【試合レビュー】ニッパツ横浜FCシーガルズが強度とスピードで押し切る VONDS市原FCレディースは初勝ち点ならず|2026プレナスなでしこリーグ1部 第9節

試合レビュー

2026プレナスなでしこリーグ1部第9節、開幕から勝ち点をつかめていないVONDS市原FCレディースが、ホーム・ゼットエーオリプリスタジアムにニッパツ横浜FCシーガルズを迎えた。

VONDSは前節までと比べて、攻撃面では明らかな前進を見せた。サイドからの仕掛け、中央での連係、遠目からでもゴールを狙う姿勢があり、フィニッシュまで持ち込む場面も増えていた。

しかし、試合を動かしたのはニッパツだった。球際の強度、前線のスピード、セットプレーでの集中力で上回り、室井胡心の2得点、中居未来、岡百々花のゴールで4得点。VONDSは内容面で改善を見せながらも、守備の寄せの甘さと強度不足を突かれ、0-4で敗れた。

この記事の要点

  • VONDSは今季ここまでで最も攻撃の形を作ったが、最後の精度を欠いた
  • ニッパツは球際の強さと前線のスピードを生かし、効率よく得点を重ねた
  • 試合を分けたのは、VONDSの守備強度とセットプレー対応の差だった

試合情報

2026プレナスなでしこリーグ1部 第9節

VONDS市原FCレディースニッパツ横浜FCシーガルズ

4
38分 室井 胡心
45分 中居 未来
64分 室井 胡心
79分 岡 百々花
会場ゼットエーオリプリスタジアム
観客数264人

VONDS市原FCレディース

PosNo.氏名交代
GK31佐藤 瑠美奈
DF17板倉 瑞穂
DF2小堀 菜緒
DF11村上 賀梨 (Cap.)
MF24増原 遥花64▼
MF10櫻庭 琴乃
MF5小田川 真奈
MF14齊藤 綾音64▼
MF9宮本 春花
MF7佐藤 寿音64▼
FW18増田 沙美亜83▼
控え
GK1山田 二千華
DF25安達 優菜
MF8石井 彩千香
MF13玉田 愛理64▲
MF27木須 みそら83▲
FW20高山 杏々葉64▲
FW28中村 円香64▲
監督: 落合 恵

ニッパツ横浜FCシーガルズ

PosNo.氏名交代
GK21大久保 つくし
DF31俣野 佑果
DF17新井 純奈
DF4中居 未来 (Cap.)
DF25松尾 由帆
MF11岡 百々花81▼
MF5吉田 凪沙
MF14田村 かのん68▼
MF7浦島 里紗68▼
FW6權野 貴子27▼
FW10室井 胡心81▼
控え
GK1田中 翠
DF15渋谷 巴菜
MF9矢野 梨紗81▲
MF18松本 莉緒68▲
MF27神立 美百合68▲
MF33市野 瑛瑠奈81▲
FW32内田 光27▲
監督: 山本 絵美

試合展開

VONDSは攻撃面で前進、しかし先に試合を動かしたのはニッパツ

前節のスフィーダ世田谷FC戦と比べると、この日のVONDSはゴールへ向かう意識が高かった。多少距離があってもシュートを選択し、ニッパツの守備陣に圧力をかける。

一方のニッパツは、狙いが明確だった。前線の#10室井胡心と#11岡百々花のスピードを生かし、相手最終ラインの背後を突く。無理に細かくつなぐよりも、奪ってから前へ運ぶ、あるいは長いボールで一気に前進する形が目立った。

試合はしばらく拮抗した展開が続いたが、38分に均衡が破れる。コーナーキックのこぼれ球を室井が振り抜き、ニッパツが先制した。VONDSはここまで粘り強く守り、攻撃でも一定の手応えをつかんでいただけに、痛い失点だった。
この場面では、VONDSの中盤の寄せの甘さが出た。開幕から課題となっている、ボールホルダーへの圧力のかけ方、シュートコースの消し方が十分ではなく、室井に余裕を与えてしまった。

前半終了間際の追加点が試合の流れを大きく変えた

先制された後も、VONDSは前向きに攻めた。失点で完全に引くのではなく、ボールを奪った後に前へ出る姿勢は見せていた。
しかし、前半終了間際に再びセットプレーから失点する。コーナーキックのこぼれ球を#4中居未来が決め、ニッパツが追加点。ニッパツにとっては、前半を締めくくるうえで理想的な2点目だった。

VONDSにとっては、内容面で大きく崩れていたわけではないだけに、非常に重い失点だった。0-1で折り返せれば後半に反撃の余地を残せたが、0-2になったことで試合の難度は一気に上がった。

後半立ち上がりはVONDSペース、それでも決定力でニッパツが上回る

後半の立ち上がりはVONDSが押し込んだ。ニッパツの低い位置でのビルドアップに対して前から圧力をかけ、ボールを奪ってフィニッシュまで持ち込む場面もあった。

その流れの中で、次のゴールを奪ったのもニッパツだった。中盤で人数をかけてボールを奪い、VONDSが一度は押し戻したものの、再び中盤での寄せが甘くなる。そこから最終ラインの背後に浮き球のパスを通され、抜け出した室井がこの日2点目を決めた。

VONDSが後半の入りでペースを握っていただけに、この3失点目は試合の流れを決定づけるものだった。内容面で反撃の兆しがあっても、スコアが0-3になった現実は重かった。

交代後に左サイドの強度は上がったが、4失点目で突き放される

その後、両チームは前線と中盤の選手を入れ替え、運動量と強度を維持。VONDSは交代後、特に左サイドの強度が上がり、相手陣内でプレーする時間も増えた。

しかし、追加点を奪ったのはまたしてもニッパツだった。79分、コーナーキックの折り返しに岡百々花が合わせる。最初のシュートはGKに弾かれたが、岡がこぼれ球を押し込んだ。
この場面では、VONDSのGKとDFが交錯し、カバーが間に合わなかった。防げる余地があったように見えただけに、VONDSにとっては痛恨の4失点目だった。

総括

スコアは0-4。結果だけを見ればニッパツの完勝だが、VONDSにまったく収穫がなかった試合ではない。

むしろ攻撃面では、今季ここまでで最も形を作れていた。櫻庭琴乃の技術は目を引き、増原遥花、増田沙美亜、宮本春花、佐藤寿音らが絡む攻撃には、個人の仕掛けと連係の両方があった。前節までよりもシュートへの意識が高く、ゴールに近づく場面も増えていた。

一方で、守備面では課題がはっきり出た。中盤での寄せの甘さ、球際の強度、セットプレー後のこぼれ球への対応。ニッパツのように前線にスピードとパワーを持つチームを相手にすると、その差はスコアに直結する。

ニッパツは、シンプルだが強かった。サイズと強度のある守備陣と中盤がボールを奪い、前線の室井、岡を走らせる。細かくつなぐよりも、相手の背後を突く形の方が、このチームの良さを引き出していた。

VONDSの方が攻撃のバリエーションは多かったかもしれない。しかし、試合を決めたのは、ニッパツの強度と決定力だった。

VONDS市原FCレディース

VONDSにとって、攻撃面は確実に前進している。櫻庭琴乃を起点に、増原遥花、増田沙美亜、宮本春花、佐藤寿音が関わる形は、これまでよりも整理されていた。個人で仕掛ける場面もあり、連係で崩そうとする場面もあった。
あとは最後の精度だろう。シュートまで持ち込めているからこそ、フィニッシュの質、ラストパスの質、ゴール前での判断が問われる。

一方で、守備は改善が急務だ。特に中盤で相手に自由を与える場面が多く、ボールホルダーへの寄せが遅れることで、最終ラインの背後を使われた。今回の相手はフィジカルとスピードに優れるニッパツだったため、その課題がより顕著に出た。

攻撃面の改善は見えている。だからこそ、守備の強度が追いつけば、なでしこリーグ1部での初勝ち点は遠くないと感じる。

ニッパツ横浜FCシーガルズ

ニッパツは、自分たちの強みを明確に出せた試合だった。
低い位置でボールを奪った際には、無理につなごうとせず、外へ逃がすか、前線へ蹴り出す判断が徹底されていたように見えた。現時点では、それが最もリスクの少ない戦い方でもある。

低い位置からのビルドアップについては、まだ慎重でよいと感じた。パスの出し手と受け手の距離感、トラップの精度、相手選手との位置関係の把握に不安が見える場面があり、実戦で継続的に使うにはリスクが大きい。

それよりも、ニッパツの強みは明確だ。守備陣と中盤が球際で勝ち、奪った瞬間にスピードのある前線を走らせる。シンプルだが、相手にとっては非常に怖い。室井胡心と岡百々花の推進力を生かす形は、この日のVONDSに対して十分に機能していた。

順位表

第9節終了時点で、VONDS市原FCレディースは12位のまま。ニッパツ横浜FCシーガルズは1つ順位を上げて6位となった。

順位
(前節)
チーム名勝点試合数得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ239720293+26
2(2)ヴィアマテラス宮崎209621209+11
3(4)朝日インテック・ラブリッジ名古屋1694412211+11
4(5)オルカ鴨川FC159432146+8
5(6)伊賀FCくノ一三重159432108+2
6(7)ニッパツ横浜FCシーガルズ1494231814+4
7(3)岡山湯郷Belle1494231317-4
8(8)スフィーダ世田谷FC1093151718-1
9(9)愛媛FCレディース992341018-8
10(10)日体大SMG横浜792161234-22
11(11)ASハリマアルビオン69135913-4
12(12)VONDS市原FCレディース09009326-23

次節に向けて

次節、VONDS市原FCレディースは伊賀FCくノ一三重と対戦する。伊賀は守備が堅く、運動量もあり、両サイドの縦への速さもある。さらに、セットプレーの選択肢も多彩だ。VONDSとしては、今節見えた攻撃面の改善を継続しながら、中盤の守備強度とセットプレー対応をどこまで修正できるかが鍵になる。

ニッパツ横浜FCシーガルズは、アウェーで愛媛FCレディースと対戦する。愛媛も前線にスピードがあり、勢いに乗ると複数得点を奪えるチームだ。ニッパツとしては、自分たちの強みである球際の強さと前線の推進力を生かしつつ、いかに組織的に守れるかが問われる一戦になる。

リソース

フルマッチLIVE配信

第9節全試合ハイライト動画

配信待ち

公式記録

日程・結果

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