2026プレナスなでしこリーグ1部は最終節。勝点26で並ぶ9位・愛媛FCレディースと8位・スフィーダ世田谷FCが、愛媛のホームで対戦した。
優勝争い、残留争いの当事者ではない両チームだが、シーズン最終戦を勝利で締めくくり、続く皇后杯へ弾みをつけたい一戦となった。
もう一つの注目は得点王争いである。
第21節終了時点で、世田谷の内田美鈴が15得点でランキング首位。14得点で2位の静岡SSUボニータ・横山久美、13得点で3位のニッパツ横浜FCシーガルズ・室井胡心が追う展開となっていた。内田が最終節でも得点を重ね、個人タイトルを獲得できるかに注目が集まった。
前回の第11節では、愛媛が相手陣内に押し込む時間を長く作ったものの、世田谷が粘り強い守備を見せ、0-0のスコアレスドローに終わっている。
今回の対戦では、前半は互いに譲らない展開となったが、徐々に世田谷が運動量とプレー強度で上回り始める。後半は高い位置からのプレスで主導権を握り、64分に内田美鈴が今シーズン16得点目となる先制ゴールを決めた。
愛媛も終盤に反撃したが、決定機を生かせず。世田谷が1-0で勝利し、リーグ戦2連勝で2026シーズンを締めくくった。
この記事の要点
- 世田谷が後半のプレス強化で主導権を掌握。 前線の堀江美月を起点に攻撃を組み立て、セカンドボールの回収から攻撃を継続して愛媛を押し込んだ。
- 内田美鈴が決勝ゴールで今季16得点目。 中盤での組み立てにも貢献しながらゴール前に飛び出し、得点王を獲得した。
- 愛媛は終盤に反撃するも無得点。 世田谷のハイプレスに苦しみ、安齋結花の投入で攻撃を活性化させたものの、ホーム最終戦を勝利で飾ることはできなかった。
試合情報
試合展開
拮抗した前半、互いに決定機を生かせず
前半は、両チームが中盤で激しく競り合う拮抗した展開となった。
愛媛は最終ラインからボールを組み立て、縦パスに反応する前線の選手が相手DFの背後を狙う。一方の世田谷は、#9堀江美月をターゲットにロングボールを送り、競り合いからのセカンドボールを拾って攻撃につなげようとする。
両チームとも中盤の球際で譲らず、最終ラインも粘り強く対応。互いに前進する場面はあっても、シュートまで持ち込む機会は限られていた。
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それでも、30分を過ぎたあたりから徐々に決定機が生まれ始める。
先にチャンスを迎えたのは愛媛だった。
世田谷のゴールキックが十分な飛距離を得られず、#20川﨑和奏がヘディングで前方へ跳ね返す。ボールは高い位置を取っていた世田谷の最終ラインとGKの間に生まれた広いスペースへ。素早く反応した#14近藤彩優子が抜け出してゴールを狙ったが、シュートは枠の左に外れた。
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一方の世田谷も、前線の堀江を起点に決定機を作る。
愛媛のロングフィードから生まれたこぼれ球を#3柏原美羽が前線へ送ると、堀江が高さを生かして頭で後方へそらす。このボールに反応した#8加藤沙彩がセンターサークル付近から一気にドリブルで前進した。
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相手DFをかわしてペナルティエリア内に進入し、右足でシュート。しかし、飛び出した愛媛GK小松里弥が巧みにコースを限定し、ボールはわずかに枠の右へ外れた。
前半終盤から世田谷が攻勢、堀江を起点にゴールへ迫る
前半終盤にかけて、徐々に流れを引き寄せたのは世田谷だった。
スローインからの攻撃では、#7渡邊那奈が堀江を狙ってハイボールを供給。堀江は相手DFを背中で抑えながら胸でボールを落とし、ペナルティエリア内で細かく立ち位置を調整していた#13内田美鈴につなぐ。
内田は相手DFの激しい対応を受けながらも右足を振り抜いたが、GK小松里弥が素早い反応で弾き出した。
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愛媛は前半終盤になると中盤のプレス強度がやや低下し、世田谷にボールを保持される時間が増えていく。堀江が前線でターゲットとなり、両ウイングの#8加藤沙彩と#16北川心子が豊富な運動量を生かして背後を狙う。世田谷は前線の選手たちの動き出しと連係によって、少しずつ攻撃の圧力を高めていった。
それでも愛媛は守備陣が踏ん張り、ゴールを許さない。
前半は両チーム無得点のまま、0-0で折り返した。
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後半は世田谷が主導権を掌握、内田美鈴が均衡を破る
後半に入ると、世田谷は前線からのプレスを明確に強めた。
前半は比較的余裕を持って後方からボールを組み立てられていた愛媛だが、世田谷の積極的なプレスによってパスコースを制限され、前線への配球が難しくなっていく。
さらに世田谷は、愛媛が苦し紛れにクリアしたボールを中盤で回収。再び攻撃を仕掛けることで、相手を自陣深くに押し込んだ。
ボールを奪っては攻撃を繰り返す世田谷に対し、愛媛は守備の時間が長くなり、次第に劣勢を強いられていく。
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そして64分、ついに均衡が破れた。
攻撃を継続していた世田谷は、#20石浦和歌が前方の内田に縦パスを送る。内田はワンタッチで北川心子にはたくと、そのままペナルティエリア内へ進入した。
北川からのリターンパスを受けた内田は、トラップで相手最終ラインを抜け出し、鋭く左足を振り抜く。
低くスピードのあるシュートが愛媛ゴールに突き刺さり、世田谷が先制した。
内田にとっては今シーズン16得点目。得点ランキング首位を走るエースが、最終節でも勝負を決める一撃を放った。
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安齋結花の投入で愛媛が反撃も、世田谷が守り切る
先制後も世田谷は前線からのプレスを緩めず、追加点を目指して攻撃を続ける。
愛媛は最終ラインを押し下げられ、ボールを跳ね返してもセカンドボールを世田谷に回収される苦しい展開。それでも守備陣は粘り強く対応し、追加点を許さなかった。
そんな愛媛の攻撃に変化をもたらしたのが、78分に投入された#29安齋結花だった。
左サイドに入った安齋は、細かなタッチとスピードを兼ね備えたドリブルで積極的に仕掛ける。
小柄ながら身体を使ってボールを収めるプレーも見せ、味方からボールを引き出す動きを繰り返す。自らシュートを狙うなど、停滞していた愛媛の攻撃を活性化させた。
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安齋が相手DFを引き付けることで、周囲の選手にもスペースが生まれ始める。
左サイドでボールを持った安齋が、最終ラインの背後へ抜け出した#26桜井由衣香につなぐと、桜井は深い位置からゴール前へマイナスのクロスを供給。
相手のマークを振り切った#19黒岩沙羽がヘディングで合わせたが、シュートは惜しくも枠の左へ外れた。
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安齋の投入をきっかけに、ようやく攻撃のリズムを取り戻した愛媛。しかし、追いつくための得点は最後まで奪えなかった。
試合はそのまま0-1で終了。
世田谷が内田美鈴の決勝ゴールを守り切り、2連勝でリーグ戦を終えた。
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総括
前半は拮抗した展開が続いたが、後半にプレス強度を高めた世田谷が主導権を握り、内田美鈴の決勝ゴールで勝利を収めた。
勝敗を分けたのは、両チームのプレー強度と、セカンドボールをめぐる攻防だった。
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愛媛FCレディース
愛媛にとっては、後半に世田谷のプレスを受けてから、攻撃を組み立てられなくなったことが痛かった。
前半は最終ラインから比較的余裕を持ってボールを動かし、近藤彩優子のスピードを生かした背後への抜け出しでも決定機を作っていた。
しかし後半、世田谷のプレス強度が高まると、後方からのパスコースを制限されて前進が難しくなった。さらに、前線では堀江美月が高さと身体の強さを生かして起点となるため、愛媛はクリアした後も十分に守備ラインを押し上げられない。
その結果、最終ラインと中盤の距離が広がり、空いたスペースを世田谷に使われる悪循環に陥った。
愛媛の持ち味は、豊富な運動量を生かしたハードワークと、縦への積極的な攻撃である。しかし、この試合では後半に入って世田谷の強度と運動量が上回り、愛媛が受け身になる時間が長くなってしまった。
世田谷は積極的に前進する一方、最終ラインの背後に広いスペースが生まれる場面もあった。
愛媛としては、そこを狙ったロングボールで相手のプレスを回避し、前線のスピードを生かす攻撃を増やす選択肢もあっただろう。
その意味でも、近藤彩優子の存在は重要だった。
スピードを生かした背後への動き出しは、世田谷の高い最終ラインに対して有効な武器となっていた。チームが劣勢に立たされても、前線で攻撃の出口となろうとする姿勢が印象に残った。
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また、途中出場の安齋結花も短いプレー時間ながら存在感を示した。
安齋の良さは、ドリブルによる鋭い突破だけではない。前線でボールを収め、相手を引き付け、味方が動き出す時間とスペースを作ることができる。守備に押し込まれていたチームが再び前進するうえで、重要な役割を果たした。
終盤戦に出場機会を増やしている安齋は、相手守備陣に常に警戒を強いる選手である。
こうした選手が前線でボールを保持できれば、チーム全体が少しずつラインを押し上げ、攻撃の厚みを取り戻すことにもつながる。
愛媛は最終戦を勝利で飾れなかったものの、近藤や安齋が見せた縦への推進力には、今後の攻撃につながる可能性が感じられた。
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次に控えるのは皇后杯。
持ち味のハードワークを発揮し、運動量とプレー強度で相手を上回ったときの愛媛は、リーグ上位陣に対しても互角以上に渡り合う力を持っている。
皇后杯でもその強みを存分に発揮し、上位カテゴリーのチームを相手にしても臆することなく、堂々と戦う姿を期待したい。
スフィーダ世田谷FC
世田谷は拮抗した前半から徐々に流れを引き寄せ、後半は運動量とプレー強度で上回った。
前線からのプレスを強めることで愛媛のビルドアップを制限し、クリアボールを回収して攻撃を継続。チーム全体で相手を押し込む時間を増やしたことが、勝利につながった。
その中で、大きな役割を果たしたのが堀江美月である。
堀江は高さと身体の強さを生かし、前線でロングボールのターゲットになり続けた。
競り合いで優位に立ち、相手DFを背負いながらボールを収めることで、周囲の選手が攻撃に参加する時間を作る。さらに、相手ゴールキックに対しては中盤まで下がって競り合い、セカンドボールの回収にも貢献した。
ペナルティエリア内では複数の相手DFに囲まれても身体の強さを発揮し、自らシュートまで持ち込む場面もあった。
堀江が前線で起点となることで、世田谷はロングボールからでも攻撃を組み立てられる。相手のプレスを回避する手段としても、押し込んだ状況から攻撃を継続するうえでも、堀江の存在は大きな強みとなっていた。
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そして、決勝ゴールを決めた内田美鈴も、攻撃の組み立てからフィニッシュまで幅広い役割を果たした。
この試合の内田は、普段より一列低いトップ下に近い位置でプレーする時間が長かった。
中盤の石浦和歌や田口茉亜紗と連係して攻撃を組み立てるだけでなく、守備でも積極的に相手にプレッシャーをかける。
ボールを受ければ前方の状況を確認し、シュートコースが開けば迷わず足を振る。さらに、周囲の動きに合わせてゴール前へ飛び出し、得点機会を狙い続けた。
64分の決勝ゴールは、そうした内田の特徴が凝縮された場面だった。
自らのパスを起点にゴール前へ進入し、攻撃を完結させる。ストライカーとしての決定力だけでなく、周囲との連係の巧みさも際立った。
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内田はこのゴールで今シーズン16得点に到達し、なでしこリーグ1部の得点王に輝いた。
最終的に世田谷が挙げた34得点のうち、内田が16得点、堀江が9得点。2人で25得点を記録し、チーム総得点の7割以上を占めた。
得点力が特定の選手に集中していることは、チームとしての課題とも捉えられる。
しかし、相手チームから徹底的に警戒されながらも、16得点を積み重ねた内田の個の力は高く評価されるべきだろう。

また、堀江の存在によって相手DFは前線の高さと強さへの対応を迫られる。その結果、内田が動き出すスペースが生まれ、逆に内田への警戒が堀江のプレーする余地を作る場面もある。
この2人が互いの強みを引き出し、周囲の選手たちが運動量と連係によって攻撃を支えていることが、世田谷の大きな武器となっていた。
一方で、内田と堀江以外の選手も積極的にフィニッシュを担い、得点を奪う形を増やせれば、相手にとってさらに守りづらいチームになるはずだ。
最終節を勝利で飾り、7位でリーグ戦を終えた世田谷。
2027シーズンからは「FC東京スフィーダ」として新たなスタートを切る。
現在のクラブ名で戦う最後のリーグ戦を勝利で締めくくり、エースが得点王にも輝いた。
続く皇后杯でも、なでしこリーグ1部を代表する強力なストライカーを擁する世田谷が、どこまで勝ち上がることができるか注目したい。
順位表
2026プレナスなでしこリーグ1部は全22節を終了。
愛媛FCレディースは勝点26の9位、スフィーダ世田谷FCは勝点29で前節から一つ順位を上げ、7位で2026シーズンを終えた。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 42 | 22 | 12 | 6 | 4 | 53 | 16 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 42 | 22 | 12 | 6 | 4 | 46 | 20 | +26 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 40 | 22 | 11 | 7 | 4 | 33 | 19 | +14 | |
| 4(4) | 伊賀FCくノ一三重 | 39 | 22 | 11 | 6 | 5 | 30 | 20 | +10 | |
| 5(5) | ヴィアマテラス宮崎 | 36 | 22 | 10 | 6 | 6 | 42 | 34 | +8 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 33 | 22 | 9 | 6 | 7 | 39 | 33 | +6 | |
| 7(8) | スフィーダ世田谷FC | 29 | 22 | 8 | 5 | 9 | 34 | 35 | -1 | |
| 8(7) | 岡山湯郷Belle | 28 | 22 | 8 | 4 | 10 | 31 | 40 | -9 | |
| 9(9) | 愛媛FCレディース | 26 | 22 | 7 | 5 | 10 | 27 | 42 | -15 | |
| 10(10) | ASハリマアルビオン | 21 | 22 | 5 | 6 | 11 | 20 | 31 | -11 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 16 | 22 | 5 | 1 | 16 | 22 | 58 | -36 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 13 | 22 | 3 | 4 | 15 | 15 | 44 | -29 |
リソース
チーム紹介


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