【試合レビュー】伊賀が静岡の攻撃を封じて1-0勝利 増田玲那の一撃を守り切る|2026プレナスなでしこリーグ1部 第14節

試合レビュー

32.9℃を記録した梅雨の晴れ間。2026プレナスなでしこリーグ1部 第14節、ヤマハスタジアム(磐田)では静岡SSUボニータと伊賀FCくノ一三重が対戦した。

前回対戦は、第3節での0-0。静岡がボールを握って押し込む時間を作りながらも、伊賀が強度の高い守備で耐え抜いた一戦だった。

今節は、優勝争いの行方を左右する上位対決。静岡は首位を守るために、伊賀は優勝争いに踏みとどまるために、互いに勝点3がほしい試合だった。

この記事の要点

  • 伊賀FCくノ一三重が、前半9分の増田玲那のゴールを守り切って首位・静岡SSUボニータを撃破
  • 静岡はボールを持つ時間を作ったものの、伊賀の中盤の強度と粘り強い守備に阻まれ、シュートは5本にとどまった
  • 伊賀は勝点25に伸ばして5位を維持。静岡は開幕から守ってきた首位の座を明け渡し、2位に後退した

試合情報

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試合展開

伊賀が早い時間に先制

試合は立ち上がりから伊賀の強度が目立った。

前半9分、伊賀は中央での競り合いからボールをつなぐ。#9桂亜依、#6常田麻友を経由し、左サイドの#14増田玲那へ展開。増田は細かいステップで相手との間合いを外すと、思い切りよく左足を振り抜いた。

無回転気味に飛んだミドルシュートは、静岡GK#21田谷春海の手が届かないコースへ。ボールはゴールネットを揺らし、伊賀が早い時間帯に先制した。

静岡にとっては、まだ十分に時間が残る失点だった。しかし、このゴールは試合全体の流れを大きく方向づけた。伊賀は先制後も、前からの圧力と中盤の強度を保ちながら、静岡の前進を制限していった。

伊賀の中盤が静岡の起点を消す

静岡は落ち着いてボールを動かし、#10横山久美、#9中島咲友菜、#8三輪玲奈らを生かす形を作ろうとした。

しかし、伊賀の守備は非常に整理されていた。

前線からのプレスで静岡のビルドアップに圧力をかけ、中盤では横山久美に簡単に前を向かせない。ボールが入る前に寄せ、入った瞬間には複数人で距離を詰める。静岡の攻撃のスイッチを入れさせないことが、伊賀の守備の大きな狙いだった。

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とくに#6常田麻友の働きは大きかった。横山の動きを意識しながら中盤の中央を締め、攻撃時にはアタッキングサードまで顔を出す。守備だけでなく、伊賀が押し返すためのつなぎ役としても存在感を示した。

また、左サイドでは#7渡邊凜と#14増田玲那の関係が強力だった。渡邊・増田は運動量と推進力、さらにドリブルとシュート意識で静岡の右サイドを押し込む。伊賀は、守備で奪ってから攻撃へ出るまでの迷いが少なかった。

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一方の静岡は、岸野・中島が守備対応に追われる場面が増えたことで、相手にとって怖い位置でボールを受ける回数が限られた。前半は伊賀が攻守両面で主導権を握り、1-0で折り返した。

静岡が保持を高めるも、伊賀が最後を許さない

後半に入ると、静岡がボールを保持する時間は長くなった。

静岡は伊賀の左サイドとは逆側を使いながら、#10横山久美、#9中島咲友菜、#6万力安純、#5服部花音らが関わって前進。ラインを高く保ち、伊賀を押し込む時間を増やしていった。

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ただ、伊賀は崩れなかった。

横山や中島にボールが入っても、前を向かせない。体を当て、プレーの選択肢を制限し、攻撃をワンテンポ遅らせる。その間にチーム全体が1m、2mと距離を修正し、スペースを消していく。押し込まれながらも、陣形のコンパクトさは保たれていた。#8島野美央が高い位置で相手のボランチに当たることで、配球の自由度を狭めていたことも効いていた。

最終ラインでは#3秦美結、#26清悠香、#5常田菜那が身体を張り続けた。静岡がペナルティエリア付近まで進んでも、シュートを打つ前に寄せる。打たせても簡単な体勢では打たせない。伊賀の守備は、最後の局面で静岡の迫力と精度を消していた。

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カウンターが静岡の押し込みを止める

伊賀は守るだけではなかった。

後方からのクリアに#10平田ひなのが競り、#9桂亜依、#24唐沢芽依、#7渡邊凜が一気に前へ出る。こうしたカウンターがあることで、静岡はラインを上げ切れなかった。

静岡は攻めたい。しかし、伊賀のカウンターにも対応しなければならない。結果として、押し込み続ける時間を作り切れず、前進と後退を繰り返す展開になった。

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終盤、静岡は#11大曽根由乃、#17櫻田彩乃、#19曽我来未を投入して1点を追った。横山が最終ライン付近まで戻って守備に関わり、そこから攻撃を組み立てる場面もあった。今季ここまでの静岡ではあまり見られなかった形であり、それだけ伊賀が静岡の通常の攻撃ルートを制限していたとも言える。

最後まで伊賀の運動量と集中力は落ちなかった。静岡のシュートは5本に抑えられ、ゴールは生まれず。32℃を超える暑さの中での上位対決は、静岡SSUボニータ 0-1 伊賀FCくノ一三重で幕を閉じた。

総括

両チームとも強度が高く、見応えのある一戦だった。静岡がボールを握って攻める時間を作った一方で、伊賀は運動量と整理された守備、鋭いカウンターで試合の主導権を渡さず、勝利を手繰り寄せた。

静岡SSUボニータ

静岡にとっては、伊賀の強みを真正面から受ける時間が長くなった試合だった。

前半、伊賀の左サイドに並ぶ渡邊凜と増田玲那に対して、静岡は正面から対抗した。しかし、そのサイドから伊賀に前進を許し、早い時間帯に増田のミドルシュートで失点。以降も伊賀の中盤の出足、前線のプレスバック、最終ラインの粘りにより、静岡の攻撃は分断された。

後半は、渡邊・増田がいるサイドとは逆側を使うことで、ボール保持の時間を増やした。押し込む展開も作ったが、伊賀は横山久美に対して常田麻友、秦美結、清悠香らが強度高く対応。静岡の攻撃から、最も怖い形を奪っていった。

静岡は今季、攻撃力を武器に首位を走ってきたチームである。ただ、この試合では、相手の強みを受けながら上回るだけでなく、どこを避け、どこから前進するかという強かさも求められた。

前半から伊賀の左サイドを避け、逆サイドを起点に攻撃を組み立てる時間を増やしていれば、伊賀の得意な攻撃の形を減らし、失点リスクを抑えられた可能性はある。

首位から2位に後退したとはいえ、優勝争いの中心にいることは変わらない。重要なのは、この敗戦を次戦に活かすこと。強度の高い相手に対して、攻撃の入口をどのように作るか。中断期間前最後の一戦に向けて、修正力が問われる。

伊賀FCくノ一三重

伊賀は、チーム全体で勝利をつかみ取った。

前半、比較的プレッシャーを受けにくかった左サイドで渡邊凜と増田玲那が躍動。増田が思い切りのよいミドルシュートを決め、先制に成功した。試合の入りでリードを奪えたことは大きかったが、それ以上に評価したいのは、先制後の戦い方である。

伊賀はリードしてからも前進するための守備を継続した。前線はプレスバックを怠らず、中盤は静岡の攻撃のスイッチを潰し続けた。常田麻友と島野美央が中央で粘り、最終ラインの常田菜那、清悠香、秦美結は1対1で簡単に負けなかった。

また、守備一辺倒ではなく、平田ひなのが前線で身体を張り、桂亜依が中盤まで下りて組み立てに関わった。唐沢芽依や渡邊凜の前進もあり、静岡に「前に出切れない理由」を与え続けた。

伊賀の強さは、球際だけではない。誰がどこを消すのか、誰が出たら誰が埋めるのか。その判断が速く、90分を通して大きく崩れなかった。静岡のシュートを5本に抑えたことは、チーム全体の守備設計とハードワークの成果だった。

中断期間前の上位3連戦で、初戦の名古屋戦は落とした。しかし、今節は首位だった静岡を撃破した。次節のヴィアマテラス宮崎戦でも同じ強度と集中力を再現できれば、伊賀は優勝争いにさらに踏み込める。

順位表

第14節終了時点で、静岡SSUボニータは開幕から守ってきた首位の座を明け渡し、2位に後退した。伊賀FCくノ一三重は勝点を25に伸ばし、5位を維持している。

1位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋、2位の静岡、3位のヴィアマテラス宮崎、そして4位のオルカ鴨川FC、5位の伊賀まで、上位争いはさらに混戦となった。

順位
(前節)
チーム名勝点試合数得点失点得失点過去5試合
1(2)朝日インテック・ラブリッジ名古屋31149413712+25
2(1)静岡SSUボニータ29149234010+30
3(3)ヴィアマテラス宮崎28148422815+13
4(4)オルカ鴨川FC25147431910+9
5(5)伊賀FCくノ一三重25147431711+6
6(6)岡山湯郷Belle231472521210
7(10)ASハリマアルビオン16144461516-1
8(7)スフィーダ世田谷FC16144462224-2
9(8)愛媛FCレディース16144461527-12
10(9)ニッパツ横浜FCシーガルズ15144372327-4
11(11)日体大SMG横浜101431101344-31
12(12)VONDS市原FCレディース0140014639-33

次節に向けて

次節、静岡SSUボニータはアウェーでASハリマアルビオンと対戦する。

中断期間前最後の試合で、連敗は避けたい。今節で見えた課題を修正し、再び攻撃の迫力を取り戻せるか。優勝争いの中心にいる状態でサマーブレイクを迎えるためにも、重要な一戦になる。

伊賀FCくノ一三重は、ホームにヴィアマテラス宮崎を迎える。

宮崎に勝利すれば、伊賀は勝点28で宮崎に並ぶ。優勝戦線に踏みとどまるだけでなく、上位争いの構図をさらに動かす可能性がある一戦だ。

静岡を破った強度、ハードワーク、そして決定力をもう一度示せるか。伊賀にとっても、中断期間前の大きな山場となる。

リソース

フルマッチLIVE配信

第14節全試合ハイライト動画

公式記録

日程・結果

なでしこリーグ公式ガイドブック