【試合レビュー】開始6分の退場で流れ一変、ハリマが宮崎に3-1逆転勝利|2026プレナスなでしこリーグ1部 第16節

試合レビュー

約2か月の中断期間を終え、2026プレナスなでしこリーグ1部が再開した。

中断期間中に選手の移籍・退団が比較的少なかったヴィアマテラス宮崎とASハリマアルビオンが、いちご宮崎新富サッカー場で対戦した。

前回、第5節の対戦はハリマが先制し、後半に宮崎が追いついて1-1のドロー。今回は中断明け初戦での再戦となった。

宮崎は、スピード、強度、運動量を兼ね備えた前線からのプレスに中盤と最終ラインを連動させ、高い位置でボールを奪いながら主導権を握りたいチーム。一方のハリマにとっては、そのプレスをどう外して前進するかがポイントになると考えていた。

ところが、試合は開始早々に想定とは異なる構図へ変わった。

3分に宮崎が先制した直後、6分に松田遥奈が退場。10人となった宮崎に対し、ハリマは前半だけで3得点を奪って逆転した。

後半は宮崎がリスクを負って攻撃的な布陣へ変更し、一人少ないことを感じさせない時間帯も作った。それでも前半についた2点差は大きく、ハリマが1-3で中断明け初戦を制した。
なお、宮崎の先制点を決めた土屋は、このゴールでなでしこリーグ通算50得点を達成している。

この記事の要点

  • 宮崎は3分に土屋佑津季が先制するも、6分の松田遥奈の退場で試合構図が一変
  • 数的優位を得たハリマはピッチを幅広く使い、千葉園子、唐橋万結、小池快の3得点で前半のうちに逆転
  • 宮崎は後半に攻撃的な布陣へ変更して反撃したが、ハリマが無失点で耐えて1-3で勝利

試合情報

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試合展開

土屋佑津季が3分に先制、しかし6分の退場で試合構図が一変

試合はいきなり動いた。

3分、#3國生乃愛が自陣から左サイドへ大きく蹴り出すと、#4永野桃子がいち早く反応して前進する。ゴール前中央へ走り込んだ#9土屋佑津季にグラウンダーのクロスを送り、土屋が右足ワンタッチでゴールへ流し込んだ。

國生のロングボール、永野の推進力、土屋のゴール前への入り方と、宮崎の持つ縦への速さが凝縮された先制点だった。

しかし、そのわずか3分後に試合の前提が変わる。

宮崎が相手陣内右サイドでボールを失うと、ハリマの#23井上麗叶が奪って前進し、中央を走る#9川﨑咲耶へスルーパス。川﨑が最終ラインの背後へ抜け出したところを、ペナルティエリア手前で#16松田遥奈が後方から倒した。
判定はレッドカード。開始6分で宮崎は10人となった。

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宮崎は4-4-2から4-4-1へ変更。國生をCBへ動かし、永野を左サイドバックへ下げて4枚の最終ラインを維持した。
ただし、この変更には代償もあった。後方から質の高いボールを供給できる國生の位置が変わり、前線では永野の推進力を使いにくくなる。何より一人少ないことで、宮崎が本来持つ前線からのプレスを90分近く維持することが難しくなった。

リードしているのは宮崎だったが、残された時間を考えれば、むしろ先に苦しい状況へ追い込まれたのはホームチームだった。

数的優位のハリマが幅を使い、前半だけで3得点

宮崎の前線からのプレスが弱まると、ハリマは後方でボールを持つ時間を増やした。

13分、宮崎のクリアが十分に遠くへ飛ばず、ハリマが二次攻撃へつなげる。#17唐橋万結から#8小池快へ浮き球が入り、小池が頭で触ったボールを#10千葉園子がヘディング。ゴールネットを揺らし、早い時間帯で1-1に追いついた。

宮崎も引いて守るだけではなかった。土屋のプレスとプレスバックを起点にボールを奪えば、一気に縦へ運ぶ。左サイドバックへ下がった永野も積極的に前へ出て、攻撃の出口になった。

しかし、一人少ない状態で選手が前へ出れば、その背後にはスペースが生まれる。
ハリマは川﨑や千葉らがそのスペースへ入り、宮崎の守備陣を左右に動かした。

22分には唐橋のミドルシュートからコーナーキックを獲得。その右コーナーキックを唐橋自身が左足で蹴ると、ボールはそのままゴールへ入り、ハリマが逆転に成功した。

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宮崎は24分、川添ゆずに代えて、この試合ではDFとして登録された170cmの上永ひかりを投入。永野を一列前へ戻し、守備の高さを補いながら中盤から前線の運動量も確保しようとした。

それでも主導権はハリマにあった。
中央を固める宮崎に対し、ハリマは無理に狭い場所へ入らず、サイドチェンジを使ってピッチを広く使う。宮崎の選手間の距離を広げ、空いたスペースへ数的優位を生かして次の選手が入っていった。

36分には、その狙いが追加点につながる。

左サイドの#14正野可菜子からファーサイドの#4阪中澪へボールが入り、阪中が中央へ折り返す。最後は#8小池快がヘディングで合わせ、1-3。
宮崎の守備を左右に動かしてから中央を突く、素晴らしい崩しだった。

GK後藤優香の好セーブもあり宮崎はそれ以上の失点を防ぎ、前半を1-3で折り返した。

小澤寛投入で宮崎が反撃、後半は攻撃的な配置へ

宮崎はハーフタイムに動いた。

DF#30富沢藍那に代えてFW#17小澤寛を投入。見た目には3-4-2に近い攻撃的な配置へ変え、土屋と小澤を前線に置いた。

一人少ないうえに最終ラインの人数も減らすため、当然リスクは高い。ハリマの前線に対してDFが同数になる局面もあり、一度突破されればそのままGKとの一対一になりかねない。
それでも、2点を追う宮崎にとっては必要な選択だった。

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小澤の投入によって特に変化したのが土屋の役割だった。
前半は土屋が前線でボールを収める仕事を担う時間が長かったが、小澤が中盤へのサポート、プレス、フィニッシュに関わることで負担が分散。土屋が前を向く場面が増え、永野や山本さゆりも高い位置へ出られるようになった。

守備では#21坂本理保、上永、國生が広いエリアをカバーし、最後はGK後藤が対応。ハリマの川﨑、千葉、井上らがゴールへ迫ったが、追加点を許さなかった。

宮崎は10人でありながら前へ出る選択を続け、一時は人数差を感じさせない攻防に持ち込んだ。

ハリマも追加点を狙うが、後半はスコア動かず

後半中盤を過ぎると、試合はオープンになった。

前半から広い範囲を守り続けた宮崎のDF陣に対し、ハリマは川﨑のスピードを生かして背後を狙う。一方、ハリマにも徐々に疲労が見え始め、ラストパスやフィニッシュで精度を欠く場面が増えていった。

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宮崎は81分に#8嘉数飛鳥も投入し、さらに攻撃へ人数を割った。

その分、ボールを失った際のリスクは増したが、2点差を追う以上、守って試合を終える意味はない。最後までゴールを目指す姿勢を崩さなかった。

ただ、時間の経過とともに宮崎の中盤からの押し上げは弱まり、ハリマのカウンターを受ける場面も増えていった。

後半のハリマは9本のシュートを放ったものの無得点。宮崎も4本のシュートを放ったがゴールを奪えず、後半は0-0のまま終了した。

開始6分の退場を境に大きく構図が変わった一戦は、ASハリマアルビオンが1-3で逆転勝利を収めた。

総括

この試合最大の分岐点は、やはり開始6分の退場だった。

宮崎は本来、前線のスピードと強度を生かしたプレスに中盤と最終ラインを連動させ、高い位置から相手を押し込んでいきたいチームだった。
しかし、10人になったことで前線から同じ強度で追い続けることが難しくなり、その空白をハリマに使われた。

ハリマは数的優位になったからといって中央へ選手を集めるのではなく、ピッチを幅広く使った。サイドチェンジと縦へのボールを使い分け、宮崎を左右へ動かして選手間の距離を広げ、空いた場所へ一人多い選手が顔を出す。
その結果が、前半の3得点だった。

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一方で興味深かったのは後半だ。

宮崎は守備を固めて失点を防ぐのではなく、最終ラインの人数を削ってでも前線を増やした。数的不利の中で真正面から得点を狙いにいったことで、後半だけを見ればハリマに得点を許さず、攻撃でもゴールへ迫る時間を作った。

最終的には前半についた2点差を覆すことはできなかったものの、両チームの特徴が異なる形で表れた90分だった。

ヴィアマテラス宮崎

3分に先制しながら、6分の退場によって本来準備していたゲームプランをほとんど実行できなくなった。

10人になった後は、まず4-4-1で守備の形を整えたものの、早い時間帯で同点に追いつかれたことが大きかった。

1-0のまま時間を進められれば、低い位置を固めながらカウンターで追加点を狙う戦い方も選択できた。しかし13分で1-1となり、その後さらに2失点。宮崎は一人少ない状態で自ら得点を奪いにいかなければならなくなった。

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それでも、土屋にボールが収まれば永野や山本らが一気に前へ出ることができ、個々の推進力は随所に見せた。
特に後半、小澤が入ってからは前線の強度が回復。土屋の負担が軽くなり、宮崎らしい運動量と縦への速さが戻った。

今季の宮崎はビルドアップやボール保持にも取り組んでいるが、豊富な運動量を生かして相手を押し込むことも従来からの強みだ。10人となった後半、その原点に近い部分が表れたことは、この敗戦の中でも印象に残った。

ただ、最終ライン背後への対応は修正したい。退場につながった場面だけでなく、後半にも川﨑らに背後を取られるシーンが何度もあった。

ASハリマアルビオン

ハリマにとって大きかったのは、相手が一人少なくなった直後に同点へ追いつけたことだ。

13分、チームの中心である千葉園子が今季8得点目を決めると、22分に唐橋、36分に小池が続いた。
数的優位を「人数が一人多い」というだけで終わらせず、ボールを動かして実際にフリーの選手を作れていたことを評価したい。

特に印象に残ったのは、正野、小池、阪中、千葉、川﨑らがボールを止めすぎず、ワンタッチや少ないタッチ数で攻撃の方向を変えていたことだ。

中央が閉じれば外へ。相手が外へ動けば再び中央へ。

宮崎の守備を左右に揺さぶりながら前進できたことで、小池も普段以上に高い位置でボールへ関わることができた。
小池が相手陣内でボールを触れる回数が増える試合は、ハリマの攻撃が機能している一つの目安に見える。この試合ではシュート、パス、前への持ち運びのすべてでゴールに関わり、36分には自ら3点目を決めた。

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一方、改善したいのは後半の試合運びだろう。

相手が一人少ない状況で後半だけで9本のシュートを放ちながら無得点。宮崎がリスクを負って前へ出てきた時間帯には、中盤の球際で押し込まれる場面もあった。

3-1というスコアを考えれば無理をする必要はなかったが、数的優位を生かして相手の反撃する時間そのものを減らせれば、より安定して試合を終えられたはずだ。

それでも、アウェーで上位の宮崎から勝点3を獲得した価値は大きい。次戦につながる大きな一勝だった。

順位表

第16節終了時点で、ヴィアマテラス宮崎は4位へ順位を下げた。
首位・静岡SSUボニータとの差は6ポイントへ広がった。残り6試合で優勝争いに残るためには、ここから勝点を落とせる余裕は小さい。

ASハリマアルビオンは8位へ浮上。
9位愛媛FCレディースとは同勝点ながら得失点差で上回っている。

一時は下位に沈んでいたが、第11節以降は4勝1分1敗。中断前最後の静岡戦では0-5と大敗したものの、それ以外の5試合は無敗で、中断明け初戦でも上位の宮崎を破った。
シーズン序盤に比べて明らかに勝点を積み上げられるようになっており、序盤戦とは違う位置から、残り6試合を迎えることになる。

順位
(前節)
チーム名勝点試合数勝分負得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ351611234811+37
2(2)朝日インテック・ラブリッジ名古屋32169523715+22
3(4)オルカ鴨川FC31169432511+14
4(3)ヴィアマテラス宮崎29168532918+11
5(5)伊賀FCくノ一三重29168531912+7
6(6)岡山湯郷Belle23167272328-5
7(8)ニッパツ横浜FCシーガルズ21166372927+2
8(10)ASハリマアルビオン19165471822-4
9(7)愛媛FCレディース19165471831-13
10(9)スフィーダ世田谷FC16164482329-6
11(11)日体大SMG横浜101631121447-33
12(12)VONDS市原FCレディース4161114840-32

次節に向けて

ヴィアマテラス宮崎

次節、宮崎は11位の日体大SMG横浜とのアウェー戦に臨む。
前回対戦では、宮崎が前半だけで4得点を挙げて4-2で勝利した。

日体大は第16節でもVONDS市原FCレディースに1-2で敗れており、現在11位。

宮崎にとっては、今回の敗戦を引きずらずに勝点3を取りたい試合となる。首位との勝点差が6ポイントに広がっただけに、優勝争いへ食らいつくためにも連敗は避けなければならない。

ASハリマアルビオン

ASハリマアルビオンは、岡山湯郷Belleとのアウェー戦に臨む。
前回対戦では後半アディショナルタイムに決勝点を許し、3-4で敗れた。3得点を挙げながら勝点を持ち帰れなかっただけに、悔しさの残る一戦だった。

中断期間中の湯郷は、主力選手を含む複数の退団・移籍と新加入があり、チーム編成が大きく動いた。中断明け初戦となった第16節では、オルカ鴨川FCにホームで1-5と敗れている。

対するハリマは大きくメンバーを変えず、中断前まで積み上げてきた戦い方を継続できている。
宮崎戦で見せたようにボールを動かしながら相手を左右に揺さぶり、川﨑や千葉ら前線の特徴を生かすことができれば、順位表では上にいる湯郷に対しても十分に勝点3を狙える。

宮崎を破った自信を、次の結果へつなげられるかが注目される。

リソース

チーム紹介

ヴィアマテラス宮崎
ヴィアマテラス宮崎の2026シーズン成績やスタッツ、強度と推進力を生かした攻撃、ビルドアップ面の変化を紹介。永野桃子、土屋佑津季、小澤寛、山本さゆり、後藤優香ら注目選手や試合レビューもまとめています。
ASハリマアルビオン
ASハリマアルビオンの2026シーズン成績やスタッツ、前線の脅威と中盤の強度を両立する戦い方を紹介。千葉園子、川﨑咲耶、井上麗叶、三冨りりか、南條里緒ら注目選手や試合レビューもまとめています。

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