2026プレナスなでしこリーグ1部は第19節。
第18節終了時点で勝点32の4位・ヴィアマテラス宮崎が、勝点36で首位を走る静岡SSUボニータをホームに迎えた。
宮崎は約2か月の中断期間明けから1勝2敗。第16節ではASハリマアルビオンに1-3で敗れ、第17節の日体大SMG横浜戦は2-1で勝利したものの、相手に押し込まれる時間も長かった。そして前節は岡山湯郷Belleに1-5の大敗を喫している。
対する静岡も中断明けは順風満帆ではない。それでも首位を守り、残り4試合で優勝を争う位置につけていた。
両チームの前回対戦は第8節。当時は第7節終了時点でともに勝点17。首位・静岡と2位・宮崎による文字通りの首位攻防戦だった。当サイトでは、中断期間前までの個人的ベストゲームにも選んだ一戦だった。
そして迎えた今季2度目の対戦。
前節5失点を喫した宮崎は、これまで続けてきた低い位置からのビルドアップに固執せず、ボールを奪えば素早く前へ。前半は強度と縦への速さで静岡を押し込み、#17小澤寛のゴールで先制した。
しかし、静岡も後半に修正。51分に#9中島咲友菜が同点ゴールを奪うと、時間の経過とともに宮崎を押し込む。87分にはCKの流れから#3彦坂桃花が決勝点。
前半は宮崎、後半は静岡。
互いの強みがぶつかった上位対決は、首位・静岡が2-1の逆転勝利を収めた。
この記事の要点
- 宮崎は坂本理保を中盤に置き、強度の高い守備と縦への速い攻撃で前半を支配。小澤寛が21分に先制
- 静岡は後半に全体の距離を修正。中島咲友菜が同点弾を奪い、徐々に宮崎を押し込んだ
- 87分、CKの流れから彦坂桃花が決勝点。静岡が逆転勝利で勝点39に伸ばし首位を守った
試合情報
試合展開
宮崎は、これまでセンターバックでの出場が多かった#21坂本理保を中盤で起用。左サイドバックには、前節まで先発出場の多かった#3國生乃愛に代わって#5島田優依菜が入った。
静岡は前節と同じ先発メンバー。映像上は#10横山久美を最前線に置き、その下に#9中島咲友菜。右に#15岸野早奈、左に#8三輪玲奈という並びに見えた。

宮崎が強度と縦への速さで静岡を押し込む
キックオフ直後から、宮崎の狙いは明確だった。
自陣の低い位置では無理につながず、必要なら大きくクリアする。セカンドボールには強く寄せ、奪えば時間をかけずに静岡の最終ラインの背後を狙う。
#9土屋佑津季と#4永野桃子が積極的に前へ走り、#17小澤寛は前線でボールを収めるだけでなく、中盤へ降りて前進を助け、自ら背後へ抜け出す動きも見せる。

中盤では#21坂本が#10横山久美へのパスコースを意識しながら中央を締めた。
静岡の攻撃の中心は、もちろん#10横山久美。
しかし宮崎の警戒は厳しく、横山が良い状態でボールを受ける場面は多くない。その中で存在感を示したのが#9中島咲友菜だった。
相手の寄せを受けながらも身体を使ってボールを収め、前を向けばドリブルやパスで前進。横山へつなぐだけでなく、自らゴールへ向かっていく。
静岡が横山を封じられる中で、もうひとつの攻撃の出口になっていた。

21分、小澤寛。宮崎の狙いが結実
前半21分、宮崎の戦い方が先制点につながる。
静岡が最終ラインから中盤へ差し込んだパスに#21坂本理保が素早く寄せる。そこで乱れたボールを#16松田遥奈が前方へ送り、#9土屋佑津季、#17小澤寛とつないで左サイドへ展開した。
そして#4永野がクロス。
ゴール前で#22山本さゆりが競り合い、こぼれたボールを#17小澤が拾う。
小澤はバイタルエリアから右足を振り抜き、コントロールされたシュートをゴール右へ流し込んだ。
宮崎が1-0。
高い位置で相手に圧力をかけ、奪えば迷わず前へ出る。そこに前線の選手たちが連動した、前半の宮崎を象徴する得点だった。
その後も宮崎は中盤で強く寄せ、縦への速い攻撃を継続する。
静岡は横山への供給を制限されながらも、中島が身体を張ってボールを前へ運び、完全に流れを渡さない。
前半は宮崎が1点をリードして折り返した。
静岡が後半開始から修正、中島咲友菜が同点弾
後半に入ると、静岡が試合を押し返す。
前線と中盤の距離が縮まり、最終ラインからのボール運びも安定。後半開始早々の51分、その修正が結果につながった。
#10横山久美が少し低い位置まで下がってボールを受け、相手を引きつける。
その外側を右サイドから#22上西可奈子が駆け上がり、横山からパスを受けるとゴール前へクロス。
そこへ入ってきた#9中島咲友菜が押し込み、静岡が1-1に追いついた。

横山自身がフィニッシュへ向かうのではなく、下がって相手を動かし、その外側をサイドバックが使う。
前半にはサイドバックがオーバーラップする場面も限られ、横山がそれを使う機会が少なかった。後半、静岡の修正が光った形から生まれた同点ゴールだった。
静岡の攻撃が活性化、サイドから宮崎を揺さぶる
同点後は、静岡が徐々に攻撃の回数を増やしていく。
#10横山久美が中央で相手を引きつければ、その外側を#22上西可奈子・#5服部花音らサイドバックが使う。#9中島咲友菜や#8三輪玲奈も中央とサイドの間に顔を出し、宮崎の守備陣に判断を迫った。
再び上西のオーバーラップから右サイドを崩し、中島がペナルティーエリア内で決定機を迎える。
しかし、ここは宮崎GK#50後藤優香がビッグセーブ。
静岡へ傾きかけた流れを、一度は押し戻した。

宮崎は65分、#33小牧明日香、#8嘉数飛鳥、#11板倉楓を一気に投入。79分には#7有馬りこ、83分には#20坂田美優を送り込み、5枚の交代カードを使って流れを変えようとした。
それでも時間の経過とともに、宮崎は前線から追う強度やサイドへのスライドが少しずつ落ちていく。
一方、静岡の交代は74分の#18井ノ瀬玲緒奈。
静岡が高い位置でボールを持つ時間が増え、宮崎はGK後藤優香を中心にゴール前で身体を張って耐える展開となった。
87分、彦坂桃花。セットプレーから静岡が逆転
試合終盤。宮崎を押し込んだ静岡は、立て続けにコーナーキックを獲得する。
#5服部花音のキックに対して宮崎GK後藤優香がパンチング。しかし、ボールは大きくエリア外へ出ず、ファーサイドに残った。
そこにいたのが#3彦坂桃花。
彦坂が頭でゴールへ押し込み、87分、静岡がついに逆転に成功した。
宮崎も5分間のアディショナルタイムで前へ出ようとしたが、静岡はボールを保持しながら時間を使い、守備ではゴール前を固める。
そして試合終了。
ヴィアマテラス宮崎 1-2 静岡SSUボニータ。
優勝争いの行方を左右する上位対決は、首位・静岡が逆転勝利で勝点3を持ち帰った。
総括
前半と後半で主導権が大きく入れ替わった試合だった。
前半の宮崎は、低い位置から無理につながることを避け、セカンドボールへの強度と縦への速さを前面に押し出した。
その中心にいたのが坂本理保であり、前線では土屋佑津季、小澤寛、永野桃子らが次々に背後を狙う。
宮崎が先制したのは偶然ではない。
一方、静岡は後半から全体の距離を整え、横山久美がフィニッシャーとしてだけでなく、低い位置で相手を引きつける役割も担った。そこからサイドバックの攻撃参加が増え、中島咲友菜がより自由にボールへ関われるようになった。
時間の経過とともに宮崎の守備強度が落ちると、静岡が押し込む時間はさらに増えていった。
決勝点そのものはコーナーキックのこぼれ球から生まれた。
ただし、その直前まで静岡が宮崎陣内へ押し込み、複数のコーナーキックを獲得していたことを考えれば、87分のゴールだけを切り取って語るべきではない。
前半に宮崎が示した強度。
後半に静岡が見せた修正力と底力。
そして後半から試合終盤まで攻撃の圧力を高め続けた静岡。
上位対決らしい強度と技術が詰まった一戦だった。
ヴィアマテラス宮崎
前節の1-5という結果から迎えた試合として、入り方は非常に良かった。
今季の宮崎は低い位置からボールをつなぐ場面を増やしてきたが、中断明けはそこを相手に狙われ、ボールを奪われた直後に一気にゴールへ迫られる場面も増えていた。
今節は、そこに固執しなかった。
自陣ではシンプルに前線へ送り、セカンドボールを強く回収する。奪えば永野、土屋、小澤らが一気にゴールへ向かう。
昨季までの宮崎でも印象的だった、強度と縦への推進力が前面に出た。
その意味でも、先制点は象徴的だった。
坂本の中盤でのプレッシャーを起点にボールを前へ運び、最後は前線の選手が連続して関わって小澤が仕留めた。

ただし、この戦い方は高い運動量を要求する。
後半になると前線からの追いが遅れ、中盤のスライドも間に合わない場面が増えた。静岡のサイドバックが高い位置を取り始めると、前半ほど相手を捕まえ切れなくなった。
そしてもうひとつ大きかったのが中島咲友菜だ。
宮崎は坂本理保と上永ひかりによるタイトな守備で、横山久美への供給をかなり制限できていた。
しかし、その分、中島がボールを受けて前を向く場面を抑え切れなかった。横山だけを警戒すればよい静岡ではないことを、改めて示された試合でもあった。
敗れはした。
それでも前節の大敗から、少なくとも前半には宮崎の強みである強度と縦への推進力を取り戻した。
あとは、それを90分間どう維持するか。
残り3試合へ向けて、ひとつの方向性が見えた試合だった。
静岡SSUボニータ
前半は苦しんだ。
ここ数試合の宮崎とは異なるほどシンプルかつ強度の高い攻撃を受け、横山久美にも思うようにボールが入らない。
それでも守備陣が踏ん張り、最少失点で前半を終え、ハーフタイムを挟んで修正した。
後半は横山が少し低い位置へ動いて相手を引きつけ、そこから外側を使う場面が増加。開始6分で同点に追いついたことで、その後の試合を落ち着いて進められるようになった。
そして、この日の攻撃をけん引したのは#9中島咲友菜だった。
前節のニッパツ戦では、中島のバックパスを岡百々花に狙われ、それが決勝点につながっている。
しかし今節は、その中島が攻撃の中心となった。
相手の寄せを受けても身体の強さを生かしてボールを収め、前を向けばドリブルでひとりを外す。横山との距離を保ちながら、自ら最終ラインの前へ入り、最後はゴール前へ走り込んで同点ゴールまで奪った。
横山が厳しく警戒された試合で、つぶれ役、前進の起点、そしてフィニッシャーまで務めた中島の存在は大きかった。

また、彦坂桃花も大きな仕事をした。
前半は宮崎の速い攻撃に対応し続け、87分にはセットプレーから決勝点。
GKのパンチングしたボールが残った場面ではあるが、あの時間帯にDFである彦坂がファーサイドまで入り、こぼれ球へ反応したことに価値がある。
苦しい前半を耐え、後半に修正し、最後は逆転まで持っていく。
首位を走るチームの底力を感じさせる勝利だった。
順位表
静岡は勝点を39に伸ばして首位を維持した。
第19節のオルカ鴨川FC対朝日インテック・ラブリッジ名古屋が10月11日に延期されたため、2位・名古屋と3位・オルカは静岡より1試合少ない。
現時点では静岡と2位・名古屋の勝点差は4だが、試合数が異なる点には注意が必要だ。
それでも静岡は残り3試合。3試合すべてに勝利すれば勝点48となり、他会場の結果に左右されず優勝できる位置にいる。
一方、宮崎は勝点32のまま4位。
残り3試合をすべて勝利すれば勝点41まで伸ばせるため、数学上の優勝の可能性は残っている。しかし静岡だけでなく、名古屋、オルカなど複数チームの結果も必要となり、状況は非常に厳しくなった。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 39 | 19 | 12 | 3 | 4 | 51 | 14 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 35 | 18 | 10 | 5 | 3 | 39 | 18 | +21 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 26 | 14 | +12 | |
| 4(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 32 | 19 | 9 | 5 | 5 | 33 | 26 | +7 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 32 | 19 | 9 | 5 | 5 | 25 | 18 | +7 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 30 | 19 | 9 | 3 | 7 | 34 | 28 | +6 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 27 | 19 | 8 | 3 | 8 | 29 | 33 | -4 | |
| 8(8) | 愛媛FCレディース | 25 | 19 | 7 | 4 | 8 | 24 | 35 | -11 | |
| 9(10) | スフィーダ世田谷FC | 22 | 19 | 6 | 4 | 9 | 28 | 32 | -4 | |
| 10(9) | ASハリマアルビオン | 20 | 19 | 5 | 5 | 9 | 19 | 27 | -8 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 19 | 4 | 1 | 14 | 19 | 53 | -34 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 10 | 19 | 3 | 1 | 15 | 12 | 41 | -29 |
次節に向けて
ヴィアマテラス宮崎
次節、ヴィアマテラス宮崎は8位の愛媛FCレディースとのアウェー戦に臨む。前回対戦は宮崎が3-0で勝利。
スコアだけを見れば宮崎の快勝だったが、愛媛のハードワークに苦しむ時間もあり、点差ほど簡単な試合ではなかった。
その愛媛は現在2連勝中。
シーズン序盤から続けてきた前線からの守備とハードワークを突き詰め、上位チームに対しても自分たちの時間を作れるようになっている。
宮崎としては、今節の前半に見せた強度と縦への速さをもう一度出せるか。
そして、それを90分間続けられるか。
静岡SSUボニータ
静岡は岡山湯郷Belleとのアウェー戦に臨む。前回対戦は静岡が4-0で勝利している。
結果は4点差だったが、湯郷が細かなパスワークで静岡陣内へ前進する時間帯もあった。
夏の移籍期間を経て編成が大きく変わった湯郷は、特に中断明けは試合ごとの振れ幅が大きい。一方、第18節には宮崎から5得点を奪うなど、守備と攻撃がかみ合ったときの破壊力は示している。
静岡にとっては、優勝へ向けて勝点を落としたくない一戦。
横山久美を警戒されたときに、中島咲友菜や三輪玲奈ら他の攻撃の担い手を使ってどこまで攻撃の出口を増やせるか。
今節の後半に見せた攻撃を再現できるかがポイントになりそうだ。
リソース
チーム紹介


第19節 振り返り

第19節 個人的ベストイレブン

フルマッチLIVE配信
第19節全試合ハイライト動画
公式記録


