2026プレナスなでしこリーグ1部は第21節。全22節のリーグ戦も残り2試合となり、優勝争いはいよいよ大詰めを迎えた。
3位のオルカ鴨川FCは、延期されていた第19節の朝日インテック・ラブリッジ名古屋との直接対決を1-0で制し、逆転優勝への望みをつないだ。最終節まで可能性を残すためには、今節も勝点3が必要となる。
そのオルカがホームに迎えたのは、10位のASハリマアルビオン。前回の第10節では、蔵田あかりのゴールを守り切ったオルカが1-0で勝利している。
試合は開始7分、吉田紫穂のゴールでオルカが先制。その後は互いに得点機を作る拮抗した展開となり、後半はハリマが攻勢を強めた。
それでも、リーグ最少失点タイのオルカの守備は崩れなかった。GK力丸里保の好セーブもあり、最後まで1点のリードを守り切った。
オルカが持ち味の堅守で勝点3をつかみ、逆転優勝の望みを最終節につなげた一戦を振り返る。
この記事の要点
- オルカは7分、北村ほのかのロングスローを起点に吉田紫穂が先制。追加点は奪えなかったが、攻守に粘り強く戦った。
- ハリマは高い位置からのプレスと後半の縦に速い攻撃でオルカを苦しめたが、決定機を生かせず。
- オルカは組織的な守備とGK力丸里保の好セーブで1-0の勝利。首位・静岡と勝点2差の3位で最終節を迎える
試合情報
試合展開
吉田紫穂が先制、互いに決定機を作る展開に
立ち上がり、オルカは最終ラインからのビルドアップで相手を引き出し、生まれたスペースへロングボールを送って前進を狙う。一方のハリマは、オルカの最終ラインに鋭いプレスをかけ、ボールを奪ってからの素早い攻撃を試みた。
試合が動いたのは7分。
GK力丸里保のゴールキックを#22北村ほのかが競り合い、オルカはハリマ陣内の深い位置でスローインを獲得する。
北村が自らロングスローをゴール前に投げ入れると、#19太田凪砂が頭で競り合ってボールをそらす。これに反応した#2吉田紫穂が、右足のワンタッチでゴールに流し込んだ。
多くの選手がボールの行方を見ているなか、吉田はゴール前のスペースに素早く入り込み、決定機を逃さなかった。
周囲の状況を見極めた動き出しと、落ち着いたフィニッシュが光る先制点だった。

早々にリードを許したハリマだが、最終ラインを高く設定し、オルカのビルドアップに対するプレスを強める。
ボールを奪うと素早くサイドへ展開。左サイドバックの#2児玉耀が深い位置から折り返し、#10千葉園子が左足のダイレクトシュートで狙ったが、枠を捉えられなかった。
ハリマのプレスに前進を阻まれる場面もあったオルカだが、北村のボール保持と蔵田の飛び出しを生かして相手の背後を狙う。
#8金子ゆいが相手の横パスをカットすると、前線の北村がボールを収めて攻撃の時間を作る。その間に、#14蔵田あかりが相手DFの死角から右サイドを猛然と駆け上がった。
北村のスルーパスを受けた蔵田がマイナス方向へ折り返し、#25齊藤桃花がダイレクトで右足を振り抜く。しかし、鋭いシュートはクロスバーの上へ外れた。
さらに、吉田のロングフィードを太田が前線で落とし、北村が思い切り右足を振り抜く。強烈なシュートはクロスバーを直撃し、惜しくも追加点とはならなかった。
互いにチャンスを作りながらも追加点は生まれず、オルカが1-0とリードして前半を折り返した。
縦への意識を強めたハリマが攻勢
後半の立ち上がりは、ハリマが積極的にゴールへ迫った。
中盤の競り合いから抜け出した#9川﨑咲耶が右サイドからクロスを送ると、ゴール前でフリーになった#10千葉園子がヘディングシュート。しかし、ボールは枠の外へ。
さらに、前線へのロングフィードを千葉が落とし、#17唐橋万結が右足でシュートを放つが、オルカGK力丸里保がしっかりとキャッチした。
前半のハリマは、相手陣内でボールを保持した際に細かなパス交換から崩そうとする場面が多かった。一方、後半は縦パスやロングボールを使い、より直接的にゴールへ迫る姿勢が見られた。
攻撃の選択肢を縦方向へ広げたことで、オルカの守備陣を押し込む時間が増えていく。

一方、オルカも守るだけではなかった。
ハリマの中盤でのパスを奪うと、#14蔵田あかりや#25齊藤桃花を経由して素早く前進。
蔵田の突破を警戒してハリマの最終ラインが下がると、今度は中盤との間に生まれたスペースを使い、太田凪砂がシュートを狙う。しかし、ボールは高く浮いてしまった。
齊藤彩花も中盤に下りて積極的にプレスをかけながら、シュートコースが空けば距離のある位置からでもゴールを狙った。
オルカGK力丸里保の好セーブ、堅守で逃げ切る
試合終盤、1点を追うハリマはさらに攻撃の圧力を強めていく。
最終ラインからのロングフィードに#10千葉園子がオルカのペナルティエリア内で競り勝ち、味方へボールを落とす。
これを#26藤原安佑が右足で狙ったが、GK力丸里保が素早く反応。シュートをゴールの外へ弾き出し、決定的なピンチを防いだ。
その後もハリマがオルカ陣内へ攻め込むが、オルカは最終ラインと中盤が粘り強く対応。ゴール前で身体を張り、シュートコースを限定し続けた。
最後までハリマに同点ゴールを許さず、試合は1-0で終了。
オルカは2試合連続となる1-0の勝利で、逆転優勝への望みを最終節につなげた。
総括
逆転優勝の可能性を最終節につなぐため、勝点3が必要だったオルカが、開始7分の先制点を守り切って勝利した。
ただし、試合内容は拮抗したものだった。互いに決定機を作り、後半はハリマが攻勢を強めるなど、どちらに得点が生まれても不思議ではない展開だった。
勝敗を分けたのは、決定機を得点につなげられたかどうか、そしてゴール前での守備の質だった。
オルカは追加点こそ奪えなかったものの、攻め込まれる時間帯でも簡単には守備を崩さず、最後まで1点のリードを守り切った。
一方のハリマも、敗戦という結果以上に見どころのある戦いを見せたが、最後までゴールをこじ開けることはできなかった。
オルカが持ち味である堅守を発揮し、苦しい展開でも勝ち切る強さを示した一戦だった。
オルカ鴨川FC
吉田紫穂のゴールで幸先よく先制したオルカだったが、その後も追加点を奪うチャンスはあった。
攻撃で存在感を示したのが、ワントップの北村ほのかだ。
北村が左サイドに開いてボールを引き出すことで、中央にスペースが生まれる。そこへ齊藤彩花、太田凪砂、蔵田あかり、さらに左サイドバックの越路萌永も入り込み、ゴールを狙う形が機能していた。
北村は高さと強さだけでなく、足元の技術も備えたレフティー。左サイドから精度の高いクロスを供給できることも、攻撃の幅を広げている。
右サイドハーフの蔵田あかりも、攻守で大きな存在感を示した。
シーズン序盤からオルカの攻撃をけん引してきた蔵田は、終盤戦でもスピードに乗った裏への飛び出しとドリブルで違いを作っている。
この試合では守備への貢献も目立った。持ち前のスピードを生かしたインターセプトに加え、相手の攻撃に素早く戻って対応。後半に押し込まれた時間帯でも、攻守の両面からチームを支えていた。

太田凪砂も欠かせない存在だった。
中盤では高さとフィジカルの強さを生かして相手の攻撃を食い止め、攻撃に転じればラストパスの供給からフィニッシュまで幅広く関与。先制点につながったヘディングでの競り合いにも、太田の強みが表れていた。
そして、見逃せないのがキャプテンの金子ゆいだ。
派手なプレーこそ多くないものの、中盤で身体を張り続け、相手の攻撃の芽を未然に摘み取っていた。
特に、相手が前を向こうとする瞬間の寄せや、パスコースを読んだ対応が効果的だった。
金子のこうした働きは、この試合に限ったものではない。出場した試合で粘り強く戦い、チームを支え続けてきた姿勢が、オルカの安定した守備につながっていると感じる。
さらに、守備陣全体の対応も素晴らしかった。
中盤でボールを失っても複数の選手が素早く距離を詰め、相手の次のプレーを制限する。その間に後方の選手が守備陣形を整え、球際でも粘り強く対応できていた。
最終盤にはGK力丸里保のビッグセーブも飛び出し、ハリマの攻撃を最後まで封じた。
攻撃で違いを作る選手だけでなく、目立たない場所で身体を張る選手たちの存在が、オルカの堅守を支えている。

一方、前線からの守備には改善の余地も感じられた。
ハリマはゴールキックから短いパスで組み立てる場面が多かったため、オルカがさらにプレスを連動させていれば、高い位置でボールを奪う機会を増やせたかもしれない。
ただし、前線から積極的に奪いに行けば、背後を使われるリスクも生まれる。
守備の安定性を維持しながら、どこまで積極的にボールを奪いに行くか。最終節に向けて考えたいポイントのひとつだ。
ASハリマアルビオン
ハリマは前半、ボールを奪っても横パスや狭い場所でのドリブルを選択する場面が目立ち、攻撃の勢いを十分に生かせなかった。
しかし、後半は縦方向への意識が明確に強まった。
最終ラインからのロングフィードや縦パスを積極的に使い、千葉園子が前線でボールを収め、周囲の選手がシュートを狙う形が増えた。
特に千葉は、ゴール前でのヘディングシュートだけでなく、味方への落としから攻撃の起点にもなっていた。
途中出場の選手も攻撃に変化を加え、後半はオルカを押し込む時間が長くなった。
こうした縦への積極性は、ここ数試合のハリマに感じていた課題に対する、前向きな変化だったと感じる。

一方、守備ではプレスの連動性が気になった。
川﨑咲耶は非常に鋭い寄せを見せていたが、それに周囲の選手が十分に連動できていない場面もあった。
最初の選手がプレッシャーをかけた際、味方が次のパスコースを限定し、相手を意図した方向へ追い込めれば、より高い位置でボールを奪える可能性が高まる。
個々のプレスの強度はあるだけに、チーム全体での連動性を高めたいところだ。
また、選手層という点では前向きな材料もある。
川﨑咲耶、千葉園子というチームの中心選手に加え、今蔵綾乃や三冨りりかも戻ってきた。今節は出場機会がなかったものの、ドリブルを持ち味とする南條里緒も控えている。
シーズン序盤と比べて戦力が充実し、攻撃の選択肢も広がりつつある。
今節の後半に見せた縦への積極性を試合開始から発揮し、前線からのプレスをより連動させることができれば、チームとしての完成度はさらに高まるだろう。
順位表
第21節を終えて、オルカ鴨川FCは3位を維持。勝点39で2位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋と並んでおり、首位の静岡SSUボニータとの勝点差は2ポイントとなった。
ASハリマアルビオンは10位を維持している。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 41 | 21 | 12 | 5 | 4 | 51 | 14 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 39 | 21 | 11 | 6 | 4 | 42 | 20 | +22 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 39 | 21 | 11 | 6 | 4 | 29 | 15 | +14 | |
| 4(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 36 | 21 | 10 | 6 | 5 | 29 | 20 | +9 | |
| 5(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 35 | 21 | 10 | 5 | 6 | 38 | 30 | +8 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 32 | 21 | 9 | 5 | 7 | 38 | 32 | +6 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 28 | 21 | 8 | 4 | 9 | 31 | 36 | -5 | |
| 8(9) | スフィーダ世田谷FC | 26 | 21 | 7 | 5 | 9 | 33 | 35 | -2 | |
| 9(8) | 愛媛FCレディース | 26 | 21 | 7 | 5 | 9 | 27 | 41 | -14 | |
| 10(10) | ASハリマアルビオン | 20 | 21 | 5 | 5 | 11 | 20 | 31 | -11 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 16 | 21 | 5 | 1 | 15 | 22 | 57 | -35 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 12 | 21 | 3 | 3 | 15 | 14 | 43 | -29 |
次節に向けて
オルカ鴨川FC
次節、オルカ鴨川FCはアウェーで5位・ヴィアマテラス宮崎との最終節に臨む。
前回の第11節では、宮崎の運動量と球際の強さに苦しみ、小澤寛の2得点を許して0-2で敗れた。
宮崎は今節、スフィーダ世田谷FCに2-4で敗れ、逆転優勝の可能性が消滅した。
一方、オルカは勝点39で2位・名古屋と並び、首位・静岡とは勝点2差。逆転優勝を果たすためには、まず宮崎に勝利することが絶対条件となる。
ただし、宮崎との一戦は容易ではない。
宮崎は終盤戦、前線への縦パスやロングボールを使い、運動量と走力を生かして素早くゴールに迫る場面を増やしている。
前回対戦でも強度で上回られたオルカにとって、相手の勢いをどこまで抑えられるかが重要となる。
一方、攻撃では宮崎の最終ラインの背後を狙いたい。
宮崎が3バックで高い位置に守備ラインを設定するのであれば、蔵田あかりらスピードに優れた選手の飛び出しが有効になるだろう。
北村ほのか・太田凪砂といった強度の高い選手が前線でボールを収め、周囲の選手がタイミングよく背後へ抜け出す形を作れれば、得点機会は生まれるはずだ。
また、セットプレーも重要な得点源となる。
今節は北村のロングスローから吉田紫穂が先制点を奪った。流れのなかで攻撃が停滞した場合でも、セットプレーから相手ゴールを脅かせることは大きな強みだ。
守備では今節同様、中盤での素早い寄せと最終ラインの粘り強い対応を維持し、宮崎の縦に速い攻撃を食い止めたい。
2023シーズンに初めてなでしこリーグ1部を制してから3年。
今節の勝利によって、再びリーグの頂点に立つ可能性を最終節まで残した。
あとは宮崎との一戦に勝利し、他会場の結果を待つことになる。
逆転優勝へ、自分たちにできることをやり切りたい。
ASハリマアルビオン
ASハリマアルビオンは最終節、ホームで6位・ニッパツ横浜FCシーガルズを迎える。
前回の第11節では、ニッパツのビルドアップの乱れとセットプレーを生かして2得点を奪い、2-0で勝利している。
ただし、現在のニッパツは前回対戦時とは異なる戦い方を見せている。
リーグ屈指のスピードを備えた前線の選手を生かし、素早く相手の背後へボールを送り込む攻撃が機能。中盤の強度も高く、守備から攻撃への切り替えに鋭さがある。
今節の愛媛FCレディース戦でも3得点を挙げるなど、その攻撃力には警戒が必要だ。
ハリマが後方からのビルドアップにこだわれば、ニッパツの鋭いプレスを受け、危険な位置でボールを奪われる可能性もある。
そこで重要になるのが、攻撃の選択肢を増やすことだろう。
今節の後半に見せた縦への速い攻撃は、ニッパツに対しても有効な選択肢になり得る。
一方、守備では前線からのプレスの連動性を高め、ニッパツの攻撃をできるだけ早い段階で食い止める必要がある。
リーグ最終戦、そしてその先の皇后杯へ。
今節に見せた積極性を、結果につなげることができるか注目したい。
リソース
チーム紹介


第21節 振り返り
Coming soon…
第21節 個人的ベストイレブン
Coming soon…
フルマッチLIVE配信
第21節全試合ハイライト動画
公式記録

