得失点差でも大きくリードしており、引き分けでも優勝の可能性が極めて高い状況だ。

ただし、最も確実なのは勝利すること。

今季を通して積み上げてきた強さを最後の一戦でも発揮し、悲願のなでしこリーグ1部初優勝をホームでつかみ取りたい。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋

朝日インテック・ラブリッジ名古屋は、最終節で岡山湯郷Belleとのアウェー戦に臨む。
第11節の前回対戦では、湯郷のハイプレスに苦しみながらも2得点を奪い、無失点で勝利している。

中断期間に多くの選手が移籍した湯郷は、チームの再構築を進めるなかで試合ごとの内容に振れ幅が見られる。10月17日に新たな移籍退団も発表され、選手の入れ替わりが続いている。

一方で、第20節では首位・静岡を相手に1-1の引き分け。持ち味のパスワークに縦への速さを加え、首位チームに対しても互角の戦いを見せている。

名古屋にとっては、決して簡単な相手ではない。
それでも、今節の静岡戦で見せたパフォーマンスを再現できれば、十分に勝機はあるだろう。

名古屋が逆転優勝を果たすためには、最終節で勝利することが最低条件となる。
同時に、静岡がVONDSに敗れるなど、他会場の結果も必要だ。

自力優勝の可能性は失ったが、昨季王者として最後まで優勝を諦めるわけにはいかない。

静岡戦で見せた攻守の強度、縦方向への強い意識、そして交代選手を含めた総力戦を再現し、最後の90分間を戦い抜きたい。

リソース

チーム紹介

静岡SSUボニータ
静岡SSUボニータの2026シーズン成績やスタッツ、横山久美を軸とした攻撃力と守備の安定を紹介。中島咲友菜、上西可奈子、彦坂桃花ら注目選手や試合レビューもまとめています。
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
朝日インテック・ラブリッジ名古屋の2026シーズン成績やスタッツ、丁寧なビルドアップと修正力を軸としたチームの特徴を紹介。橘麗衣、夏目歩実、渕上野乃佳、安部由希子ら注目選手や試合レビューもまとめています。

第21節 振り返り

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