2026プレナスなでしこリーグ1部は第19節。全22節のリーグ戦は残り4試合となり、優勝争いだけでなく、残留争いも重要な局面を迎えている。
第18節終了時点で9位のASハリマアルビオンが、8位の愛媛FCレディースをホームに迎えた。
両チームともに1部残留を確定させていない状況で、愛媛は引き分け以上、ハリマは勝利すれば残留が決まる重要な一戦となった。
第8節の前回対戦は、ハリマが小池快のゴールで先制したものの、後半に愛媛が追いついて1-1の引き分けに終わっている。
今回の対戦では、立ち上がりから愛媛が試合の主導権を握った。
ハリマのビルドアップを鋭いプレスで制限すると、左サイドからの攻撃で先制。後半も主導権を渡さず、近藤彩優子の2得点と安齋結花のゴールで3-0の完封勝利を収めた。
愛媛は2連勝で勝点を25に伸ばし、なでしこリーグ1部残留を確定させた。
この記事の要点
- 愛媛がハイプレスとセカンドボールの回収で主導権を握り、ハリマの攻撃を封じた。
- 桜井由衣香のクロスを起点に2得点。近藤彩優子が2得点、安齋結花が1得点を挙げ、愛媛が1部残留を確定させた。
- ハリマはプレス開始位置が低く、ボール奪取後の前進にも苦戦。直近の試合で見せていた積極性を発揮できなかった。
試合情報
試合展開
ハリマのビルドアップを封じた愛媛が先制
試合は立ち上がりから愛媛がボールを保持し、ハリマを自陣へ押し込む展開となった。
ハリマは自陣に守備ブロックを構え、愛媛がボールを保持しても積極的にはプレスを仕掛けない。そのため、愛媛は最終ラインから余裕を持ってボールをつなぎ、両サイドを広く使って攻撃を組み立てていく。
一方、愛媛はハリマがゴールキックから短いパスでビルドアップを始めると、前線の選手が一斉にプレスを仕掛けた。
狙いは明確だった。
ハリマの最終ラインがボールを受けた瞬間に距離を詰め、パスコースを制限する。ハリマが縦パスを選択すれば、その出しどころを狙ってボールを奪いにいく。

このプレスから愛媛が最初の決定機を迎える。
#32平塚万貴がハリマの最終ラインにプレスを仕掛けてボールを奪うと、ペナルティエリア内へ進入して中央へ折り返す。
ゴール前で待っていた#29安齋結花がワンタッチで合わせたものの、シュートはゴールの左へ外れた。
さらに、ハリマのビルドアップから生まれた緩い縦パスを#32平塚がインターセプト。そのままシュートに持ち込んだが、GK小暮千晶の正面だった。
愛媛の狙いに対し、ハリマは有効な打開策を見いだせない。
ボールを奪っても前線の動き出しが遅く、横パスやバックパスを選択する間に愛媛の選手が帰陣。攻撃を組み立て直す必要が生じ、シュートまで持ち込めない場面が続いた。
そして、愛媛が先制点を奪う。
#32平塚から中央へ縦パスが入ると、#29安齋、#2松村がバイタルエリアでボールをつなぎ、左サイドでフリーになっていた#26桜井由衣香へ展開。
桜井がゴール前にクロスを供給すると、中央へ飛び込んだ#14近藤彩優子がヘディングで合わせ、ゴールネットを揺らした。
中央への縦パスから相手の守備を引きつけ、手薄になった左サイドへ展開。桜井のクロスと近藤の動き出しがかみ合った先制点だった。

先制後も愛媛は攻撃の手を緩めなかった。
最終ラインを押し上げ、ハイプレスを継続。ボールを奪えば縦パスやドリブルで積極的に仕掛け、ハリマを自陣に押し込む。
ハリマも今蔵綾乃がサイドからドリブルで仕掛け、シュートまで持ち込む場面を作ったものの、チーム全体の攻撃を活性化させるには至らなかった。
愛媛が攻守の両面で主導権を握り、1点リードで前半を折り返した。
交代で打開を図るハリマ、主導権を渡さない愛媛
後半に入っても、試合の構図は大きく変わらなかった。
ハリマは依然としてプレスを開始する位置が低く、愛媛は最終ラインから余裕を持ってビルドアップを展開する。
中盤から積極的に縦パスを供給し、近藤、安齋、#19黒岩沙羽らが前線やサイドでスピードを生かして仕掛けていく。
ハリマにも反撃の機会は訪れた。
後半序盤、#14正野可菜子のコーナーキックからボールがゴールネットを揺らしたものの、得点は認められなかった。
ハリマにとっては同点に追いつく絶好の機会だったが、スコアは変わらない。
攻撃が停滞するハリマは、71分に3人を同時交代。選手交代によって流れを変えようと試みる。
交代選手を中心に縦への推進力が生まれ、一時的に愛媛を押し込む場面も見られた。

しかし、愛媛も簡単には主導権を渡さない。
ハリマが前がかりになったところでボールを奪うと、近藤がドリブルで前進。ハリマ陣内の深い位置まで運び、相手の攻撃を寸断した。
このプレーによって愛媛は陣形を押し上げ、再び敵陣でプレーする時間を確保する。
ハリマが攻撃に人数をかけても、愛媛はボールを奪って前進し、相手に連続攻撃を許さなかった。
安齋・近藤の連続ゴールで愛媛が勝負を決める
愛媛の追加点は、またしても左サイドから生まれた。
左サイドでパスを受けた#26桜井が、ゴール前のニアサイドへクロスを供給。
#14近藤が飛び込み、ゴール前で混戦で足を伸ばしてボールに触り、そこに#29安齋が反応して左足ワンタッチでゴールに押し込む。愛媛がリードを2点に広げた。
先制点と同じく、桜井のクロスが起点となった。
ハリマは選手交代によって縦への意識を強めていたものの、守備の強度やボールを奪う位置に大きな改善は見られなかった。
そして、愛媛が立て続けに3点目を奪う。
ハリマが自陣で横パスをつないだところを#32平塚がカット。平塚はそのままドリブルで前進し、#14近藤へパスを送る。バイタルエリアでパスを受けた近藤が素早くボールを置き直して右足を振り抜くと、ミドルシュートがゴールネットに突き刺さり、愛媛が3-0とした。

ハリマがビルドアップでボールを失い、愛媛のショートカウンターから失点。前半から続いていた問題を最後まで解消できなかったことを象徴する場面となった。
その後もハリマは反撃を試みたものの、3点差を覆すことはできずに試合終了。
愛媛が3-0の完封勝利を収め、なでしこリーグ1部残留を確定させた。
総括
愛媛が試合を通じて主導権を握り、3-0の完封勝利を収めた。
前半のハリマはシュートわずか2本に対し、ゴールキックは13本。試合全体でもシュート数は6本対12本、コーナーキックは4本対10本と、愛媛が繰り返しゴールに迫ったことが数字にも表れている。
その背景にあったのは、両チームのプレス開始位置と、ボールを奪ってからの攻撃速度の違いだった。
愛媛は高い位置から積極的にプレスを仕掛け、ボールを奪うと素早く前進。一方、ハリマは低い位置で守備を構えたものの、奪ったボールを前線へ運べず、愛媛に攻撃の機会を与え続けた。
ASハリマアルビオン
ハリマにとっては、直近の試合で見せていた積極的な戦い方を発揮できず、課題の残る一戦となった。
まず気になったのは、守備のプレス開始位置である。
愛媛のスピードがある前線や両サイドの選手に対し、最終ラインの背後を取られることを警戒していたのかもしれない。
ただし、低い位置で守備ブロックを構えるのであれば、自陣に入ってきた相手を確実に捕まえ、ボールを奪う必要がある。
この日のハリマは、愛媛にボールを自由に運ばせる一方、自陣に入ってきた相手への寄せも十分ではなかった。
その結果、愛媛は中央への縦パスとサイドへの展開を使い分けながら、繰り返しチャンスを作ることができた。

攻撃面にも同様の問題があった。
ハリマはボールを保持すると、相手の守備を崩そうとパスをつなぐものの、前線の選手の動き出しや中盤からの上がりが遅く、後方や横方向へのパスが増えていく。
これでは、ボールを奪った直後に生まれたスペースを使うことが難しい。
愛媛はその間に帰陣を終え、ハリマが攻撃を組み立て直す頃には守備の陣形を整えていた。
後半、選手交代によって縦への意識は強まったが、中盤でのボール奪取や守備から攻撃への切り替えは大きく改善されなかった。
2点を追いかける状況でも、自陣での横パスを奪われ、ショートカウンターから3失点目を喫している。

ここまでの終盤戦を振り返ると、今回の試合内容は対照的だった。
第16節には、上位のヴィアマテラス宮崎を相手に3-1の逆転勝利。第17節は岡山湯郷Belleと0-0で引き分け、第18節も2位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋に1-2で敗れたものの、終盤まで勝負の行方が分からない接戦を演じている。
そうした試合で見せていた前向きな守備や、ボールを奪ってからの積極的な仕掛けを、この日はほとんど発揮できなかった。
正野のコーナーキックからネットが揺れた場面で得点が認められていれば、試合展開が変わった可能性はある。
ただし、その場面を除いても、前半から続いていた攻守の課題を改善することはできなかったように見える。
ハリマは今節の勝利で1部残留を決めたかったが、順位は10位に後退。
残り3試合は伊賀FCくノ一三重、オルカ鴨川FC、ニッパツ横浜FCシーガルズとの対戦が続く。
ここから残留を確実なものにするためには、直近の試合で見せていた積極性を取り戻し、攻守の切り替えと前進するスピードを改善することが求められる。
愛媛FCレディース
愛媛にとっては、ビルドアップ、ハイプレス、セカンドボールの回収、そしてフィニッシュまで、攻守がかみ合った一戦だった。
ハリマのプレス開始位置が低かったこともあり、愛媛は最終ラインから余裕を持ってボールを運ぶことができた。
しかし、今回の勝因はボールを保持できたことだけではない。
特に印象的だったのは、ボールを失った後の反応である。
愛媛は中盤でボールを失っても、素早く複数人で囲んで奪い返す。セカンドボールにも積極的に反応し、相手に攻撃の機会を与えない。
こうしたプレーによってハリマを自陣へ押し込み続け、攻撃を繰り返すことができた。

さらに、ハリマのゴールキックに対するプレスも効果的だった。
ハリマが最終ラインからパスをつなぎ始めると、前線と中盤が連動して圧力をかけ、ボールを奪ってシュートへとつなげる。
前半に訪れた安齋の決定機や、平塚のインターセプトからのシュートは、チーム全体で狙いを共有できていたことを示す場面だった。
攻撃面では、左サイドの桜井が大きな役割を果たした。
先制点では、中央から左サイドへ展開されたボールを受け、落ち着いてクロスを供給。2点目も桜井のクロスが起点となり、安齋のゴールにつながった。
中央の近藤や安齋が相手の最終ラインを引きつけることで、左サイドの桜井が攻撃に関与する機会も生まれていた。
さらに、近藤は2得点に加え、後半にハリマが前がかりになった場面でもドリブルで前進。相手の攻撃を断ち切り、愛媛が再び陣形を押し上げる時間を作っている。
守備から攻撃へと切り替わる場面でも、そのスピードと推進力が効果的だった。

シーズン序盤から中盤の愛媛は、ハードワークによって上位チームを押し込む時間帯を作りながらも、試合終盤に運動量や守備の強度が低下し、苦しい展開を迎える試合が見られた。
しかし、中断明けの終盤戦では、試合を通じて強度を維持する場面が増えている。
前節は伊賀FCくノ一三重との接戦を3-2で制し、今節はハリマに3-0の完封勝利。異なる試合展開に対応しながら、2連勝を収めた。
もちろん、今節のように相手が低い位置で構える試合ばかりではない。
次節以降、相手のプレスが激しくなり、ビルドアップに十分な時間を与えられない展開も想定される。
そうした状況でも、ハイプレスとセカンドボールの回収によってコンパクトな陣形を維持し、安齋、近藤、黒岩らのスピードを生かして相手の背後を狙いたい。
1部残留を決めた愛媛が、残り3試合でどこまで順位を上げられるかにも注目したい。
順位表
※2026年9月28日時点・未消化試合あり。オルカ鴨川FCと朝日インテック・ラブリッジ名古屋の第19節は、10月11日に延期されています。
ASハリマアルビオンは今節の敗戦で10位に後退。勝点20のままとなり、1部残留は次節以降に持ち越された。
一方、愛媛FCレディースは2連勝で勝点を25に伸ばし、8位を維持。残り3試合を残して1部残留を確定させた。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 39 | 19 | 12 | 3 | 4 | 51 | 14 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 35 | 18 | 10 | 5 | 3 | 39 | 18 | +21 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 26 | 14 | +12 | |
| 4(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 32 | 19 | 9 | 5 | 5 | 33 | 26 | +7 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 32 | 19 | 9 | 5 | 5 | 25 | 18 | +7 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 30 | 19 | 9 | 3 | 7 | 34 | 28 | +6 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 27 | 19 | 8 | 3 | 8 | 29 | 33 | -4 | |
| 8(8) | 愛媛FCレディース | 25 | 19 | 7 | 4 | 8 | 24 | 35 | -11 | |
| 9(10) | スフィーダ世田谷FC | 22 | 19 | 6 | 4 | 9 | 28 | 32 | -4 | |
| 10(9) | ASハリマアルビオン | 20 | 19 | 5 | 5 | 9 | 19 | 27 | -8 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 19 | 4 | 1 | 14 | 19 | 53 | -34 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 10 | 19 | 3 | 1 | 15 | 12 | 41 | -29 |
次節に向けて
ASハリマアルビオン
次節、ASハリマアルビオンは伊賀FCくノ一三重とのアウェー戦に臨む。
第9節の前回対戦では、前線に人数をかけて伊賀を押し込む時間帯を作ったものの、相手の堅い守備を崩せず。後半に失点して0-1で敗れた。
伊賀は豊富な運動量と球際の強さを持ち、組織的な守備から攻撃につなげるチームである。
ハリマとしては、今節のように低い位置で待ち受けるだけでは、再び相手に主導権を渡しかねない。
まずは相手のボール保持に対して積極的にプレスを仕掛け、ボールを奪う位置を高くすること。さらに、ボールを奪ってからは前線の選手が素早く動き出し、縦への推進力を生み出したい。
残留争いを抜け出すためにも、他チームの結果を待つのではなく、自ら勝点3を獲得したい一戦となる。
愛媛FCレディース
1部残留を決めた愛媛FCレディースは、ホームにヴィアマテラス宮崎を迎える。
第9節の前回対戦では、愛媛がハードワークで押し込む時間帯を作ったものの、宮崎が決定機を逃さず3得点。愛媛は0-3で敗れている。ただし、点差ほど力の開きは感じさせなかった。
宮崎は中断明けから試合内容が安定せず、勝点を思うように積み上げられていない。
愛媛としては、今節のように高い位置からプレスを仕掛け、宮崎のビルドアップを制限できるかが重要になる。
宮崎の最終ラインに圧力をかけながら、中盤でのセカンドボールの回収でも優位に立ちたい。
そして、ボールを奪えば安齋や近藤のスピードを生かし、素早く相手の背後を狙う。
1部残留を決めた勢いを次節にもつなげ、前回対戦の雪辱を果たせるか注目したい。
リソース
チーム紹介


第19節 振り返り

第19節 個人的ベストイレブン

フルマッチLIVE配信
第19節全試合ハイライト動画
公式記録


