2026プレナスなでしこリーグ1部は最終節を迎えた。
4位の伊賀FCくノ一三重は、11位の日体大SMG横浜をホームに迎えた。
伊賀は前節、国民スポーツ大会(国スポ)から短い間隔で臨んだVONDS市原FCレディース戦で1-1の引き分け。逆転優勝の可能性が消滅したものの、創部50周年の節目となるシーズンを勝利で締めくくりたい。
一方の日体大は前節、岡山湯郷Belleを相手に試合終了間際の連続ゴールで劇的な逆転勝利を収め、11位が確定。2部への自動降格は回避したが、1部残留を懸けて入替戦に臨むこととなった。
両チームの前回対戦は、伊賀が3-0で快勝している。
今回の対戦は、序盤こそ拮抗したものの、唐沢芽依の先制ゴールを機に伊賀が主導権を握る展開となった。
日体大も後半にカウンターから反撃を見せたが、伊賀は終盤まで高い運動量と攻撃の勢いを維持。追加点こそ奪えなかったものの、1-0でホーム最終戦を勝利で飾った。
この記事の要点
- 伊賀は平田ひなのが中盤に下りる動きから攻撃の選択肢を増やし、渡邊凜、米澤心花らの連係から唐沢芽依が17分に先制ゴール。
- 日体大は後半、安部美琴を起点としたカウンターで反撃。しかし、伊賀の攻撃を受ける時間が長く、同点ゴールを奪えなかった。
- 伊賀は運動量と球際の強さで優位に立ち、1-0で勝利。ただし、多くの決定機を作りながら追加点を奪えず、皇后杯に向けて決定力の課題も残した。
試合情報
試合展開
拮抗した立ち上がり、平田ひなのが最初の決定機
日体大は前節から先発メンバーを大幅に入れ替えて最終節に臨んだ。
立ち上がりは両チームともコンパクトな陣形を維持。中盤で素早くボールホルダーに寄せ、相手に自由に前を向かせない。最終ラインも背後へのボールを安全に処理し、互いに決定機を作らせない展開が続いた。
最初の決定機を作ったのは伊賀だった。
スローインからの攻撃で、#3秦美結が日体大のゴール前にクロスを供給。#10平田ひなのがペナルティエリア内で相手DFに競り勝ってボールを収め、反転して右足を振り抜いた。
しかし、日体大GK#1福田はなが素早く反応し、シュートをセーブする。
ゴールにはならなかったものの、この決定機をきっかけに伊賀が攻撃の勢いを強めていく。
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平田の動きから生まれたスペース、唐沢芽依が先制
伊賀の攻撃を活性化させたのは、ワントップの平田が中盤まで下りてくる動きだった。
平田が相手のボランチを引きつけることで、中盤にスペースが生まれる。そこへ#25上田彩葉や#8島野美央が前進し、伊賀は最終ラインから縦パスを通しやすくなった。
それまで日体大のマークによって前を向く機会を制限されていた#7渡邊凜にも、ボールを受けて仕掛ける余裕が生まれる。
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そして17分、この動きが先制点につながった。
秦美結の縦パスを受けた上田彩葉が、右サイドの渡邊へボールをつなぐ。
渡邊はドリブルで一気に前進すると、中央へ切れ込み、日体大の守備陣を内側へ引きつけた。
そこで生まれた右サイドのスペースへ走り込んだのが#23米澤心花だった。
渡邊からのスルーパスを受けた米澤は、ゴール前へ鋭いグラウンダーのクロスを供給。中央に飛び込んだ島野美央はわずかに届かなかったが、ファーサイドに詰めていた#24唐沢芽依が左足で押し込み、伊賀が先制した。
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複数の選手が連動し、少ない手数で相手ゴールに迫る、伊賀らしい攻撃が結実した先制点だった。
先制後も攻撃を緩めない伊賀、追加点は奪えず
先制点を機に主導権を握った伊賀は、その後も縦への素早い攻撃とサイドからの崩しを繰り返した。
#8島野美央の縦パスから#7渡邊凜が最終ラインの背後へ抜け出し、GKと1対1になる場面を作る。
さらに、#14増田玲那を経由した展開から、右サイドの#30橋沼真帆がクロスを供給。#10平田ひなのが合わせたシュートはクロスバーを直撃した。
伊賀は相手の守備陣を前後左右に揺さぶりながら、ゴール前に人数をかけていく。
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日体大も前半終盤にはシュートを狙う姿勢を見せ始めたが、伊賀は陣形のコンパクトさを保ち、ボールを奪うと迷わず前方へ展開。相手に主導権を渡さない。
前半41分頃には、バイタルエリアでボールを動かしながら#14増田玲那が立て続けにシュートを放つ。いずれもクロスバーを叩き、惜しくも追加点とはならなかった。
さらに前半終了間際にも、サイドからGKと最終ラインの間を狙うクロスで日体大ゴールに迫った。
伊賀が決定機を重ねたものの、追加点を奪えず、1-0で前半を折り返した。
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安部美琴のカウンターで日体大が反撃
後半も伊賀がボールを保持し、日体大を自陣へ押し込む展開で始まった。
日体大は守備ブロックを形成し、ボールホルダーへ素早く寄せることで、簡単にはクロスを上げさせない。しかし、ボールを奪っても攻撃へ転じる機会が少なく、自陣で守備を続ける時間が長くなった。
それでも59分頃、日体大がカウンターから好機を作る。
GK福田はなの素早いリスタートから、高い位置を取っていた伊賀の最終ラインの背後へロングボールを送った。
反応したのは、後半から出場した#24安部美琴。
伊賀の#3秦美結、#26清悠香と競り合いながら前進し、最後は身体を伸ばしてシュートへ持ち込んだ。
得点にはならなかったものの、安部の力強さと日体大のカウンターの鋭さが際立つ場面だった。
日体大はその後も、ロングボールで伊賀の最終ラインの背後を狙い、少ない手数でゴールに迫ろうとする。
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一方の伊賀は、#14増田玲那が左サイドの低い位置から中央へとプレー範囲を広げ、攻撃の組み立てとフィニッシュへの関与を強めた。
伊賀がボールを保持して攻め、日体大が奪って素早く前進する。両チームの攻撃の狙いがより明確になり、攻防の激しさが増していった。
終盤も衰えない伊賀の運動量、1点を守り切って勝利
75分頃を過ぎると、日体大の運動量が落ちるとともに、伊賀が再び攻撃の圧力を強める。
球際での強さとボールへの一歩目の速さで優位に立ち、セカンドボールを回収。日体大が守備の陣形を整える前に、次の攻撃を仕掛けていく。
右サイドからは#8島野美央、#30橋沼真帆がクロスを供給。#14増田玲那や#10平田ひなのがヘディングで合わせたが、シュートは枠を捉えられない。
さらに、途中出場の#18井上歩香も右サイドの攻撃に加わる。
#7渡邊凜、#13髙山菜々香、#25上田彩葉との連係から右サイドを突破し、ゴール前へクロス。#24唐沢芽依が相手DFと競り合いながらシュートを狙ったが、うまくミートできなかった。
その後も渡邊のマイナスの折り返しから生まれたこぼれ球を、#5常田菜那がダイレクトで狙った。しかし、ボールはクロスバーの上を越えた。
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日体大が守備のスペースを埋めきれなくなる一方、伊賀は終盤まで高い運動量を維持。次々と選手が攻撃に加わり、追加点を狙い続けた。
試合終了間際には、増田玲那のコーナーキックを髙山菜々香が頭で合わせたが、シュートは惜しくもゴール左へ。
最後まで追加点を奪うことはできなかったが、日体大の反撃を無失点に抑え、1-0で試合終了。
伊賀がホームで行われたシーズン最終戦を勝利で締めくくった。
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総括
伊賀が1-0で勝利した一戦。勝敗を分けたのは、中盤のスペースの使い方と、終盤に表れた運動量の差だった。
伊賀は中盤で相手の守備を動かし、サイドからの突破を生かして決定機を重ねた。日体大も後半にカウンターで反撃したが、伊賀は球際の強さと攻守の切り替えで優位を保ち、試合終盤には攻撃の圧力をさらに強めた。
一方、伊賀は多くの決定機を生み出しながら、得点は1点にとどまった。
勝利という結果とともに、伊賀の強みと今シーズンを通じた課題の両方が表れた最終節となった。
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伊賀FCくノ一三重
拮抗した序盤、前線へロングボールを送り込むのではなく、相手の守備の配置を動かしながら前進する攻撃が機能していた。
その中心的な役割を果たしたのが、ワントップの平田ひなのだった。
平田は相手ゴール前でのフィニッシャーとしてだけでなく、中盤まで下りて攻撃の組み立てに関与。相手のボランチを引きつけることで、後方から上がってくる味方が使えるスペースを作り出した。
また、ボールを失えば素早く守備へ切り替え、中盤まで戻って守備に加わる場面も見られた。
自ら得点することはできなかったが、周囲の選手が前を向いて攻撃を仕掛けるための土台を作った。
先制点は、そうした平田の動きと、渡邊凜、米澤心花、唐沢芽依らの連係が結びついたものだった。
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そして、伊賀の攻撃を支えていたもう一人が増田玲那である。
増田は高い技術と優れた視野を生かし、相手の寄せを受けても慌てずにボールを扱う。周囲の選手を使った攻撃の組み立てだけでなく、自らゴール前へ進入してフィニッシュにも関与した。
前半にはクロスバーを叩くシュートを放ち、後半は中央へポジションを移しながら攻撃の起点となった。
相手の守備配置や試合の状況に応じてプレーする位置を変え、攻撃の選択肢を増やせることが増田の大きな強みである。
そのプレーは伊賀の攻撃に変化をもたらし、日体大の守備陣を最後まで苦しめた。
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ただし、課題は決定力にある。
この試合でもクロスバーを叩くシュートやゴール前での決定機を数多く作りながら、追加点を奪えなかった。
今シーズンの伊賀は22試合で30得点。守備の安定感や攻撃の組み立てに強みを見せる一方、チャンスを得点に結びつける精度には改善の余地を残した。
創部50周年の節目にリーグ優勝を果たすことはできなかったが、最終節では今シーズン積み上げてきた戦い方を発揮し、勝点3をつかみ取った。
次に目指すのは皇后杯である。
上位カテゴリーのチームとの対戦では、得点機会が限られる展開も予想される。攻撃の組み立てで生み出した決定機を確実に仕留められるか。
リーグ戦で見えた課題を克服し、1試合でも長く戦い続けたい。
日体大SMG横浜
日体大は前節から大幅に変更したメンバー構成で臨み、序盤はコンパクトな守備と素早い寄せで伊賀の攻撃を抑えていた。
しかし、伊賀が平田ひなのの動きによって中盤にスペースを作り始めると、守備の対応が難しくなった。
相手のボールホルダーへ誰が寄せるのか判断が遅れ、最終ラインの背後を警戒するあまり、前方へ十分な圧力をかけられない場面が増えていく。
特に渡邊凜には、序盤こそ前を向かせない守備ができていたものの、先制点の場面をはじめ、ドリブルから危険なエリアへ進入する機会を何度も与えてしまった。
一方、攻撃面で存在感を示したのは、後半から出場した安部美琴である。
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安部は伊賀の強固な守備陣に対しても積極的に身体をぶつけ、競り合いながら前進する力強さを見せた。
パワーに加えて高さもあり、ロングボールのターゲットとしても機能する。GK福田はなの素早いリスタートからシュートまで持ち込んだ場面は、安部の特徴がよく表れたプレーだった。
伊賀が攻め込む時間が長かったとはいえ、スコアは最後まで1点差。日体大にとって安部の存在は反撃の大きな可能性であり、伊賀にとっても警戒を緩められない要因となっていた。
シーズン全体を振り返ると、日体大は戦い方を変化させてきた。
シーズン中盤までは自陣からのビルドアップを狙われ、失点につながる場面が目立った。しかし、終盤は守備の強度を高め、ロングボールや前線のスピードを生かして素早く前進する戦い方が機能するようになった。
前節の岡山湯郷Belle戦では、その積極性と粘り強さが劇的な逆転勝利につながっている。
一方、今節の伊賀戦では、相手の攻撃が続く中で守備の連動性と運動量を維持する難しさが表れた。
入替戦で対戦するのは、なでしこリーグ2部で2位となったFCふじざくら山梨。
1部残留のためには、前節の湯郷戦で発揮した積極性を取り戻すとともに、伊賀戦で見えた守備の課題を整理する必要がある。
リーグ戦終盤に見せた成長を、入替戦という大一番で結果につなげられるかが問われる。
順位表
2026プレナスなでしこリーグ1部の全22節が終了した。
伊賀FCくノ一三重は11勝6分5敗、勝点39の4位。日体大SMG横浜は5勝1分16敗、勝点16の11位でシーズンを終えた。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 42 | 22 | 12 | 6 | 4 | 53 | 16 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 42 | 22 | 12 | 6 | 4 | 46 | 20 | +26 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 40 | 22 | 11 | 7 | 4 | 33 | 19 | +14 | |
| 4(4) | 伊賀FCくノ一三重 | 39 | 22 | 11 | 6 | 5 | 30 | 20 | +10 | |
| 5(5) | ヴィアマテラス宮崎 | 36 | 22 | 10 | 6 | 6 | 42 | 34 | +8 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 33 | 22 | 9 | 6 | 7 | 39 | 33 | +6 | |
| 7(8) | スフィーダ世田谷FC | 29 | 22 | 8 | 5 | 9 | 34 | 35 | -1 | |
| 8(7) | 岡山湯郷Belle | 28 | 22 | 8 | 4 | 10 | 31 | 40 | -9 | |
| 9(9) | 愛媛FCレディース | 26 | 22 | 7 | 5 | 10 | 27 | 42 | -15 | |
| 10(10) | ASハリマアルビオン | 21 | 22 | 5 | 6 | 11 | 20 | 31 | -11 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 16 | 22 | 5 | 1 | 16 | 22 | 58 | -36 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 13 | 22 | 3 | 4 | 15 | 15 | 44 | -29 |
リソース
チーム紹介


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