【試合レビュー】横山久美が通算185得点、太田凪砂の同点弾でオルカと静岡は1-1|2026なでしこリーグ1部 第17節

試合レビュー

2026プレナスなでしこリーグ1部 第17節。

前節、岡山湯郷Belleに5-1で快勝し、第16節終了時点で3位に浮上したオルカ鴨川FCが、首位の静岡SSUボニータをホームに迎えた。

試合前の勝点は静岡が35、オルカが31。その差は4ポイントだった。
先に行われた第17節では、ヴィアマテラス宮崎が日体大SMG横浜に2-1で勝利。一方、2位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋はスフィーダ世田谷FCに0-2で敗れていた。
オルカにとっては、勝てば首位との勝点差を1に縮められる一方、敗れれば7ポイント差に広がる重要な上位直接対決となった。

前回対戦では、岸野早奈のゴールを守り切った静岡が1-0で勝利している。

今回の対戦でも先手を取ったのは静岡だった。37分、横山久美が強烈なミドルシュートを突き刺し、なでしこリーグ通算185得点目を記録する。

しかし、オルカも後半開始早々の51分に反撃。太田凪砂、蔵田あかりのシュートが立て続けにクロスバーを叩いたあと、最後は太田が押し込み同点に追いついた。

首位・静岡の攻撃をシュート6本に抑えたオルカが、1-1の引き分けに持ち込んだ。

この記事の要点

  • 横山久美が強烈なミドルシュートを決め、なでしこリーグ通算185得点目を記録
  • 太田凪砂が二度のクロスバー直撃から生まれたこぼれ球を押し込み、オルカが同点
  • オルカは静岡の攻撃をシュート6本に抑え、勝点1を獲得して3位を維持

試合情報

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試合展開

オルカは背後、静岡は中央から前進

オルカは守備陣から早めにロングボールを送り、相手最終ラインの背後を狙った。
両サイドハーフの#14蔵田あかりと#11河野有希を走らせ、スピードを生かして静岡を自陣方向へ押し戻す。ボールを収められなくても、セカンドボールを回収して次の攻撃につなげる狙いが見えた。

一方の静岡は、センターバックから縦パスを入れながら細かく前進する。
ボランチと両サイドがパスの出口を作り、#10横山久美を経由して攻撃を加速。横山だけでなく、#8三輪玲奈や#9中島咲友菜も中央へ入りながらゴールを狙った。

両チームの攻撃方法は対照的だったが、共通していたのはボールを失った直後の切り替えの速さだった。

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横山へのパスコースを制限したオルカ

オルカの最終ラインと中盤は、コンパクトな守備ブロックを形成した。
横山がボールを受けること自体を完全には防げなくても、前を向いたあとのパスコースとシュートコースを限定する。横山に対して一人が寄せると、周囲の選手も素早く距離を詰め、自由にプレーさせなかった。

三輪と中島に対する警戒も徹底していた。
2人が高い位置でボールを受ければ、オルカは複数人で囲んで前進を阻止する。そのため、三輪と中島は低い位置まで下がり、守備や組み立てに関わる時間が長くなった。

オルカは守備だけでなく、左サイドの蔵田を攻撃の出口として反撃する。
#9齊藤彩花が相手ボランチをかわして浮き球のパスを送ると、左サイドから走り込んだ蔵田が立て続けにシュート。静岡にボールを持たれながらも、オルカも相手ゴールへ迫っていた。

37分、横山久美が一瞬のスペースを逃さない

均衡を破ったのは、静岡の#10横山久美だった。

37分、センターサークル付近でボールを受けた横山が、素早く右サイドへ展開する。
#22上西可奈子からパスを受けた#15岸野が右サイド深くまで進み、ゴール前へ折り返す。後方からペナルティエリア手前へ入ってきた横山は、ワンタッチで右足を振り抜いた。

鋭く飛んだボールがゴールネットを突き刺し、静岡が先制した。

オルカは右サイドへの展開に対応するため、最終ラインと中盤がそろって自陣深くまで下がっていた。その結果、ペナルティエリア手前のスペースが空き、横山への寄せが遅れてしまう。
オルカが試合を通して警戒していた横山に、数少ない余裕を与えてしまった場面だった。

それでも、オルカの守備組織が大きく崩されたわけではない。自分たちもシュートまで持ち込めており、0-1のまま前半を終えた。

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51分、太田凪砂が執念で押し込む

後半に入ると、オルカは前進する姿勢をさらに強めた。

最終ラインを押し上げて全体をコンパクトに保ち、前線の2トップと両サイドハーフが静岡のビルドアップへ積極的にプレッシャーをかける。
左サイドバックの#17越路萌永も、自陣からのドリブルでボールを運び、チームを押し上げた。

51分、静岡のGK#21田谷春海がロングキックを選択すると、オルカの#11河野が回収する。河野のトラップはやや大きくなったが、#9齊藤が相手DFとの間に体を入れてボールを確保し、#19太田へつないだ。

太田は少し距離のある位置から迷わずシュート。ボールはクロスバーを直撃した。
跳ね返りに反応した#14蔵田あかりが右足で合わせると、このシュートもクロスバーを叩く。それでもゴール前に詰めていた太田が、再び落ちてきたボールを右足で押し込んだ。

太田、蔵田、そして再び太田。
一度の攻撃で三度フィニッシュまで持ち込んだ、オルカの勢いと執念が表れた同点ゴールだった。

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静岡が押し込むも、オルカは中央を割らせない

試合が振り出しに戻ると、静岡も前線からのプレスを強めた。

人数をかけてオルカ陣内へ押し込んだが、攻撃はやや直線的になる。両サイドバックの#5服部花音と#22上西可奈子も積極的に攻撃へ参加したものの、サイドハーフとの連係で内側へ入り込むより、縦方向への仕掛けが多かった。
スピード勝負であれば、オルカの#29中西茉里奈と#17越路萌永も引けを取らない。相手に体を寄せ、質の高いクロスを入れさせなかった。

中央では、#8金子ゆいと#5浅野綾花がペナルティエリア手前のスペースを管理。センターバックの#3月東優季乃と#2吉田紫穂も、ボール保持者に対して前へ出ながらコースを制限した。

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#10横山が右足アウトサイドでゴールの枠を捉えた場面では、GK#1米澤萌香が素早く反応してセーブする。
#8三輪もペナルティエリア内で鋭くターンし、吉田をかわしてシュートを放ったが、ボールはゴール左へ外れた。

静岡に押し込まれる時間が続いても、オルカは低い位置からロングボールを送り、蔵田と河野を走らせる。静岡のプレスを外して前線へつなぐと、太田や齊藤がシュートを放ち、勝ち越し点を狙った。

選手交代で強度を維持したオルカ

高い強度が続く中、オルカは選手交代によって運動量を維持した。

63分に中西から#23安東美那、77分に齊藤から#7並木千夏、河野から#22北村ほのかへ交代。86分には蔵田に代えて#24江藤里桜奈を投入した。

守備陣、中央、前線に新しい選手を入れ、最後まで静岡と競り合える強度を保った。

対する静岡は、後半アディショナルタイムに三輪から#23山本香月へ交代したのみ。先発した11人を長くピッチに残し、連係を生かして勝ち越し点を狙った。

静岡がボールを持ち、オルカがカウンターを仕掛ける展開は最後まで続いたものの、両チームとも決勝点を奪えない。

上位直接対決にふさわしい緊張感と強度を伴った一戦は、1-1の引き分けで終了した。

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総括

リーグ最少失点を争うチーム同士らしく、中盤から最終ラインにかけての守備強度が際立った試合だった。

静岡はボールを保持してオルカ陣内へ押し込み、コーナーキックを6本獲得。一方、オルカは相手の攻撃をシュート6本に抑え、自分たちは10本のシュートを記録した。

ただし、シュート数だけで優劣を判断できる試合ではない。

静岡は敵陣で過ごす時間を作り、最後は横山の個人能力によって先制した。オルカは中央を固めながら、相手最終ラインの背後を素早く狙い、後半のハイプレスから同点ゴールを生み出している。

両チームが異なる方法で自分たちの強みを発揮し、相手の狙いを完全には消し切れなかった。その結果としての1-1だった。

オルカ鴨川FC

オルカが勝点1を獲得できた最大の要因は、チーム全体の距離感を崩さなかったことにある。

静岡がバックパスを選択すれば前線が追い、自分たちがロングボール蹴った時には、最終ラインを押し上げる。ボールを奪えば中盤から前の選手が一斉に走り出し、守備陣も前へ出て陣形をコンパクトに保った。

静岡には横山だけでなく、三輪、中島、岸野など得点に関われる選手がそろっている。その相手に対し、オルカは誰か一人を追い続けるのではなく、パスコースとプレーできるスペースをチーム全体で狭めた。

最終ラインから入る縦パス、両サイドバックの攻撃参加、三輪と中島の中央へのドリブル。それぞれの攻撃に複数人で対応し、横山以外の選手をフィニッシュへ向かわせなかったことが、静岡をシュート6本に抑えた要因だろう。

同点ゴールを挙げた太田は、得点以外でも存在感を示した。

前線だけにとどまらず、中盤まで下がって守備に参加。球際でも粘り強く戦い、静岡の中盤に一方的に押し込まれることを防いだ。

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蔵田は前半に攻撃の出口となり、後半は守備の強度を上げてきた静岡に対してサイドを上下動した。金子と浅野のダブルボランチも、横山、三輪、中島にプレッシャーをかけ続け、最終ラインが守備ブロックを整えるための時間を作っている。

GK米澤も、横山が意表を突くタイミングで放ったシュートに素早く反応。正確なロングフィードでも、守備から素早く相手最終ラインの背後を狙う戦い方を支えた。

改善点を挙げるなら、単純なシュート決定率よりも、静岡の守備陣を崩し切った決定機をどれだけ増やせるかだろう。
オルカは10本のシュートを放ったが、相手守備の圧力を受けた状態や、ゴールから距離のある位置からのシュートも含まれている。優勝争いに踏みとどまるためには、サイドから中央へ入り込む形や、前線でボールを収めたあとの連係から、より確率の高い決定機を作りたい。

それでも、リーグ最多得点の静岡を相手に一歩も引かず、先制されてから押し返した内容には大きな価値がある。

静岡SSUボニータ

オルカから最も警戒されていた横山が、再び結果を残した。

オルカは横山にボールが入ることをある程度許容しながら、その先の決定機を防いでいた。それでも横山は、わずかに生まれたペナルティエリア手前のスペースを見逃さず、ワンタッチで強烈なシュートを突き刺した。
これで、なでしこリーグ通算185得点。自身が持つ歴代最多得点記録をさらに更新した。
横山は静岡が放った6本のシュートのうち5本を記録している。得点だけでなく、厳しいマークを受けながら攻撃を完結させる役割も担っていた。

一方、チームとしてはオルカのコンパクトな守備に苦しんだ。

ある程度の位置まではボールを運べても、オルカの守備エリアへ入った瞬間に厳しい寄せを受ける。縦パスは引っかかり、ドリブルで進もうとすれば複数人にコースを塞がれた。

両サイドバックも高い位置を取ったが、サイドハーフとの連係で守備陣の内側へ入り込む場面は限られた。三輪や中島も低い位置でのプレーが増え、横山以外の選手がゴール前で決定的な仕事をする回数を増やせなかった。

それでも、個々の選手が身体を張って前進し、オルカに苦しい体勢でのクリアを強いた点には、首位チームの力が表れていた。

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気になったのは、選手交代の使い方である。

高い強度の試合が続く中、オルカが4人を交代させたのに対し、静岡の交代は後半アディショナルタイムの1人のみだった。

先発メンバーの連係を重視した選択と考えられる一方、オルカが交代選手の推進力で強度を維持した終盤には、静岡が思うように攻撃のテンポを上げられない時間もあった。

残り5試合は相手からの対策がさらに厳しくなる。先発選手の完成度を生かしながら、交代選手をどのように試合の流れへ組み込むかも、悲願の初優勝へ向けたポイントになりそうだ。

順位表

第17節を終えて、静岡SSUボニータは勝点36で首位をキープした。

朝日インテック・ラブリッジ名古屋、オルカ鴨川FC、ヴィアマテラス宮崎は、いずれも勝点32。得失点差により、名古屋が2位、オルカが3位、宮崎が4位となっている。

首位・静岡とオルカの勝点差は、残り5試合で4ポイント。オルカは直接対決で静岡との差を広げられず、逆転優勝の可能性を残した。

順位
(前節)
チーム名勝点試合数得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ361711334912+37
2(2)朝日インテック・ラブリッジ名古屋32179533717+20
3(3)オルカ鴨川FC32179532612+14
4(4)ヴィアマテラス宮崎32179533119+12
5(5)伊賀FCくノ一三重29178541914+5
6(7)ニッパツ横浜FCシーガルズ24177373127+4
7(6)岡山湯郷Belle24177372328-5
8(8)ASハリマアルビオン20175571822-4
9(10)スフィーダ世田谷FC19175482529-4
10(9)愛媛FCレディース19175481833-15
11(11)日体大SMG横浜101731131549-34
12(12)VONDS市原FCレディース71721141040-30

次節に向けて

オルカ鴨川FC

次節、オルカ鴨川FCはVONDS市原FCレディースとの千葉ダービーに、アウェーで臨む。前回対戦では、試合開始直後から得点を重ねたオルカが4-0で快勝した。

VONDSは開幕から14連敗を喫したものの、第15節で初めて勝点を獲得。中断期間明けは日体大と愛媛を破り、2連勝を飾っている。

守備組織が改善され、簡単に中央を割らせなくなった。少ないチャンスを得点につなげ、セットプレーも得点源としている。

#10櫻庭琴乃は、身体の使い方、柔らかなボールタッチ、独特のリズムを刻むドリブルを備えた攻撃の中心だ。U-17日本女子代表に選出されたこともある#7佐藤寿音が見せる、左サイドからの攻撃参加にも注意したい。

オルカとしては、櫻庭に中盤で自由に前を向かせず、相手の前進を早い段階で止めたい。VONDSの守備陣形が整う前にボールを動かし、攻撃を完結させられるかがポイントになる。

静岡SSUボニータ

静岡SSUボニータは、ホームにニッパツ横浜FCシーガルズを迎える。

前回対戦では三輪玲奈が先制したものの、前半のうちに2失点して逆転を許した。60分に上西可奈子が同点ゴールを決め、2-2で引き分けている。

室井胡心と岡百々花を擁する前線のスピードはリーグ屈指で、一瞬の加速から相手最終ラインの背後を狙う。高さと強さを備えたボランチの吉田凪沙も攻撃参加で結果を残し、2試合連続ゴールを挙げている。

静岡としては、両サイドバックが攻撃参加したあとのスペースを管理し、ニッパツの速攻を受けないことが重要になる。

横山を中心に中盤で主導権を握りながら、三輪と中島が前線へ飛び出し、横山以外の得点ルートを作れるかにも注目したい。

リソース

チーム紹介

オルカ鴨川FC
オルカ鴨川FCの2026シーズン成績やスタッツ、堅守を軸としたチームの特徴を紹介。米澤萌香、越路萌永、浅野綾花ら注目選手の特徴や、なでしこリーグ1部の試合レビュー記事もまとめています。
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静岡SSUボニータの2026シーズン成績やスタッツ、横山久美を軸とした攻撃力と守備の安定を紹介。中島咲友菜、上西可奈子、彦坂桃花ら注目選手や試合レビューもまとめています。

第17節 振り返り

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