2026プレナスなでしこリーグ1部は全22節を終え、静岡SSUボニータの1部初優勝で幕を閉じた。しかし、1部残留と昇格をかけた戦いは、まだ終わっていない。
昨シーズンに続いて11位となった日体大SMG横浜は、2年連続で入替戦に臨む。対戦相手は、なでしこリーグ2部で2位になったFCふじざくら山梨。山梨にとってはクラブ史上初めての1部昇格をかけた挑戦となる。
ホーム&アウェイ方式で行われる入替戦。その第1戦が11月1日(日)、山梨のホームスタジアムで開催された。
試合は前線からの積極的なプレスとスピードを生かした攻撃で、日体大が優位に進める展開となった。81分に柴原希保のヘディングシュートで先制したものの、終了間際の90+2分に途中出場の林知奈が同点ゴール。山梨が土壇場で追いつき、1-1の引き分けに終わった。
この記事の要点
- 日体大は前線のスピードと連動したプレスで主導権を握るも、決定機を生かし切れず。
- 柴原希保が81分に先制ゴール。山梨は90+2分に途中出場の林知奈が劇的な同点弾。
- 山梨は守備から攻撃への切り替え、日体大は決定力が課題。昇格・残留の決着は第2戦へ。
試合情報
出場メンバー・個人シュート数
| # | 位置 | 選手名 | S |
|---|---|---|---|
| 1 | GK | 出口 春奈 | 0 |
| 2 | DF | 高村 ちさと | 0 |
| 6 | DF | 五味 小暖 | 1 |
| 16 | DF | 奈良 美沙季 | 0 |
| 7 | MF | 小鍜治 旭 | 1 |
| 4 | MF | 源関 清花 | 1 |
| 14 | MF | 三田 幸望 | 3 |
| 10 | MF | 菅 百花 (C) | 0 |
| 8 | FW | 大矢 歩 | 0 |
| 9 | FW | 脇田 紗弥 | 0 |
| 20 | FW | 寺田 心春 | 0 |
| # | 位置 | 選手名 | S |
|---|---|---|---|
| 34 | GK | 高橋 杏奈 | — |
| 5 | DF | 高山 紗希 | 0 |
| 40 | DF | 鈴木 紋伽 | — |
| 11 | MF | 辻野 友実子 | 0 |
| 21 | FW | 林 知奈 | 1 |
| 24 | FW | AYANO WYATT | 2 |
| 41 | FW | 内藤 夏鈴 | 0 |
| # | 位置 | 選手名 | S |
|---|---|---|---|
| 12 | GK | 長谷川 想 | 0 |
| 4 | DF | 菅原 眞名 (C) | 1 |
| 23 | DF | 笠井 寧々 | 1 |
| 6 | DF | 西村 萌 | 0 |
| 17 | DF | 鈴木 温子 | 1 |
| 7 | MF | 髙橋 光莉 | 0 |
| 10 | MF | 本田 悠良 | 1 |
| 26 | MF | 今野 真帆 | 1 |
| 9 | MF | 柴原 希保 | 2 |
| 16 | FW | 鬼頭 こはな | 0 |
| 11 | FW | 浅香 美結 | 1 |
| # | 位置 | 選手名 | S |
|---|---|---|---|
| 1 | GK | 福田 はな | — |
| 35 | DF | 柴山 華奈 | 0 |
| 18 | MF | 中村 柚仁 | — |
| 27 | MF | 杉本 光羽 | — |
| 34 | MF | 澤野 翔夏 | — |
| 13 | FW | 山本 葉桜 | 3 |
| 21 | FW | 佐藤 実玖 | — |
前半の交代情報
後半の交代情報
- 57分IN #24 AYANO WYATTOUT #8 大矢 歩
- 57分IN #11 辻野 友実子OUT #20 寺田 心春
- 62分IN #41 内藤 夏鈴OUT #4 源関 清花脳震盪交代
- 85分IN #5 高山 紗希OUT #10 菅 百花
- 90分IN #21 林 知奈OUT #9 脇田 紗弥
- 63分IN #13 山本 葉桜OUT #16 鬼頭 こはな
- 79分IN #35 柴山 華奈OUT #7 髙橋 光莉
試合展開
日体大が積極的なプレスと縦への速い攻撃で主導権を握る
序盤から試合の主導権を握ったのは日体大だった。
後方からのロングボールで前線のスピードを生かす、リーグ中盤戦から取り入れてきた攻撃を展開する。
最前線の#11浅香美結は、持ち前のスピードと豊富な運動量で相手最終ラインの背後を狙う。2トップを組む#16鬼頭こはな、左サイドハーフの#9柴原希保も献身的に守備へ参加し、前線の3人が連動して山梨の最終ラインへ鋭くプレスを仕掛けた。
さらに、中盤では#26今野真帆が相手のボール保持者に素早く寄せ、自由に前を向かせない。
前線からのプレスと中盤の強度を組み合わせた日体大に対し、山梨は自陣からの前進に苦労する。
最初の決定機は24分。
山梨の最終ラインでの横パスを浅香が素早くインターセプト。そのままGKとの1対1に持ち込んだが、シュートはゴール左へ外れた。
絶好の先制機を逃した日体大だったが、その後も浅香の背後への飛び出しや、GKへのバックパスを狙ったプレスによって山梨を押し込んでいく。
対する山梨は、自陣の低い位置でボールを奪った後のプレー選択に苦しんだ。周囲に日体大の選手が複数いる状況でも短いパスでつなごうとし、相手のプレスに捕まってボールを失う場面が見られた。
また、中盤でボールを失った際には、誰がボール保持者に寄せるのか判断が遅れ、相手に前進を許す場面もあった。
前半終盤にはサイドから攻撃を組み立てる場面も見られたが、日体大の素早い寄せによってクロスを制限され、決定機にはつなげられない。
前半のシュート数は山梨3本、日体大2本。数字上は山梨が上回ったものの、日体大が優位に立つ時間が長かった。
両チームともゴールを奪えず、0-0で前半を折り返した。
ハーフタイムの交代を含む
日体大が攻勢を強めるも、決定機を生かし切れず
後半も日体大が主導権を握る。
左サイドの#9柴原希保は積極的なドリブル突破からシュートを狙い、#11浅香美結もスプリントを繰り返して相手最終ラインにプレッシャーをかけ続けた。
山梨は、日体大が中盤でボールを保持した際に、ダブルボランチの2人がともに前へ引き出される傾向があった。その結果、最終ラインの前に広いスペースが生まれてしまう。
日体大はこのスペースを突き、大きな決定機を迎えた。
左サイドで柴原が相手を引き付け、空いたスペースへ#7髙橋光莉が進入。柴原からパスを受けた髙橋は、ペナルティエリア内へ進入すると、左へ開いた浅香にボールを送る。
浅香がワンタッチで上げたクロスは山梨の守備陣を越え、ファーサイドまで上がってきたDF#4菅原眞名へ。
ゴール至近距離で絶好のチャンスを迎えた菅原は、ワントラップからコースを狙ったシュートを放つ。しかし、ボールはゴール右へわずかに外れた。
シュートまでの間に山梨の守備陣がゴール前へ戻っていたことも、フィニッシュの難しさにつながったと考えられる。
その後も日体大は、#26今野真帆の強度の高い中盤での守備から攻撃につなげ、相手ゴールへ迫る。63分から出場した#13山本葉桜も、巧みなボールコントロールと積極的な仕掛けで攻撃に変化を加えた。
しかし、シュートは枠を捉え切れず、得点には至らない。
一方、山梨にもチャンスが訪れる。
ロングボールを起点に右サイドから左サイドへ大きく展開。サイドの深い位置からクロスを上げると、#7小鍜治旭が左足で合わせた。
シュートは日体大の守備陣にブロックされたものの、サイドを使って相手守備を動かし、ゴール前まで迫った場面だった。
それでも試合の流れは変わらず、日体大が攻撃を仕掛け、山梨が守備に回る時間が続いた。
山本葉桜のクロスに柴原希保が飛び込み、日体大が先制
試合が動いたのは81分だった。
日体大陣内でのスローインの流れから、途中出場の#35柴山華奈が前線へ浮き球のパスを送る。
相手DFと競り合った#13山本葉桜が素早く反転してこぼれ球を収め、右サイドを前進。山梨の守備陣が戻り切る前に、GKとDFの間へ精度の高いクロスを送り込んだ。
このクロスに飛び込んだのが#9柴原希保だった。
山本がボールを受けた時点ではピッチ中央付近にいた柴原は、そこから一気にゴール前までスプリント。相手DFの背後へ走り込み、ダイビングヘッドでゴールネットを揺らした。
この試合、攻守に何度もスプリントを繰り返してきた柴原。その運動量とゴール前への鋭い動き出しが、ついに先制点へ結びついた。
日体大が待望の先制ゴールを奪い、スコアは0-1となった。
90+2分 途中出場の林知奈が劇的な同点ゴール
先制後も日体大は攻撃の手を緩めず、追加点を狙って前へ出る。
山梨は90分に#21林知奈を投入。残り時間が限られる中、前線へボールを送って同点ゴールを目指した。
そして迎えた後半アディショナルタイム2分。
山梨が前線へ送り込んだボールを日体大がクリアするが、低い軌道のクリアボールは味方選手に当たり、中央へこぼれた。
このボールを拾った林が前方へ持ち出し、左足を振り抜く。
ミドルレンジから放たれたシュートは、緩やかな山なりの軌道を描き、日体大GK長谷川想の手を越えてゴールネットを揺らした。
日体大が優勢に試合を進めていた中、山梨が土壇場で同点に追いついた。
その後、日体大は勝ち越しゴールを目指して攻勢を強めたが、追加点を奪うことはできずにタイムアップ。
試合内容では日体大が優位に立ちながらも、1-1の引き分け。入替戦の決着は第2戦へ持ち越された。
総括
試合内容では、日体大SMG横浜が明確に優位に立った一戦だった。
前線からの連動したプレスとスピードを生かした縦への攻撃で主導権を握り、後半だけでシュート9本を記録。81分に先制してからも攻勢を維持した。
しかし、複数の決定機を生かせず、最後まで1点差のまま試合を進めたことが勝利を逃す大きな要因となった。
一方のFCふじざくら山梨は、攻守の切り替えや中盤での対応に苦しみながらも、追加点を許さずに終盤まで持ちこたえた。相手のフィニッシュ精度に助けられた面はあるものの、最後まで失点を1点に抑えたことが土壇場の同点劇につながった。
この試合で印象的だったのは、日体大の積極的なプレーである。
前線の選手たちは終盤までスプリントを繰り返し、中盤でも素早い寄せと球際の強さを発揮。1部残留をかけた一戦への強い意気込みが、プレーから感じられた。
それでも、結果は1-1。
試合内容で上回ることと、勝利をつかむことは必ずしも一致しない。
内容で優位に立った日体大が勝利を逃し、劣勢だった山梨が土壇場で追いついた。
入替戦という緊張感のある舞台で、サッカーの難しさが表れた一戦となった。
FCふじざくら山梨
クラブ史上初めての1部昇格をかけた入替戦。その第1戦を引き分けに持ち込めたことは、山梨にとって大きな意味を持つ。
ただし、試合内容には改善すべき点が多かった。
特に気になったのは、中盤の強度と攻守の切り替えである。
自陣でボールを奪った後、周囲に相手選手がいる状況でもパスの出しどころを探し、再びボールを失う場面が見られた。
中盤では、ボールを失った際に素早く寄せ切れず、最終ラインの前にスペースを与えてしまう。そこを日体大に使われ、攻撃を受ける時間が長くなった。
また、相手の浅香美結、柴原希保、途中出場の山本葉桜への対応にも苦労した。
浅香のスピードを生かした背後への飛び出し、柴原の豊富な運動量、山本の高い技術と判断力。この3人に自由を与える時間が長くなれば、第2戦でも厳しい戦いを強いられるだろう。

山梨に必要なのは、相手の攻撃を受け止めるだけでなく、自らボールを奪いに行く強度を高めることである。
特に中盤での球際の争い、ボールを失った直後の寄せ、そして攻撃への素早い切り替えが重要となる。
一方で、日体大のシュート11本に対して失点を1点に抑えたことも見逃せない。守備陣は身体を張ってゴールを守り、途中出場の林知奈が数少ないチャンスを得点に変えた。
偶発的な要素を含むゴールではあったが、最後まで競り合い、こぼれ球に反応したからこそ生まれた得点でもある。

第2戦では、相手のスピードと強度に受け身で対応するのではなく、自ら攻守の主導権を奪う時間を増やしたい。
そのためには、まず球際で競り負けないこと。そして、相手よりも素早く攻守を切り替えることが求められる。
日体大SMG横浜
勝利まであと一歩だった。
内容面では、日体大の強みが明確に表れた試合だった。
シーズン中盤までの日体大は、後方からのビルドアップに積極的に取り組んでいたものの、自陣の低い位置でボールを保持する際の判断や、ボールを失った後の守備対応に不安を抱えていた。
その後は守備の整理を進めるとともに、ロングボールを含めた縦への速い攻撃を増やし、前線のスピードを生かす戦い方へと変化してきた。
今回の入替戦でも、その戦い方は機能していた。
浅香美結は豊富な運動量とスピードで相手最終ラインを脅かし続け、柴原希保は左サイドから積極的に仕掛けながら、守備でもハードワークを見せた。
さらに途中出場の山本葉桜が技術と推進力を加え、先制点をアシストした。
中盤では今野真帆が素早い寄せと球際の強さを発揮し、相手に自由なボール保持を許さなかった。
前線のプレス、中盤の強度、縦への速い攻撃という持ち味がかみ合い、試合を優位に進めた。

一方、最大の課題はフィニッシュ精度である。
24分の浅香のGKとの1対1、後半の菅原眞名のゴール至近距離からのシュートなど、得点につながってもおかしくない決定機が複数あった。
公式記録ではシュート11本。そのうち9本を後半に放ちながら、得点は柴原の1点にとどまった。
もちろん、終了間際の失点にはクリアのミスが絡んでおり、守備にも改善の余地がある。
しかし、日体大が作り出した決定機を考えれば、2点目を奪えなかったことが勝ち切れなかった大きな要因だろう。

第2戦までの短い期間で、チームの得点力そのものを大きく変えることは難しい。それでも、今回の試合で見せた攻撃を再現し、さらに多くの決定機を作ることができれば、1部残留へ大きく近づくはずだ。
リソース
フルマッチLIVE配信
公式記録

