2026プレナスなでしこリーグ1部は第17節を迎え、リーグ戦は残り5試合となった。
今節最大の注目カードは、首位・静岡SSUボニータと3位・オルカ鴨川FCによる上位直接対決。互いに高い守備強度を保ち、一歩も譲らない展開は1-1の引き分けに終わった。
静岡が勝点1を積み上げた一方で、2位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋はスフィーダ世田谷FCに0-2で敗れて2連敗。ヴィアマテラス宮崎が日体大SMG横浜を2-1で下したことで、名古屋、オルカ、宮崎が勝点32で並んだ。
さらに、ニッパツ横浜FCシーガルズは伊賀FCくノ一三重を2-0で下して3連勝。開幕14連敗を喫したVONDS市原FCレディースも、第15節の初勝点を経て、中断明け2連勝を飾った。
首位争いだけではない。好調なチームが順位表の中盤、下位からも現れ始めた。
残り5試合。シーズン終盤へ向けて、それぞれのチームの現在地がより鮮明になった第17節を振り返る。
ダッシュボード
第17節の試合結果
| 対戦カード | 結果 | 超概要コメント | リンク |
|---|---|---|---|
| 日体大 vs 宮崎 | 1-2 | 日体大が内容で上回る時間を作るも、宮崎がGK後藤優香の好守と土屋佑津季の決勝点で勝ち切った。 | 試合レビュー |
| 名古屋 vs 世田谷 | 0-2 | 世田谷がハイプレスで名古屋のビルドアップを封じ、前半2得点を守り切った。 | 試合レビュー |
| 愛媛 vs VONDS | 0-2 | VONDSがコンパクトな守備から主導権を握り、村上賀梨・櫻庭琴乃の得点で2連勝。 | 試合レビュー |
| オルカ vs 静岡 | 1-1 | 横山久美が先制、太田凪砂が同点。高い守備強度がぶつかった上位直接対決はドロー。 | 試合レビュー |
| ニッパツ vs 伊賀 | 2-0 | 伊賀に押し込まれる時間を耐えたニッパツが好機を仕留め、今季初の3連勝。 | 試合レビュー |
| 湯郷 vs ハリマ | 0-0 | 前回7得点の打ち合いから一転、両チームの守備が機能して勝点1を分け合った。 | 試合レビュー |
第17節で見えたリーグ全体の動き
第17節を終えて、首位・静岡は勝点36。オルカとの直接対決を引き分けたことで、2位以下との差を大きく広げることはできなかったが、首位の座は維持した。
その背後はさらに混戦になった。
名古屋は中断明けからニッパツ、世田谷に連敗し、勝点32のまま。第15節のVONDS戦から3試合連続無得点と、得点力の高いチームらしからぬ状況が続いている。
一方、オルカは静岡から勝点1を獲得して32。宮崎も日体大に苦しみながら2-1で勝利し、同じく32まで伸ばした。
この結果、2位・名古屋、3位・オルカ、4位・宮崎が同勝点。首位・静岡との差は4ポイントとなった。
さらに下では、ニッパツの勢いが目立つ。第15節の世田谷戦から、名古屋、伊賀を破って3連勝。第16節終了時点の7位から6位へ浮上し、勝点24まで伸ばした。
そして、リーグ終盤の構図を大きく変えつつあるのがVONDSである。
開幕14連敗を喫したが、第15節に名古屋から初勝点を獲得すると、中断明けは日体大、愛媛に連勝。勝点は7まで伸び、11位・日体大との差は3ポイントまで縮まった。
一方の日体大は宮崎相手に今季でも屈指の内容を見せながら勝点を獲得できず、7連敗。残留争いでも勝負どころを結果につなげる力が問われる状況となっている。
第17節は、順位そのものは上位5チームで変動がなかった。しかし、その中身は大きく変化している。
首位・静岡の背後に3チームが勝点32で並び、ニッパツとVONDSが連勝。順位表の数字以上に、シーズン終盤へ向けた流れが動いたラウンドだった。
順位変動と順位表(第17節終了時点)
第16節から第17節で順位を上げたのは、ニッパツと世田谷。
ニッパツは伊賀を下して7位から6位へ浮上。世田谷は名古屋を破り、10位から9位へ順位を上げた。
一方、湯郷は6位から7位、愛媛は9位から10位へ後退した。上位5チームと下位2チームの順位に変化はなかった。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 36 | 17 | 11 | 3 | 3 | 49 | 12 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 32 | 17 | 9 | 5 | 3 | 37 | 17 | +20 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 32 | 17 | 9 | 5 | 3 | 26 | 12 | +14 | |
| 4(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 32 | 17 | 9 | 5 | 3 | 31 | 19 | +12 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 29 | 17 | 8 | 5 | 4 | 19 | 14 | +5 | |
| 6(7) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 24 | 17 | 7 | 3 | 7 | 31 | 27 | +4 | |
| 7(6) | 岡山湯郷Belle | 24 | 17 | 7 | 3 | 7 | 23 | 28 | -5 | |
| 8(8) | ASハリマアルビオン | 20 | 17 | 5 | 5 | 7 | 18 | 22 | -4 | |
| 9(10) | スフィーダ世田谷FC | 19 | 17 | 5 | 4 | 8 | 25 | 29 | -4 | |
| 10(9) | 愛媛FCレディース | 19 | 17 | 5 | 4 | 8 | 18 | 33 | -15 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 10 | 17 | 3 | 1 | 13 | 15 | 49 | -34 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 7 | 17 | 2 | 1 | 14 | 10 | 40 | -30 |
得点ランキング(第17節終了時点)
| 順位 | 得点数 (今節得点) | 氏名 | チーム名 |
|---|---|---|---|
| 1 | 14(+1) | 横山 久美 | 静岡SSUボニータ |
| 2 | 13(+1) | 内田 美鈴 | スフィーダ世田谷FC |
| 3 | 10(+1) | 土屋 佑津季 | ヴィアマテラス宮崎 |
| 4 | 9 | 室井 胡心 | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
| 4 | 9 | 藤原 愛里 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 |
| 6 | 8 | 堀江 美月 | スフィーダ世田谷FC |
| 6 | 8 | 三輪 玲奈 | 静岡SSUボニータ |
| 6 | 8 | 中島 咲友菜 | 静岡SSUボニータ |
| 6 | 8 | 千葉 園子 | ASハリマアルビオン |
| 10 | 7 | 岡 百々花 | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
各対戦カード振り返り
日体大が主導権を握るも、宮崎が勝負どころを仕留める
詳細レビュー
日体大SMG横浜 1-2 ヴィアマテラス宮崎
試合内容で目を引いたのは日体大だった。最終ラインを高く設定し、中盤との距離をコンパクトに保つことで宮崎の攻撃を受け止め、安積和季を中心に中央から前進。サイドも使いながら何度も決定機を作った。
しかし、宮崎は25分に川添ゆずが先制。日体大も3分後に安積のゴールで追いついたが、宮崎はGK後藤優香が決定機を阻み続けると、73分に土屋佑津季が決勝点を奪った。
内容で苦しみながらも、守るべき場面で守り、得点が必要な場面でエースが仕留める。宮崎が上位争いに踏みとどまるための勝点3を手にした。
世田谷のハイプレスが機能、名古屋は2連敗
スフィーダ世田谷FCが朝日インテック・ラブリッジ名古屋を2-0で下した。
世田谷は名古屋のボール保持そのものを止めるのではなく、安部や逸見への中央のパスコースを消してサイドへ誘導。そこで前向きに圧力をかけ、名古屋のビルドアップを狙い撃ちした。
12分に内田美鈴が先制すると、前半のうちにオウンゴールで追加点。後半は名古屋が選手交代と配置変更によって押し返したが、世田谷はGK大塚美緒を中心に最後まで無失点で耐えた。
名古屋は中断明けから2連敗。第15節のVONDS戦を含めると3試合連続無得点となった。一方の世田谷は3連敗を止め、5試合ぶりの勝利をつかんだ。
VONDSが守備から主導権を握り、中断明け2連勝
VONDS市原FCレディースが愛媛FCレディースを2-0で下した。
VONDSは前線から連動して愛媛のビルドアップをサイドへ誘導。最終ラインを中断前より高く保ち、中盤との距離をコンパクトにすることで、ボールを受けた相手へ素早く身体を寄せた。
前半終了間際に村上賀梨がセットプレーから先制すると、後半開始直後には櫻庭琴乃が追加点。その後も単純に自陣へ引くのではなく、奪えば相手陣内までボールを運んで試合を落ち着かせた。
開幕14連敗から、第15節に初勝点。そして中断明けは2連勝。順位は12位のままだが、勝点7まで伸ばして11位・日体大との差を3ポイントまで縮めた。
結果だけでなく、守備のやり方が整理され始めたことも、終盤戦へ向けて大きな変化である。
静岡とオルカ、高い強度がぶつかった上位直接対決
3位・オルカ鴨川FCが首位・静岡SSUボニータをホームに迎えた上位直接対決は、1-1の引き分けとなった。
互いにボールを失った直後の切り替えが速く、中盤から最終ラインにかけて激しい攻防が続いた。
詳細レビュー
オルカ鴨川FC 1-1 静岡SSUボニータ
静岡は37分、横山久美がペナルティエリア手前から強烈なミドルシュートを決めて先制。横山は自身が持つなでしこリーグ歴代最多得点記録を185まで更新した。
しかしオルカも51分、太田凪砂、蔵田あかりのシュートが立て続けにクロスバーを叩いた流れから、最後は太田が押し込んで同点。
オルカはチーム全体の距離感をコンパクトに保ち、静岡の攻撃をシュート6本に抑えた。一方の静岡も簡単には崩れず、両チームが持ち味を出し合ったまま勝点1を分け合った。
静岡は首位を維持。オルカも3位を守り、首位との差は4ポイントのままとなった。
伊賀の猛攻を耐えたニッパツ、好機を仕留めて3連勝
ニッパツ横浜FCシーガルズが伊賀FCくノ一三重を2-0で下した。
立ち上がりは、岡百々花の突破を生かしたサイド攻撃から田村かのんが先制。伊賀もその後は守備強度を高め、後半には増田玲那を中心にニッパツを長く自陣へ押し込んだ。
それでもニッパツは中央を固め、室井胡心や岡のスピードをカウンターの出口として残す。61分にはセットプレーの二次攻撃から吉田凪沙が追加点を奪った。
ボールを持つ時間や攻撃回数では伊賀に押されながら、限られたチャンスを確実に得点へ結びつけたニッパツが完封勝利。第15節からの連勝を3に伸ばし、6位へ浮上した。
7得点の前回対戦から一転、湯郷とハリマは守り合い
岡山湯郷BelleとASハリマアルビオンは、0-0で勝点1を分け合った。
詳細レビュー
岡山湯郷Belle 0-0 ASハリマアルビオン
前回対戦は湯郷が4-3で勝利した7得点の打ち合い。しかし今回は、両チームとも守備の安定が目立った。
前節に5失点した湯郷は、岸波優妃、今野瞳を中心に最終ラインの背後と中央への対応を修正。ハリマも川﨑咲耶、千葉園子の動き出しを使って背後を狙ったが、最後まで大きな決定機には結びつけられなかった。
両チーム合わせたシュートは10本。守備面では手応えを得た一方、勝点3を奪うためには、奪った後の押し上げと敵陣で攻撃を完結させる精度に課題を残した。
次節の注目カード
静岡SSUボニータ vs ニッパツ横浜FCシーガルズ
第18節最大の注目カードには、首位・静岡SSUボニータと3連勝中のニッパツ横浜FCシーガルズの一戦を挙げたい。
前回対戦となった第7節は2-2。
静岡が三輪玲奈のゴールで先制したものの、ニッパツが權野貴子、浦島里紗の得点で逆転。後半に上西可奈子のゴールで追いつき、勝点1を分け合った。
当時からニッパツの前線のスピードは静岡を苦しめていたが、現在はその武器がさらに結果へ結びついている。
岡百々花、室井胡心を中心とする前線は、ボールを奪えば少ない手数で一気に数十メートルを前進できる。第17節の伊賀戦でも、押し込まれる時間を耐えながらカウンターという出口を失わず、限られた好機を仕留めた。
一方の静岡は、オルカ戦で横山久美以外の選手をフィニッシュへ向かわせる回数を増やせなかったものの、三輪玲奈、中島咲友菜らを備える攻撃陣はリーグ最高水準であり、守備も堅く失点数はリーグ最少タイ。ニッパツの狙いは明確なので、最終ライン背後のケアをしながら横山を中心に複数の攻撃ルートを使って得点を挙げられるか。

首位を走る静岡が勝点3を積み上げるのか。
それとも、現在3連勝中のニッパツが前回対戦に続いて首位から勝点を奪うのか。
残り5試合となった優勝争いだけでなく、3連勝中のニッパツがどこまで順位を上げられるかという意味でも、注目度の高い一戦となる。
第17節 個人的ベストイレブン
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