2026プレナスなでしこリーグ1部 第18節。
全22節のリーグ戦は、この試合を含めて残り5試合。首位を走る静岡SSUボニータが、6位のニッパツ横浜FCシーガルズをホームに迎えた。
第7節の前回対戦は2-2の引き分け。ニッパツは、シーズン前半に静岡から勝点を奪った数少ないチームのひとつである。
さらにニッパツは、第15節のスフィーダ世田谷FC戦から3連勝中。そのすべてを無失点で終え、チーム状態を上げながら首位との一戦を迎えた。
試合は、ニッパツが前線からのプレスと背後を狙う攻撃を90分間継続。静岡もボールを動かしながら押し返したが、前半33分に岡百々花が奪った1点を最後まで守り切ったニッパツが、1-0で勝利した。
この記事の要点
- 岡百々花がバックパスを逃さず、前半33分に決勝ゴール
- ニッパツが前線からのプレスと中央を締める守備で静岡の攻撃を制限
- ニッパツは今季初の4連勝。4試合連続のクリーンシートを達成
試合情報
ボニータ
シーガルズ
▲ IN / ▼ OUT / HT ハーフタイム
- GK21田谷 春海
- DF22上西 可奈子
- DF3彦坂 桃花
- DF4青葉 結衣
- DF5服部 花音
- MF7高島 絢音
- MF8三輪 玲奈
- MF9中島 咲友菜
- MF17櫻田 彩乃54分▼
- MF15岸野 早奈
- FW10横山 久美 C
- GK20内海 佑南
- MF14渡邉 琉那
- MF18井ノ瀬 玲緒奈54分▲
- MF19曽我 来未
- MF23山本 香月
- FW16藤田 桃加
監督 本田 美登里
- GK19松井 里央
- DF31俣野 佑果
- DF15渋谷 巴菜
- DF4中居 未来 C
- DF25松尾 由帆71分▼
- MF11岡 百々花
- MF5吉田 凪沙
- MF14田村 かのん82分▼
- MF7浦島 里紗HT▼
- FW6權野 貴子HT▼
- FW10室井 胡心
- GK29宜野座 令愛
- DF36長江 伊吹71分▲
- MF9矢野 梨紗90+4分▲
- MF22加田 菜HT▲
- MF27神立 美百合82分▲
- FW13村上 真生HT▲ / 90+4分▼
- FW32内田 光
監督 山本 絵美
試合展開
静岡がボールを動かし、ニッパツは縦への速さで対抗
立ち上がりは静岡が#10横山久美を攻撃の中心に据え、ボールを動かしながら前進した。
両サイドバックの#22上西可奈子と#5服部花音も高い位置を取り、サイドからクロスを供給。静岡らしい攻撃の形を作っていく。
対するニッパツは、自陣の低い位置で横パスを奪われかける場面もあったが、その後は最終ラインで無理につなぐ回数を抑えた。ボールを奪えば#10室井胡心や#11岡百々花を素早く走らせ、静岡の守備陣が整う前に攻め切ろうとする。
なかでも攻守に存在感を示したのが岡だった。守備では最終ライン付近まで戻りながら、攻撃へ切り替わると前方へ走ってボールを引き出す。セカンドボールや相手のバックパスにも反応し、静岡の選手に落ち着いてプレーする時間を与えなかった。
岡百々花がバックパスを逃さず先制
均衡が破れたのは前半33分だった。
静岡陣内でボールを奪ったニッパツは、#10室井が右サイドから中央へ入っていた#11岡へパスを送る。岡のコントロールが右へ流れたボールをめぐり、#31俣野佑果と#9中島咲友菜が競り合った。
俣野のプレスを受けた中島はGKへのバックパスを選択。しかし、岡はプレーを止めずにボールを追っていた。
ボールとGKの間へ走り込むと、右足のワンタッチシュートでゴールネットを揺らした。
直接的にはバックパスから生まれた得点だが、それだけではない。前線から相手を追い続け、後方へのパスにも反応するニッパツの狙いが結実したゴールだった。

前半のうちに追いつきたい静岡は、右サイドを中心にクロスを供給する。しかし、ニッパツはペナルティーエリア中央を固め、入ってくるボールを粘り強くはじき返した。
さらにボールを奪えば、室井と岡のスピードを生かしてカウンターへ移行。静岡に守備への切り替えを強いながら、0-1で前半を折り返した。
ニッパツが後半開始から追加点に迫る
後半も先に決定機を作ったのはニッパツだった。
51分、右サイドのスローインから岡が抜け出し、#10室井胡心、#22加田菜と立て続けにシュートを放つ。静岡のDF陣が身体を張ってブロックしたが、最後は#11岡百々花がペナルティーエリア内から左足で狙った。
このシュートはゴールポストとクロスバーの角を直撃。静岡は追加点こそ免れたものの、相手の鋭い連続攻撃に押し込まれた。
一方のニッパツにも、後方からの組み立てで連係が合わず、中央へのパスを静岡に奪われる場面があった。静岡は相手陣内でボールを回す時間を増やしたが、中央に人数を集めるニッパツの守備をパスで崩そうとすると、途中で引っかかってカウンターを受けた。

静岡は中盤に交代選手を投入し、攻守のバランスを整えようとする。右サイドでは#22上西がドリブルで相手をかわし、#10横山もクロスに頭で合わせるなど、ゴールへ迫った。
しかし、DFが前へ出た際の中盤との距離が広がり、こぼれ球を回収し切れない場面もあった。そこでニッパツにボールを奪われると、少ない手数でサイドへ展開され、一気にフィニッシュまで持ち込まれた。
58分には室井が静岡の最終ラインを抜け出してシュート。GK#21田谷春海が冷静に防ぎ、追加点を許さなかった。
静岡の反撃を松井里央と守備陣が阻止
ニッパツは静岡の最終ラインへ継続的にプレスをかけ、ビルドアップをサイドへ誘導した。そこへ室井、岡、加田らスピードと運動量のある選手が寄せることで、静岡に後方へのやり直しや、苦しい体勢からのパスを選ばせていく。
それでも静岡は、素早く再開したゴールキックから好機を作った。
#10横山が前線でボールを収めて#8三輪玲奈へ落とし、三輪から#7高島絢音へつなぐ。高島の縦パスを受けた#9中島は、相手を背負いながら半身で前を向いてシュートを放った。
しかし、ニッパツのGK#19松井里央がセーブ。静岡に傾きかけた流れを食い止めた。

残り10分を切り、静岡がさらに前がかりになると、室井はバックパスにも素早く反応。最後まで足を止めずにボールを追い、奪ってから自らゴールを狙ったが、ここも田谷が防いだ。
静岡も中島が力強いドリブルで相手の守備網へ仕掛ける。しかし、ニッパツはペナルティーエリア中央を空けず、最後のシュートまで持ち込ませない。
試合終了間際になってもニッパツのプレスの鋭さと運動量は落ちなかった。前線から相手を追い、最終ラインは身体を張ってクロスをはじき返す。
静岡の反撃を最後まで抑えたニッパツが、岡の1点を守り切って1-0で勝利した。
総括
ニッパツの勝利を決めたのは、前半33分に生まれた静岡のバックパスのミスだった。
しかし、その一場面だけで勝敗を語ることはできない。
ニッパツは試合を通して静岡の最終ラインへ圧力をかけ、背後へのパスやバックパスを狙い続けた。岡の得点は、相手が後方へボールを戻す瞬間にも足を止めず、ゴール方向への動きを継続したからこそ生まれている。
守備でも、静岡がボールを持つことを過度に恐れず、危険な中央を締めて対応。横山へのパスには最終ラインが強く寄せ、クロスには複数の選手が身体を張った。
静岡にも中島のシュートなど得点機はあったが、ニッパツはGK松井を中心に最後の一線を越えさせなかった。
前線からの守備、セカンドボールへの反応、ボールを奪ってからの縦への速さ。ニッパツが自分たちの強みを90分間発揮し、首位から勝点3を持ち帰った一戦だった。
静岡SSUボニータ
静岡の試合への入りは悪くなかった。
横山を起点にボールを動かし、両サイドバックも高い位置へ進出。先制を許した後も慌てず、サイド攻撃や素早いリスタートから得点機を作った。
一方で、ニッパツの強度に対して中盤でボールを失う場面が増え、攻撃を続けるためのセカンドボール回収に苦しんだ。ボールを失った直後には、室井や岡のスピードを生かしたカウンターを受けている。

攻撃面では、最終的なパスの送り先が横山に偏っていたように見受けられた。
横山は厳しいマークを受けながらもシュートまで持ち込んだが、ニッパツは中央を固め、横山へボールが入った瞬間に強く寄せていた。相手にとって狙いを定めやすい形になっていたことは否めない。
中島や三輪は自ら仕掛ける姿勢を見せ、上西もサイドから積極的に攻撃へ参加した。他の選手も自らシュートする回数を増やし、横山以外にも複数の攻撃の出口を作れるか。
中央へのクロスだけでなく、マイナス方向への折り返しやミドルシュートを織り交ぜ、相手守備陣の視線を分散させることが今後のポイントになる。
首位を守っているとはいえ、残りは4試合。優勝争いを制するためには、この敗戦から攻撃の選択肢をどこまで広げられるかが問われる。
ニッパツ横浜FCシーガルズ
ニッパツは今季初の4連勝。そのすべてをクリーンシートで飾った。
第15節のスフィーダ世田谷FC戦から始まった連勝は、名古屋、伊賀、そして首位・静岡を破るまでに伸びている。
好調の要因として挙げられるのは、後方でボールを動かす場面と、無理をせず前方へ送る場面が整理されたことだろう。相手に囲まれた状態でパスをつなぐことに固執せず、前線のスピードを生かせる状況では迷わず縦を選択している。

最大の武器は、室井と岡のスピードだ。
両選手は相手の背後を繰り返し狙うだけでなく、守備では低い位置まで戻り、前線からのプレスにも全力を注ぐ。一度背後を取れば相手が追いつくのは難しく、ボールを持った瞬間から積極的にゴールを目指す姿勢もニッパツの怖さにつながっている。
加田も豊富な運動量で左サイドを上下動し、攻守にわたってプレーに関わった。加田がサイドで仕掛けることで相手を引きつけることで室井が内側へ入ることができ、中央とサイドの両方からゴールを狙える形が生まれている。
相手の背後を狙い、こぼれ球を中盤が回収する。最終ラインは中央を締め、入ってくるクロスをはじき返す。
派手さよりも、それぞれの役割を迷わず遂行する強さがある。首位を含む上位陣を破ったこの戦い方の完成度をさらに高められるか。終盤戦のニッパツは、どのチームにとっても難しい相手になっている。
順位表
第18節終了時点で、静岡SSUボニータは首位をキープしているが、朝日インテック・ラブリッジ名古屋が勝点1ポイント差で背中に迫っている。
ニッパツ横浜FCシーガルズは6位から変わらずだが、5位との差を勝点2ポイント差まで詰めた。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 36 | 18 | 11 | 3 | 4 | 49 | 13 | +36 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 35 | 18 | 10 | 5 | 3 | 39 | 18 | +21 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 26 | 14 | +12 | |
| 4(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 32 | 24 | +8 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 29 | 18 | 8 | 5 | 5 | 21 | 17 | +4 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 32 | 27 | +5 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 28 | 29 | -1 | |
| 8(10) | 愛媛FCレディース | 22 | 18 | 6 | 4 | 8 | 21 | 35 | -14 | |
| 9(8) | ASハリマアルビオン | 20 | 17 | 5 | 5 | 7 | 18 | 22 | -4 | |
| 10(10) | スフィーダ世田谷FC | 19 | 18 | 5 | 4 | 9 | 27 | 32 | -5 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 18 | 4 | 1 | 13 | 18 | 51 | -33 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 10 | 18 | 3 | 1 | 14 | 12 | 40 | -28 |
次節に向けて
静岡SSUボニータ
次節、静岡SSUボニータはヴィアマテラス宮崎との上位直接対決にアウェーで臨む。
第8節の前回対戦では、横山久美が前半に決めたPKの1点を守り切り、静岡が1-0で勝利した。個人的に、今シーズンのなでしこリーグ1部屈指の好ゲームだったと感じた一戦である。
宮崎は第16節、早い時間に数的不利となった試合でASハリマアルビオンに1-3で逆転負け。しかし、第17節では日体大SMG横浜との接戦を2-1で制し、勝点3を積み上げた。
シーズン前半ほど各チームの力の差は大きくなく、終盤戦はどの試合も簡単には勝てない。静岡にとっては連敗を避けるとともに、優勝争いの主導権を守るためにも重要な一戦となる。
前回対戦と同様、両チームの強度と攻守の切り替えがぶつかり合う試合に期待したい。
ニッパツ横浜FCシーガルズ
ニッパツ横浜FCシーガルズは、日体大SMG横浜との「なでしこ横浜ダービー」にアウェーで臨む。
第8節の前回対戦では、室井胡心、岡百々花、内田光が得点を挙げ、ニッパツが3-1で勝利した。
日体大は11位と苦しい状況が続いているものの、第17節のヴィアマテラス宮崎戦では終盤まで1点差で食い下がった。中盤から前線へボールを運ぶ形には改善が見られ、順位だけで判断できる相手ではない。
ニッパツとしては、好調を支える前線からの守備と中盤の強度を継続できるか。5連勝を飾れば、上位進出へさらに勢いがつく。順位差にかかわらず、ダービーは独特の緊張感を伴う一戦となる。両チームが最後まで強度を落とさない、熱い戦いに期待したい。
リソース
チーム紹介


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