2026プレナスなでしこリーグ1部 第18節。
第17節終了時点で2位につける朝日インテック・ラブリッジ名古屋が、8位のASハリマアルビオンのホームに乗り込んだ。
名古屋は直近3試合で得点がなく、1分2敗。リーグ終盤に入って足踏みし、首位・静岡SSUボニータとの勝点差は4ポイントまで広がっていた。連覇を目指すうえで、これ以上は勝点を落とせない状況で迎えた一戦だった。
両チームの前回対戦は第7節。名古屋が藤原愛里のPKで先制したあと、千葉園子に同点ゴールを許したものの、途中出場の中村友香が決勝点を挙げ、2-1で勝利している。
この試合でも名古屋がボールを握り、両サイドを使ってハリマを押し込んだ。32分に上田真子のPKで先制すると、後半には河合野乃子がコーナーキックから追加点。ハリマも小池快のゴールで1点差に迫り、終盤にはポスト直撃の決定機をつくったが、名古屋が2-1で逃げ切った。
この記事の要点
- 名古屋は角田菜々子と上田真子を中心に右サイドを攻略し、上田のPKで4試合ぶりに得点
- 河合野乃子がコーナーキックから追加点。ハリマは小池快のロングシュートで直後に反撃
- 名古屋が4試合ぶりの勝利を挙げ、首位・静岡との勝点差を1ポイントに縮めた
試合情報
アルビオン
ラブリッジ名古屋
▲ IN / ▼ OUT / HT ハーフタイム
- GK41小暮 千晶
- DF4阪中 澪69分▼
- DF5小島 美玖 C
- DF6佐々木 美悠
- DF20山口 歌子69分▼
- MF8小池 快
- MF14正野 可菜子
- MF17唐橋 万結83分▼
- FW9川﨑 咲耶
- FW10千葉 園子83分▼
- FW23井上 麗叶HT▼
- GK1原田 実歩
- DF2児玉 耀69分▲
- DF24村田 かえで69分▲
- MF26藤原 安佑83分▲
- FW11南條 里緒83分▲
- FW13今蔵 綾乃HT▲
- FW33椎野 彩香
監督 菅野 将晃
- GK16流川 桐佳
- DF24角田 菜々子78分▼
- DF25河合 野乃子
- DF17堀内 意
- DF2夏目 歩実
- MF14上田 真子78分▼
- MF4逸見 桃子 C
- MF5安部 由希子
- MF8渕上 野乃佳59分▼
- FW9水野 亜美86分▼
- FW13仁木 愛実59分▼
- GK1横山 野ノ香
- DF23松本 和笑
- MF7加藤 ゆあ78分▲
- MF11藤原 愛里59分▲
- MF15中村 友香78分▲
- MF20増永 朱里86分▲
- FW28永田 晶子59分▲
監督 磯村 健
試合展開
名古屋が両サイドを使って主導権を握る
ともに後方からボールをつなぐ意識を持つ両チームだったが、攻撃の組み立て方には違いがあった。
名古屋は両サイドバックが高い位置を取り、サイドで数的優位を形成。中盤でセカンドボールを回収すると、前線の#9水野亜美と#13仁木愛実へ早めにボールを入れ、ハリマの最終ラインの背後を狙った。
対するハリマは、最前線に#9川﨑咲耶を残し、#10千葉園子を含めた中盤のブロックで対応。ボールを奪うと川﨑に当て、千葉、#23井上麗叶、#8小池快らが前方のスペースへ走り込むカウンターを狙った。

ハリマは川﨑や千葉がボールを収めれば前進できたものの、中盤の球際とセカンドボールの回収では名古屋が優位に立った。名古屋が敵陣でプレーする時間を増やし、試合の主導権を握っていく。
なかでも目立ったのが、#24角田菜々子と#14上田真子を中心とした右サイドからの攻撃だった。
角田のオーバーラップによって井上麗叶を自陣深くまで下げさせ、ハリマが本来持つ左サイドからの推進力を抑える。名古屋は相手の攻撃の強みを消しながら、自分たちの前進経路をつくっていた。
上田真子のPKで名古屋が4試合ぶりの得点
30分過ぎ、名古屋がハリマ陣内の右サイド深くまで侵入する。上田からのリターンパスをペナルティエリア内で受けた角田が井上に倒され、名古屋がPKを獲得した。
キッカーを務めた上田が、GK小暮千晶の動いた方向とは逆へ冷静に蹴り込み、名古屋が先制。直近3試合無得点だった名古屋にとって、4試合ぶりのゴールとなった。

先制後の名古屋は、さらに攻守の強度を高める。
コンパクトな陣形を保ち、ハリマの縦パスに対して素早く身体を寄せて自由を与えない。高い位置でボールを奪うと、上田や#8渕上野乃佳がサイドから中央へ入り、水野と仁木を追い越してゴール前へ進出した。
ハリマも後方から丁寧につなごうとしたが、名古屋の寄せを受けて前向きにボールを運べない。敵陣へ入る回数を増やせないまま、名古屋の1点リードで前半を折り返した。
河合野乃子が追加点、小池快が直後に反撃
後半に入ると、ハリマはスローインやコーナーキックを使って徐々に前進。名古屋陣内でプレーする時間をつくり始めたが、決定機には結びつかなかった。
流れを引き戻したい名古屋は、#11藤原愛里と#28永田晶子を投入。藤原、永田、水野の連係から左サイドを崩し、藤原が角度のない位置からシュートを放つなど、再びハリマのゴールへ圧力をかけた。
その攻勢から連続してコーナーキックを獲得する。ハリマは2度まで跳ね返したものの、63分、3度目のコーナーキックを名古屋が得点につなげた。
#5安部由希子が右から蹴り込んだボールに、ゴール前へ入った#25河合野乃子が頭で合わせる。セットプレーから追加点を挙げ、名古屋がリードを2点に広げた。

しかし、そのわずか2分後にハリマが反撃する。
最終ラインで横パスを選択した名古屋に対し、#14正野可菜子と#8小池快が一気にプレス。正野が寄せてパスコースを狭めると、小池がボールをカットし、そのまま左足を振り抜いた。距離のある位置から放たれたシュートはGKの頭上を越え、ゴールネットを揺らした。ハリマが1-2と追い上げた。

今蔵綾乃のシュートはポスト、名古屋が逃げ切る
1点差となったあとも、名古屋がボールを保持し、ハリマが奪ってからの速い攻撃を狙う構図が続いた。
藤原が入った名古屋の前線は左サイドから鋭く仕掛け、中央からのシュートにつなげたが、ハリマ守備陣が粘り強く対応。追加点を許さず、同点の機会をうかがった。
ハリマにも決定機が訪れる。素早いリスタートから#13今蔵綾乃が最終ラインの背後へ抜け出してシュート。しかし、ボールはゴールポストを直撃し、同点には至らなかった。

両チームは終盤まで選手を入れ替えながら運動量を維持し、コンパクトな陣形を崩さなかった。
ハリマが最後まで追い上げたものの、名古屋が2-1で逃げ切り。3試合続いていた未勝利と2連敗を止め、優勝争いに踏みとどまった。
総括
名古屋がボール保持、中盤の球際、プレー精度で上回り、試合の主導権を握った。
一方で、順位差ほど一方的な試合ではなかった。ハリマは名古屋の最終ラインへ圧力をかけて1点を返し、終盤にはポスト直撃の決定機もつくっている。
勝敗を分けたのは、名古屋が優位に進めた時間帯を得点へ結びつけたことだった。
右サイドからの侵入でPKを獲得し、後半にはコーナーキックから追加点。流れのなかで決定機を仕留め切れない時間が続いても、異なる形から2得点を奪ったことが勝利につながった。
ハリマも相手のミスを逃さず1点を返したが、名古屋に押し込まれた前半の展開と、PK、コーナーキックから喫した2失点が最後まで重く残った。
ASハリマアルビオン
敗れはしたものの、名古屋を相手に最後まで勝敗の行方が分からない試合を演じた。
小池快は、名古屋が低い位置で横パスを選択した瞬間を逃さず、素早いプレスから得点。直近3試合で2ゴールと、中盤の選手ながら得点力を発揮している。
川﨑咲耶のプレスも効果的だった。ボールを保持したい名古屋の最終ラインに対して思考する時間を与えず、パスコースとプレーの方向を限定した。
久しぶりの出場となった今蔵綾乃は、前線への抜け出しからポスト直撃のシュートを放った。途中出場の南條里緒も、出足の速いスプリントとゴール前へ入るタイミングで名古屋の守備に脅威を与えた。

一方、後方から丁寧につなごうとした場面では、名古屋のプレスに進路を限定され、攻撃が停滞した。セカンドボールも回収され、前半は守備に回る時間が長くなっている。
川﨑咲耶と千葉園子は、相手に警戒されていても前線で起点をつくれる選手である。状況によっては早めに2人へ長いボールを送り、名古屋の守備ラインを下げさせる選択を増やすことも必要だっただろう。
相手を後退させたあとに高い位置でボールをつなげれば、今蔵や南條を含めた攻撃陣のスピードも、さらに生かしやすくなる。
前線の選択肢が増えていることは、残り4試合に向けた明るい材料だ。川﨑と千葉に集中していた攻撃の負担を分散し、前線の鋭さと後方からの組み立てをどのように組み合わせるかが、今後のポイントになる。
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
直近3試合に比べ、縦への意識が明確だった。
ハリマが低い位置に守備ブロックを形成するなか、中央を細かなパス交換だけで崩そうとせず、前線の水野亜美と仁木愛実、あるいは相手最終ラインの背後へ早めにボールを送った判断は有効だった。
両サイドバックも積極的に攻撃へ加わり、サイドで数的優位を形成。とくに右サイドでは、角田菜々子と上田真子が連係してハリマを押し込み、先制点につながるPKを獲得した。
ただし、ボール保持の優位を決定機へ結びつけられない時間も長かった。追加点はセットプレーから生まれており、流れのなかで相手守備を崩し切る精度には、まだ改善の余地がある。

さらに修正したいのが、自陣でのボールの動かし方だ。
失点場面では、2点を追うハリマが前から圧力を強めるなか、名古屋の最終ラインが低い位置で横パスを選択。正野と小池のプレスに捕まり、そのままゴールを許した。
こうした失点の形は、今回に限ったものではない。直近2連敗でも、ニッパツには背後への速い攻撃、世田谷には前線からのプレスを受け、後方での判断や対応が後手に回った。失点の経路は異なるものの、相手から強い圧力を受けた際に最終ラインが安定を欠く点は共通している。相手の積極的なプレスに苦しみ、前半だけで3失点した第3節の愛媛FCレディース戦を思い起こさせる場面だった。
ビルドアップ時の判断や周囲へのコーチング、最終ラインの統率という面では、守備の要だった橘麗衣の移籍による影響が小さくないと考えられる。以前から抱えていた課題が、守備陣の中心選手を失ったことで、より表面化しやすくなっていると見受けられる。

すべての場面で丁寧につなぐ必要はない。相手の人数や圧力を見極め、危険な状況では前線やサイドのスペースへ逃がす判断も必要になる。この試合は2点を先行していたため勝点3を守れたが、1点を争う展開で同じミスが起きれば、結果を左右しかねない。
優勝争いを続けるためにも、相手のプレスを受けたときの出口を整理し、ボールを保持する場所と手放す場所をチーム全体で共有したい。
順位表
第18節を終え、朝日インテック・ラブリッジ名古屋は2位を維持。勝点を35に伸ばし、今節敗れて勝点36にとどまった首位・静岡SSUボニータとの勝点差を1ポイントに縮めた。
ASハリマアルビオンは、ひとつ順位を落として9位。8位・愛媛FCレディースとの勝点差は2ポイント、10位・スフィーダ世田谷FCとの勝点差は1ポイントとなった。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 36 | 18 | 11 | 3 | 4 | 49 | 13 | +36 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 35 | 18 | 10 | 5 | 3 | 39 | 18 | +21 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 26 | 14 | +12 | |
| 4(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 32 | 24 | +8 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 29 | 18 | 8 | 5 | 5 | 21 | 17 | +4 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 32 | 27 | +5 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 28 | 29 | -1 | |
| 8(10) | 愛媛FCレディース | 22 | 18 | 6 | 4 | 8 | 21 | 35 | -14 | |
| 9(8) | ASハリマアルビオン | 20 | 17 | 5 | 5 | 7 | 18 | 22 | -4 | |
| 10(10) | スフィーダ世田谷FC | 19 | 18 | 5 | 4 | 9 | 27 | 32 | -5 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 18 | 4 | 1 | 13 | 18 | 51 | -33 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 10 | 18 | 3 | 1 | 14 | 12 | 40 | -28 |
次節に向けて
ASハリマアルビオン
9位のASハリマアルビオンは次節、8位の愛媛FCレディースをホームに迎える。勝点差は2ポイント。ハリマが勝てば愛媛を上回る、重要な直接対決となる。
前回対戦は、小池快のゴールでハリマが先制したものの、後半に黒岩沙羽の同点ゴールを許し、1-1で引き分けた。
愛媛はハードワークを土台に、上位チームとも接戦を演じる力を持つ。今節は伊賀FCくノ一三重を3-2で破った。
前線とサイドのスピードもあり、背後を取られると苦しい展開になる。ハリマはボールを失ったあとの切り替えと、最終ラインの背後への対応を徹底したい。
一方、ハリマもシーズン序盤から中盤に比べ、ビルドアップと速い攻撃を使い分ける場面が整理されてきた。今蔵綾乃や南條里緒を含め、前線の選択肢も増えている。
残留争いから距離を取るためにも、勝点差の近い相手とのホームゲームを勝ち切りたい。
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
2位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋は次節、アウェーで3位のオルカ鴨川FCとの上位直接対決に臨む。
前回対戦では名古屋が試合の主導権を握ったものの、最終ラインの横パスを奪われて失点。1-1の引き分けに持ち込まれた。
今節、オルカはVONDS市原FCレディースに0-2で敗れ、首位・静岡との勝点差を縮められなかった。それでも名古屋との勝点差は3ポイントで、優勝の可能性を残している。直接対決では勝点3を狙い、前線から強く圧力をかけてくるだろう。
名古屋としては、今節の失点場面でも見られた、自陣での不用意な横パスやバックパスを減らしたい。相手のプレスがかかる状況ではリスクの少ない選択を徹底し、今節で取り戻した縦への意識を継続できるか。
首位との勝点差はわずか1ポイント。残り4試合、連覇へ向けた名古屋の修正力が試される。
リソース
チーム紹介


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