2026プレナスなでしこリーグ1部は第21節。全22節のリーグ戦も残り2試合となり、優勝争いと残留争いはともに佳境を迎えている。
今節は、なでしこリーグ1部初挑戦で最下位の12位に沈むVONDS市原FCレディースが、逆転優勝の可能性を残す5位・伊賀FCくノ一三重をホームに迎えた。
VONDSは1部残留のため、伊賀は最終節まで逆転優勝の望みをつなぐため、勝点3が必要な一戦だった。
VONDS市原FCレディース 11位浮上条件

伊賀FCくノ一三重 優勝条件

同日、先に行われた試合では、11位・日体大SMG横浜が岡山湯郷Belleに2-1で逆転勝利。この結果、VONDSは伊賀に勝利できなければ最下位が確定し、1シーズンでの2部降格が決まる状況に追い込まれていた。
一方、伊賀も勝利を逃せば優勝争いから脱落する。両チームにとって、勝利以外では目標への道が閉ざされる大一番となった。
第10節の前回対戦では、VONDSが先制したものの、伊賀が2-1で逆転勝利している。
試合は伊賀がペースを握って先制したものの、VONDSが前半のうちに押し返してオウンゴールで同点に追いつく。後半はサイドからの攻撃を強めた伊賀がVONDSを押し込んだが、最後まで決勝点を奪えず。
1-1で試合終了。VONDSは1部初挑戦のシーズンで2部降格が決まり、伊賀も逆転優勝の可能性を失った。
ともに勝点3が必要だった両チームにとって、勝点1では報われない結末となった。
この記事の要点
- 伊賀が18分に秦美結のヘディングシュートで先制するも、VONDSが42分にオウンゴールで同点に追いつく。
- 伊賀は後半、選手交代でサイドの推進力を高めて攻勢を強めたが、VONDSの粘り強い守備を崩し切れず。
- 1-1の引き分けにより、VONDSは1シーズンでの2部降格が決定。伊賀も逆転優勝の可能性が消滅した。
試合情報
試合展開
序盤は伊賀が徐々に主導権を握る。18分、秦美結が先制ゴール
試合は序盤から互いに譲らない展開となった。
伊賀は後方からのロングボールを使い、サイドの選手を走らせて少ない手数でVONDSゴールに迫る。
対するVONDSは、シーズンを通じて磨いてきた組織的な守備で対抗。中盤では互角の競り合いを見せ、ゴール前では中央のスペースを閉じて伊賀の攻撃を跳ね返す。
ボールを奪えば、#10櫻庭琴乃を中心にカウンターを仕掛けた。
しかし、伊賀は個々の技術と運動量で徐々にVONDSを上回り、試合の主導権を引き寄せていく。
そして18分、伊賀が得意とするコーナーキックから先制点が生まれた。
#14増田玲那が蹴ったボールは、ゴール前の密集地帯からやや離れたファー寄りの位置へ。
ペナルティアーク付近から勢いをつけて走り込んだ#3秦美結が、力強いヘディングシュートを放つ。
VONDSのGK#1山田二千華は逆を突かれ、#5小田川真奈も懸命に足を伸ばしてブロックを試みたが、ボールは上方に弾かれてゴールネットを揺らした。
伊賀は得意のセットプレーを生かし、逆転優勝への望みをつなぐ貴重な先制点を奪った。

VONDSが中盤から押し返す。42分、オウンゴールで同点
先制を許し、後がなくなったVONDS。しかし、選手たちは慌てなかった。
むしろ失点後は中盤での競り合いを制する場面が増え、伊賀を押し返し始める。
#9宮本春花は、中盤の混戦からドリブルで2人をかわして前進。ペナルティエリア手前で緩急をつけ、右サイドのスペースに顔を出した#24増原遥花へボールを送った。
増原のクロスはクロスバーに当たって跳ね返り、そこへ左サイドバックの#19小林和音が猛然と走り込む。伊賀の守備陣の背後から頭で合わせたものの、シュートは惜しくも枠を捉えられなかった。
その後もVONDSはサイドバックやボランチが積極的に前線へ顔を出し、伊賀の守備を動かしながら攻撃を組み立てる。
小林はハーフウェーライン付近から左サイドをドリブルで深くえぐり、相手にボールを当ててコーナーキックを獲得した。

そして42分、このコーナーキックが同点ゴールにつながる。
#27木須みそらが蹴ったボールは、ゴール前の密集地帯で伊賀の選手に当たって軌道が変わり、そのままゴールネットへ。オウンゴールとなり、VONDSが1-1に追いついた。
先制された後も落ち着いて守備を立て直し、サイドからの積極的な攻撃で流れを引き寄せたVONDS。
優勝争いと残留争いの行方を左右する重要な一戦は、1-1で前半を折り返した。
後半、伊賀がサイドの推進力を強化。VONDSは粘り強く対抗
ハーフタイム明け、伊賀は#7渡邊凜と#23米澤心花を投入し、サイドからの攻撃を強化する。
両選手は積極的に縦へ仕掛け、先発していた#24唐沢芽依や#14増田玲那らとともに、スピードとテクニックを生かしてVONDSを押し込んでいく。
さらに、前半から用いていた後方からのロングフィードも織り交ぜ、前後左右にVONDSの守備を揺さぶった。
しかし、ここで簡単に崩れないのが、シーズン終盤のVONDSだった。
米澤が放った決定的なシュートをGK山田二千華が鋭い反応で防ぐなど、集中した守備で伊賀の攻撃に対抗する。

そして、VONDSは守るだけではなかった。
伊賀の#3秦美結が最終ラインでボールを受けた際、ピッチに足を取られてコントロールを乱すと、#10櫻庭琴乃が素早く詰めてボールを奪取。
右サイドの#24増原遥花につなぐと、増原は内側へ切り込んで強烈なシュートを放つ。
しかし、伊賀のGK合田朱里が好セーブで弾き出し、VONDSの逆転を許さなかった。
さらに、VONDSのセンターバック#11村上賀梨も、前半より高い位置まで攻撃参加。ヘディングシュートは枠を外れたものの、最終ラインの選手も積極的に得点を狙う姿勢を見せた。
伊賀が縦への推進力を生かして攻め込み、VONDSが粘り強く守って鋭いカウンターで応戦する。
互いに勝利が必要な両チームの攻防は、後半も激しさを増していった。
決勝点は生まれず。試合終了のホイッスルとともに両チームの目標が潰える
伊賀は最後まで攻撃の手を緩めず、サイドを起点にVONDSの守備を崩そうと試みた。
しかし、VONDSは最後まで集中力を保ち、ゴール前で身体を張って対応。伊賀の攻撃を跳ね返し続ける。
一方のVONDSも、櫻庭琴乃を中心とした攻撃で逆転の機会を探ったが、伊賀の守備を破ることはできなかった。
そして、試合終了のホイッスル。
1-1の引き分けに終わり、両チームに笑顔はなかった。
最終節を残し、VONDS市原FCレディースは1部初挑戦のシーズンで2部降格が決定。伊賀FCくノ一三重も逆転優勝の可能性が消滅した。
最後まで勝利を目指して戦い抜いた両チームだったが、待っていたのは、ともに望まない結末だった。
総括
伊賀はセットプレーから先制し、後半もサイドから攻撃を仕掛け続けた。しかし、主導権を握る時間が長かった一方で、追加点を奪えなかった。
対するVONDSは、失点後も慌てることなく中盤から押し返し、前半のうちに同点に追いついた。後半も伊賀の攻撃に耐えながら、カウンターで勝ち越しを狙った。
伊賀の攻撃を仕掛け続ける強さと、VONDSのシーズン終盤における成長。
両チームの特徴が色濃く表れた試合だったが、どちらも勝利には届かず、それぞれが目指していた目標を失う結果となった。
VONDS市原FCレディース
序盤にセットプレーから失点したVONDSだったが、そこからの戦いぶりには目を見張るものがあった。
中盤での競り合いに互角以上の場面をつくり、サイドバックやボランチが積極的に攻撃へ関わることで、伊賀の守備を押し下げた。
前半の同点ゴールも、そうした積極的な姿勢によって獲得したコーナーキックから生まれたものだった。
後半は伊賀に押し込まれる時間が長くなったが、守備組織を大きく崩すことなく、最後まで逆転の機会を探り続けた。
印象的だったのは、中盤の#9宮本春花だ。
前節のニッパツ横浜FCシーガルズ戦では得点を挙げ、今節も攻守にわたって存在感を発揮。ドリブルで相手をかわしてボールを前進させ、攻撃の起点となった。
ボランチの位置から自らボールを運べる宮本の存在は、VONDSが守備から攻撃へ切り替えるうえで重要な役割を担っていた。
キャプテンの#11村上賀梨も、センターバックとして伊賀の選手たちに一歩も引かなかった。
スピードと運動量に優れる相手に対して身体を張り、最終ラインを統率。さらに後半は積極的に攻撃参加するなど、チームを前へと押し出した。
そして、攻撃の中心となった#10櫻庭琴乃。
伊賀の秦美結や清悠香といった強度の高い守備陣から厳しいマークを受けながらも、優れたボールコントロールと身体の強さで前を向き、攻撃の起点となり続けた。

伊賀はリーグ屈指の運動量と走力を誇り、前線から最終ラインまで高い強度を維持して戦えるチームだ。
その伊賀を相手に、VONDSは互角に渡り合う時間帯をつくり、最後まで勝利を争った。
開幕から14連敗を喫したチームが、中断明け以降に守備を整え、上位チームにも対抗できるようになった。
結果として1部残留は叶わなかったが、シーズン序盤の姿を思い返すと、とても同じチームとは思えないほどの変化だった。
しかし、開幕14連敗という序盤戦の大きな負債を取り返すまでには至らなかった。中断明け以降に守備組織は改善したものの、苦しい時間帯をしのいでも勝ち切れない試合があり、残留に必要な勝点を積み重ねることができなかった。
それでも、1シーズンを通してチームが積み上げてきたものは、決して小さくなかったと感じる。
ともに勝点3が必要だった一戦は、伊賀の攻撃力とVONDSの粘り強さがぶつかり合い、1-1の引き分けに終わった。

伊賀FCくノ一三重
逆転優勝の可能性を残す伊賀にとって、勝利は絶対条件だった。
序盤から積極的に相手ゴールへ向かい、得意とするセットプレーから先制点を奪ったところまでは、理想的な展開だっただろう。
しかし、VONDSの守備は前回対戦時と比べて組織力と強度を増しており、伊賀も簡単には追加点を奪えなかった。
逆に前半終盤には中盤から押し返され、サイドの攻防で後手に回る場面が増えていった。そして、コーナーキックから痛恨のオウンゴール。
後半は渡邊凜と米澤心花を投入し、縦への推進力を強めた。
両選手のスピードと積極的な仕掛けは攻撃に勢いをもたらし、VONDSを押し込む時間を増やしたが、最後のところで得点を奪い切れなかった。

また、中盤でVONDSの激しい守備に阻まれ、ボールを失ってカウンターを受ける場面も見られた。
伊賀の強みは、特定のストライカーだけに依存せず、複数の選手が積極的に前進し、チーム全体の運動量と技術で相手を上回ろうとするところにある。
しかし、攻撃の回数を増やしても、ゴール前の守備を崩し切れない試合がある。
今回もサイドからの推進力や運動量では優位に立つ場面が多かったものの、決定機を得点に結びつけられなかった。
シーズンを通して優勝争いに加わるだけの力を見せながら、勝点3を積み重ねられなかった試合が、最終的に優勝を逃す一因となったように見受けられた。
運動量を維持して積極的に攻め続ける伊賀らしさは発揮された。しかし、その強さを勝点3につなげることができなかった一戦だった。

順位表
第21節終了時点で、VONDS市原FCレディースは勝点12で12位が確定し、来シーズンのなでしこリーグ2部降格が決まった。
伊賀FCくノ一三重は勝点36で4位に浮上したものの、優勝の可能性は消滅した。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 41 | 21 | 12 | 4 | 4 | 51 | 14 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 39 | 21 | 11 | 5 | 4 | 42 | 20 | +22 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 39 | 21 | 11 | 6 | 4 | 29 | 15 | +14 | |
| 4(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 36 | 21 | 10 | 6 | 5 | 29 | 20 | +9 | |
| 5(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 35 | 21 | 10 | 5 | 6 | 38 | 30 | +8 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 32 | 21 | 9 | 5 | 7 | 38 | 32 | +6 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 28 | 21 | 8 | 4 | 9 | 31 | 36 | -5 | |
| 8(9) | スフィーダ世田谷FC | 26 | 21 | 7 | 5 | 9 | 33 | 35 | -2 | |
| 9(8) | 愛媛FCレディース | 25 | 21 | 7 | 4 | 9 | 24 | 38 | -14 | |
| 10(10) | ASハリマアルビオン | 20 | 21 | 5 | 5 | 11 | 20 | 31 | -11 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 16 | 21 | 5 | 1 | 15 | 22 | 57 | -35 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 12 | 21 | 3 | 3 | 15 | 14 | 43 | -29 |
次節に向けて
VONDS市原FCレディース
最終節、VONDS市原FCレディースは首位・静岡SSUボニータとのアウェー戦に臨む。
第11節の前回対戦では、静岡の高い攻撃力を前に5失点を喫し、1-5で敗れている。
静岡は今節、朝日インテック・ラブリッジ名古屋と0-0で引き分け、優勝決定を最終節に持ち越した。
勝点41で首位に立ち、2位・名古屋と3位・オルカ鴨川FCとの差は2ポイント。得失点差でも大きくリードしており、自力で優勝を決められる立場にある。
VONDSはすでに2部降格が決まっているが、相手は優勝を懸けて勝利を目指す強豪だ。
静岡のエースである横山久美への対応はもちろん、チーム全体で組織的な守備と強度を維持し、櫻庭琴乃を中心としたカウンターで相手の背後を狙いたい。
シーズン序盤には大敗を喫することもあったVONDSだが、終盤戦では上位チームにも対抗できる力を見せるようになった。
なでしこリーグ1部での挑戦は、この試合で一区切りとなる。
成長した姿を最後の一戦でも発揮し、1部で戦った証しを残してほしい。
伊賀FCくノ一三重
伊賀FCくノ一三重は、最終節で日体大SMG横浜をホームに迎える。
第11節の前回対戦では、3得点を奪って3-0で快勝している。
日体大は今節、岡山湯郷Belleに2-1で逆転勝利。終盤戦に入ってからは試合内容にも改善が見られ、1部残留を確定させた。
伊賀は優勝争いから脱落したものの、最終節の結果次第では3位に浮上できる可能性が残されている。
勝利はもちろん、順位を一つでも上げるためには得点を積み重ねることも重要になる。
今節も見せた強度と運動量をベースに、サイドからの推進力を生かして積極的にゴールを狙いたい。
優勝という目標には届かなかったが、最終節では豊富な運動量と高い強度を武器とする伊賀らしいサッカーを発揮し、勝利でシーズンを締めくくってほしい。
リソース
チーム紹介


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