2026プレナスなでしこリーグ1部は第18節。全22節のリーグ戦は、この試合を含めて残り5試合となった。
第17節では2位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋を2-0で破ったものの、全試合終了時点で10位のスフィーダ世田谷FC。ホームに、7連敗中で11位の日体大SMG横浜を迎えた。
両チームの前回対戦は第7節。世田谷が先制した後に日体大が逆転したものの、内田美鈴の2点目で追いつき、終盤の北川心子の決勝点で3-2と競り勝っている。
今節は日体大が前半開始早々に先制し、さらに前半に追加点。世田谷も篠原沙耶のゴールで1点差に迫ったが、後半開始早々に日体大が再び突き放した。
世田谷は高い位置からのプレスと最終ラインを押し上げる戦い方を90分間継続。ボールを保持して相手陣内へ押し込む時間を長く作り、堀江美月のゴールでもう一度1点差まで迫った。
それでも、背後のスペースを狙い続け、要所で訪れた決定機を3得点につなげた日体大が逃げ切り。2-3で直接対決を制し、7連敗を止めて8試合ぶりの勝利を手にした。
この記事の要点
- 日体大は試合開始早々と後半開始早々に得点。世田谷の高い最終ラインの背後を狙い、3得点を奪った
- 世田谷は篠原沙耶、堀江美月が得点。高い位置からのプレスと守備陣の攻撃参加で押し込んだが、一歩及ばなかった
- 日体大は後方からのビルドアップに固執せず、浅香美結、柴原希保らのスピードを生かした攻撃で7連敗をストップした
試合情報
試合展開
日体大が世田谷の背後を突き、開始4分で先制
試合はいきなり動いた。
立ち上がりから高い位置でボールを奪おうとする世田谷。最終ラインからボールをつないで前進しようとしたが、日体大のプレスを受けた中でのパスが乱れ、中盤でボールを失う。
そのまま最終ラインの背後へ抜け出した#13山本葉桜にボールが渡ると、山本はDFを引きつけながら中央へラストパス。フリーで走り込んだ#11浅香美結がGK大塚美緒の動きを見て冷静に流し込み、開始4分で日体大が先制した。

出鼻をくじかれた世田谷に対し、日体大はその後も狙いを明確にする。世田谷が最終ラインを高く設定するなら、その背後へシンプルにボールを送り込む。再び山本が最終ラインの裏へ抜け出し、シュートまで持ち込む場面も作った。
一方、早々に追う展開となった世田谷も戦い方を変えない。
両ワイドの#2根本彩夏、#15篠原沙耶に加え、最終ラインの#7渡邊那奈も高い位置まで進出し、前線やサイドで攻撃に参加。後方では#3柏原美羽がスペースを埋めながら、前線と中盤に人数をかけて日体大を押し込んでいった。
スローインから#24谷口真由が前を向き、#13内田美鈴へスルーパス。内田はわずかなスペースからダイレクトで右足を振り抜いたが、シュートはGKに阻まれた。
それでも、一瞬の隙からフィニッシュまで持ち込む内田の動きは、日体大の守備陣にとって脅威となっていた。
押し込む世田谷、日体大が追加点も篠原沙耶が反撃
ボールを保持する時間を増やし、日体大を自陣へ押し込んでいった世田谷。
しかし、次のゴールを奪ったのも日体大だった。
世田谷の攻撃をしのいだ後、ゴールキックを起点に陣地を押し上げてセカンドボールを回収。そこから獲得したコーナーキックではショートコーナーで変化をつけ、#6西村萌が鋭いミドルシュートを世田谷ゴールへ突き刺した。
日体大がリードを2点へ広げる。

前半のうちに1点を返したい世田谷は、さらに前への圧力を強めた。
ただし、前がかりになればなるほど最終ラインの背後には広大なスペースが生まれる。
日体大はそこを見逃さない。
世田谷の最終ラインに#11浅香が猛然とプレスをかけてプレーを制限すると、ボールコントロールが乱れたところを#9柴原希保が奪取。柴原はそのまま決定機を迎えたが、シュートはGK大塚の正面に飛び、3点目とはならなかった。
日体大に追加点の可能性を見せられながらも、世田谷は攻撃姿勢を崩さない。
前半終盤、中盤の混戦からボールを奪うと、#24谷口が中央へ切り込みながら前進。左サイドからゴール方向へ斜めに走り込んだ#15篠原へ精度の高いパスを送る。
篠原はボールを受けると相手をかわして右足を振り抜き、ゴールへ巻くようなシュートを決めた。
世田谷がチーム全体で示していた縦への意識、谷口の前進とパス、そして篠原の個人技がつながった得点。

1-2と1点差に詰め、前半を折り返した。
後半開始直後に髙橋光莉、日体大が再び2点差
前半終了間際に1点を返した世田谷としては、その勢いのまま後半早い時間帯に同点へ追いつきたいところだった。
しかし、後半も先にゴールを奪ったのは日体大だった。
開始早々、中盤で奪ったボールを#8安積和季から#9柴原希保へ展開。柴原は左サイドをドリブルで運び、GKと最終ラインの間へグラウンダーのボールを送り込む。
そこへスピードに乗って走り込んだ#7髙橋光莉が相手DFの前に入り、GKより先にボールへ触れてゴールへ流し込んだ。
世田谷が高く設定した最終ラインの背後を狙う日体大の攻撃が再び機能し、スコアは1-3。
前半開始4分の先制点に続き、日体大は後半の立ち上がりにも得点。世田谷が反撃の勢いを強めようとする時間帯を突き、再びリードを2点へ広げた。

堀江美月が追撃も、日体大が1点差を守り切る
それでも、残留争いの直接対決を簡単には落とせない世田谷が反撃する。
ハイプレスを維持し、後半から投入された#16北川心子が相手陣深くへ飛んだボールを追走。相手DFとの球際を制して#7渡邊那奈へつなぐ。
渡邊のクロスは一度は跳ね返されたものの、#24谷口がセカンドボールを回収。もう一度渡邊へ預け、左サイドから再びクロスを送る。
これを#9堀江美月が相手DFの上から打点の高いヘディングで捉え、ゴールネットを揺らした。
前線で相手の注意を集めながら、高さという自身の武器で結果を残した堀江。世田谷が2-3と再び1点差まで迫る。

その後も世田谷は高い位置からのプレス、高い最終ライン、守備陣の積極的な攻撃参加を継続した。
ボールを保持して日体大を押し込み、相手陣内へ何度も進入する。
ただし、最後のパスやフィニッシュの部分でわずかに精度を欠き、決定機を同点ゴールには結びつけられない。
日体大も最終ラインで粘り強く対応。ボールを奪えば#11浅香や#9柴原らのスピードを使って一気に前進し、追加点を狙いながら世田谷の攻撃を寸断した。
世田谷が前に人数をかけるほど、その背後にはスペースが生まれる。日体大がカウンターの脅威を残したことで、世田谷も完全にリスクを無視して攻め続けることはできなかった。

最後まで世田谷が押し込む時間は続いたが、同点ゴールは生まれない。
試合は2-3で終了。
ボール保持では世田谷に譲りながらも、高い最終ラインの背後を狙う攻撃を徹底し、前半・後半の立ち上がりを含む要所で訪れた決定機を3得点につなげた日体大SMG横浜。
世田谷の猛攻を最後までしのぎ、7連敗を止めて8試合ぶりの勝利を手にした。
総括
世田谷は、自分たちの強みが最大限に生きる戦い方を90分間継続した。一方で、前半・後半の立ち上がりという試合が落ち着かない時間帯に失点を重ね、自ら試合を難しくしてしまった。
日体大はその隙を逃さなかった。世田谷の強みと表裏一体で生まれる最終ライン背後のスペースを明確に狙い続け、訪れた決定機を得点につなげた。
スフィーダ世田谷FC
ボール保持の時間は長く、守備陣の積極的な攻撃参加から何度も相手陣内へ進入した。
終盤には足を攣る選手が出るほど走り、高い位置からのプレス、高い最終ライン、人数をかけた攻撃という自分たちの特徴を90分間貫いた。
その中で存在感を示したのが堀江美月だ。
相手から警戒を受けながらも、最前線では高さを生かして何度も空中戦へ入り、中盤まで下りれば攻撃の組み立てにも参加。後半には渡邊のクロスを高い打点のヘディングで仕留め、自身の強みを得点につなげた。

内田美鈴も得点こそなかったが、相手守備陣のわずかな隙を見つけてゴール前へ入り、前半には一瞬のタイミングからダイレクトシュートを放った。ボールへ触れる回数が多くなくても、常に相手の脅威となれる点はこの試合でも変わらなかった。
中盤では谷口真由の働きが目立った。
広い範囲を動きながらボールを引き出し、身体を張ってボールを回収。篠原の得点では自ら中央を前進してラストパスを送り、堀江の得点でもセカンドボールを回収して攻撃を継続させた。

一方で、敗因として重く残ったのは試合の入りだ。
前半は開始4分、後半も開始直後に失点。前半開始早々の失点は第15節のニッパツ横浜FCシーガルズ戦でも起きている。
自分たちの強みである高い最終ラインと守備陣の攻撃参加は、相手を押し込む大きな武器になる。その反面、ボールを失った瞬間には最終ラインの背後へ広いスペースが生まれる。
日体大はそこを明確に狙い、3得点につなげた。

戦い方そのものを変える必要はないだろう。むしろ90分間、自分たちの特徴を出し続けた点は世田谷の強みである。
だからこそ、試合が落ち着かない立ち上がりや、前がかりになった状態でボールを失った直後に、どのようにリスクを管理するか。今後も相手に狙われ得るポイントだけに、残り4試合へ向けて修正したい部分となる。
日体大SMG横浜
ボールを保持して相手を押し込む時間では世田谷に上回られた。
それでも、この試合の日体大には「どこで勝負するか」が明確だった。
前線では浅香美結が世田谷の最終ラインへプレッシャーをかけ続け、柴原希保とともにスピードを生かして背後を狙う。
2人が前線に残ることで、押し込まれた状態からクリアしたボールも攻撃の起点になった。ボールを収められれば一気にカウンターへ移り、収まらなくても世田谷の最終ラインを自陣方向へ走らせることで、押し込まれ続ける展開を断ち切ることができた。

中盤では安積和季が存在感を示した。
狭いスペースでもボールを簡単には失わず、パス、ドリブル、身体の使い方を組み合わせて前進。3点目でもボール奪取後の攻撃をつなぎ、柴原から髙橋光莉のゴールへとつながるカウンターに関わった。
前節のヴィアマテラス宮崎戦に続き、中盤で日体大の攻撃を前へ進める役割を担った。
そして、この試合で大きかったのは、後方からのビルドアップに固執しなかったことだ。
今季の日体大は、自陣深くからボールをつなごうとして相手のプレスを受け、危険な位置でボールを失う場面が多く見られた。
この日はそうしたリスクを抑え、必要であれば前線へシンプルにボールを送る。世田谷が人数をかけて前へ出てくるからこそ、その背後を浅香、柴原、髙橋らのスピードで狙った。
ボール保持では相手に譲っても、得点につながる場所では自分たちの強みを使う。
その割り切りが3得点につながった。

一方で、守備面には課題も残る。
世田谷の攻撃を完全に抑え込めたわけではなく、内田や堀江に前線でボールを収められ、サイドから何度もゴール前へ運ばれた。
最終ラインが最後のところで粘ったことで勝点3にはつながったが、より精度の高い相手に左右へ揺さぶられた場合にも同じように耐えられるかは、今後のポイントになる。

それでも、前線と中盤にいる選手の特徴を生かし、相手の弱点を突くことで結果につなげたことは大きい。
残り4試合。7連敗を止めたこの勝利をきっかけに、入替戦圏を抜けて自動残留圏へ浮上できるか注目したい。
順位表
第18節を終え、スフィーダ世田谷FCは勝点19で10位、日体大SMG横浜は勝点13で11位。
順位に変化はなかったものの、両チームの勝点差は6ポイントに縮まった。
一方、12位のVONDS市原FCレディースも今節勝利して勝点10。11位・日体大との差は3ポイントとなっており、残留争いはまだ予断を許さない。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 36 | 18 | 11 | 3 | 4 | 49 | 13 | +36 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 35 | 18 | 10 | 5 | 3 | 39 | 18 | +21 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 26 | 14 | +12 | |
| 4(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 32 | 24 | +8 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 29 | 18 | 8 | 5 | 5 | 21 | 17 | +4 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 32 | 27 | +5 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 28 | 29 | -1 | |
| 8(10) | 愛媛FCレディース | 22 | 18 | 6 | 4 | 8 | 21 | 35 | -14 | |
| 9(8) | ASハリマアルビオン | 20 | 18 | 5 | 5 | 8 | 19 | 24 | -5 | |
| 10(10) | スフィーダ世田谷FC | 19 | 18 | 5 | 4 | 9 | 27 | 32 | -5 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 18 | 4 | 1 | 13 | 18 | 51 | -33 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 10 | 18 | 3 | 1 | 14 | 12 | 40 | -28 |
次節に向けて
スフィーダ世田谷FC
次節、スフィーダ世田谷FCはVONDS市原FCレディースとのアウェー戦に臨む。
前回対戦は、堀江美月と内田美鈴のゴールで世田谷が2-0の勝利を収めた。
ただし、当時とはVONDSの状態が大きく異なる。
VONDSは日体大SMG横浜、愛媛FCレディースに続き、第18節では3位のオルカ鴨川FCを2-0で撃破。3連勝、4試合負けなしと勢いに乗っている。
中断明けは前線からのプレスと最終ラインの連動が整理され、守備の安定感が増した。ボールを奪えば櫻庭琴乃を中心に素早く前進し、セットプレーも得点源となっている。
前回対戦で得点した内田と堀江には、当然厳しいマークが予想される。
世田谷としては2人だけにフィニッシュを任せるのではなく、この試合で得点した篠原や中盤の谷口、積極的に攻撃参加する守備陣まで含めて相手を動かしたい。
守備では櫻庭に自由な状態でボールを持たせないことに加え、VONDSが武器としているセットプレーへの対応も重要になる。
今節と同じく、高い位置からのプレスを機能させながら、その背後に生まれるスペースをどう管理するか。
残留争いにおける重要な直接対決となる。
日体大SMG横浜
日体大SMG横浜は次節、ホームにニッパツ横浜FCシーガルズを迎える。
前回対戦はニッパツの攻撃陣に3得点を許し、1-3で敗れた。
ニッパツは現在4連勝。
第15節の世田谷戦から始まった快進撃は、上位陣をもなぎ倒して続けている。第16節の朝日インテック・ラブリッジ名古屋戦、第17節の伊賀FCくノ一三重戦、そして第18節の首位・静岡SSUボニータ戦をすべて無失点で制している。
攻撃では室井胡心、岡百々花ら前線のスピードとシュート意識が大きな武器。
中盤には吉田凪沙、田村かのんがおり、球際の強さと高さを生かしながら攻撃にも加わる。最終ラインからは無理につなぐよりも前線へ早くボールを送り、一度のパスで相手守備陣の背後を取る攻撃も増えている。
日体大にとっては、今節とは違った難しさのある相手となる。
世田谷戦では相手が高いラインを設定したことで、浅香や柴原らのスピードを生かすスペースがあった。
一方のニッパツは、無理にラインを上げず、危険な場面ではシンプルにボールを跳ね返すこともできる。
日体大としては、安積を中心とした中盤の技術を生かして相手のプレスをかわし、浅香、柴原、髙橋ら前線の選手へ良い状態でボールを届けたい。
同時に、室井や岡が狙う最終ラインの背後へのケアは欠かせない。
7連敗を止めた勢いを、4連勝中のニッパツ相手にもつなげられるか。
残留へ向けた日体大の戦いが続く。
リソース
チーム紹介


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