台風7号・8号の影響により、6月27日に予定されていたスフィーダ世田谷FCとニッパツ横浜FCシーガルズの一戦は中止となった。代替試合は2026年8月8日に開催された。
前回対戦は第4節。ニッパツが後半アディショナルタイムに松尾由帆の決勝点を奪い、3-2で競り勝っている。
この日のキックオフ時の気温は33.0℃。前後半にクーリングブレイクが設けられる厳しい暑さのなか、開始5分にニッパツが先制した。
世田谷も反撃を試みたが、後半終盤の79分と80分にニッパツが連続得点。前線のスピードを生かして背後を狙い続けたニッパツが、3-0で6試合ぶりの勝利を挙げた。
この記事の要点
- ニッパツは世田谷の高い最終ラインを狙い、開始5分に浦島里紗が先制
- 世田谷は後半に4バックへ変更して守備を整えたが、得点にはつなげられず
- 79分に俣野佑果、80分に室井胡心が連続得点し、ニッパツが試合を決めた
試合情報
試合展開
浦島里紗が開始5分に先制
立ち上がりは世田谷が、右サイドの#2根本彩夏の積極的な攻め上がりから前進した。
しかし、先にゴールを奪ったのはニッパツだった。
5分、#4中居未来が世田谷の最終ライン背後へ浮き球を送る。世田谷DFが処理し切れなかったところを#7浦島里紗が逃さず、前に出たGK#1大塚美緒の位置を見てループ気味のシュートを流し込んだ。
世田谷は好機を演出するもフィニッシュにつなげ切れず
早い時間に失点した世田谷は、#9堀江美月のポストプレーを起点に反撃。根本が右サイドを押し上げ、#13内田美鈴も背後への抜け出しやドリブルで仕掛けた。
根本が相手を引きつけて右サイドに前進する場面は作れていた。しかし、周囲のサポートが足りず、クロスの精度もいまひとつ。そしてゴール前ではニッパツ守備陣に跳ね返され、優位に立った局面を決定機までつなげられなかった。

一方、ニッパツは最終ラインから細かくつなぐ回数を抑え、長いキックを多用した。
世田谷は最終ラインを高く設定し、両サイドも積極的に前へ出ていた。その背後へ#10室井胡心や#11岡百々花が走り、DFとGKの間に落ちるボールを狙い続ける。
浦島が再び最終ラインの背後へ抜け出してシュートを放つと、大塚がセーブ。こぼれ球を浦島がもう一度狙ったが、大塚が体を投げ出してコースを狭め、シュートはクロスバーをたたいた。
室井も世田谷のバックパスを絶えず狙い、最終ラインとGKにプレッシャーをかけ続ける。ニッパツが世田谷の背後を脅かしながら、1点のリードを保って前半を終えた。
両チームの守備陣が奮闘し、決定機を阻止
後半開始直後、ニッパツに追加点のチャンスが訪れる。
浦島が最終ラインの背後へ浮き球を送り、岡がフリーで抜け出した。決定機と思われたが、世田谷DF#7渡邊那奈がスプリントで追いつき、ゴール前で足を伸ばしてシュートをブロックした。
さらにニッパツは、自陣でボールを奪うと、再び背後へ走る岡にロングパスを送る。ここでも渡邊が体を張って対応した。
続いて中盤のルーズボールに#25松尾由帆が反応し、最終ラインを抜けてシュート。しかし、枠を捉えられなかった。

世田谷は3-4-3に見える配置で試合に入り、ニッパツは4-4-2を基本としながら、左サイドの浦島が高い位置を取った。浦島が前線に加わることでニッパツは3トップ気味となり、世田谷の最終ラインと数的同数になる。
高い位置を取る世田谷の両サイドの背後には、試合を通して大きなスペースが残っていた。
それでも世田谷は、内田を中心に流れを引き戻す。
内田が右サイドをドリブルで突破してクロスを送ると、#15篠原沙耶がフリーで合わせる。ヘディングはミートしなかったが、こぼれ球を#10田口茉亜紗が左足で狙った。
低い弾道の鋭いシュートだったが、ニッパツGK#21大久保つくしが右手一本でセーブ。世田谷は続くコーナーキックでも、堀江がファーサイドからヘディングで合わせたが、シュートはクロスバーを越えた。
布陣変更で守備を安定させた世田谷
世田谷は61分、#20石浦和歌に代えて#8加藤沙彩を投入。篠原が左サイドバック、根本が右サイドバックに入る4バックへ変更した。
3バック時に生じていた両ワイドの背後と最終ライン脇のスペースを、スピードのある根本と篠原がサイドバックとして対応することで、守備は一時的に安定した。世田谷はボールを保持する時間も増やし、両サイドから攻撃を組み立てた。
さらに73分、世田谷は堀江に代えて#14松原萌乃を投入。空中戦で起点となっていた堀江がピッチを離れたことで、クロスに対する中央の高さは低下した。内田・加藤が仕掛け、フィニッシュまで持ち込む場面が増えていく。

79分、80分の連続得点でニッパツが決着
試合を決めたのは、ニッパツが狙い続けた背後への攻撃だった。
79分、両サイドバックが高い位置を取った世田谷に対し、ニッパツが再び前線へ長いボールを送る。DF渡邊とGK大塚が対応したものの、守備陣が戻り切らない。
世田谷のクリアを#5吉田凪沙が回収し、#31俣野佑果へパス。俣野はゴールから離れていた大塚の位置を見て、ミドルレンジからループ気味のシュートを決めた。
さらに試合再開直後の80分、前に出ようとした世田谷のパスを吉田が引っかけ、室井へつなぐ。室井は手薄になった中盤を持ち運び、ゴールから距離のある位置で右足を振り抜いた。
これがゴールネットを揺らし、ニッパツがわずか1分間で2点を追加。試合の行方を決定づけた。
両チームは5人の交代枠をすべて使い切ったが、スコアは動かず。シュート数で15対5と上回ったニッパツが、3-0で勝利した。

総括
ニッパツの強みが明確に表れた試合だった。後方からつなぐことに固執せず、世田谷の高い最終ラインと両サイドの背後へ長いボールを送る。室井、岡、浦島が繰り返し背後へ走り、相手のバックパスやボール処理にも圧力をかけ続けた。
世田谷が布陣を変更して守備を整えた後も、ニッパツは狙いを変えなかった。79分と80分の連続得点は、試合を通して続けてきた攻撃が終盤に実ったものだった。
気温33度という厳しい条件でも、ニッパツの前線は最後まで運動量とスピードを維持した。特に室井と岡は、得点の有無にかかわらず、世田谷の最終ラインを押し下げ続けた。
スフィーダ世田谷FC
序盤は根本が右サイドで優位に立ち、堀江が前線でボールを収め、内田が鋭く仕掛けた。攻撃の入口は作れていたが、サイドへのサポートとクロスの精度を欠き、決定機までつなげられなかった。
守備では、ニッパツのスピードを警戒しながらも最終ラインを高く保ったことで、背後に大きなスペースを与えた。後半に4バックへ変更してから一時的に安定したものの、攻撃時に両サイドバックが前へ出たところを再び狙われ、終盤の連続失点につながった。
世田谷は今季15試合で22得点。そのうち内田が11得点、堀江が8得点を挙げており、2人でチーム得点の約86%を占めている。得点ランキング
2人の決定力は大きな武器だが、相手に封じられたときの攻撃や、どちらかがピッチを離れた後の得点ルートは課題として残る。両者の負担を分散しながら、90分を通してゴールを狙える形を増やしたい。
ニッパツ横浜FCシーガルズ
室井と岡のスピード、ゴールへ向かう意識は、この試合でも大きな脅威となった。浦島も高い位置から背後を狙い、4本のシュートを放って先制点を記録している。
前半は權野貴子が前線でボールを収め、室井や浦島が走り込む時間を作った。中盤では吉田がセカンドボールや相手のパスに反応し、終盤の2得点に関与した。
ニッパツは終盤になっても陣形をコンパクトに保ち、世田谷が前へ出た瞬間を逃さなかった。相手の布陣との相性もあったが、チームの強みである前線のスピード、バックパスへの圧力、背後への攻撃を結果につなげた勝利だった。
第9節のVONDS市原FCレディース戦以来、6試合ぶりの勝点3。中断明けの戦いに向けて、ニッパツらしさを再確認できる一戦となった。
順位表
延期されていたこの試合をもって、なでしこリーグ1部第15節の全日程が終了した。
スフィーダ世田谷FCは勝点16のまま、8位から9位へ後退。ニッパツ横浜FCシーガルズは勝点を18に伸ばし、10位から8位へ浮上した。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(2) | 静岡SSUボニータ | 32 | 15 | 10 | 2 | 3 | 45 | 10 | +35 | |
| 2(1) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 32 | 15 | 9 | 5 | 1 | 37 | 12 | +25 | |
| 3(3) | ヴィアマテラス宮崎 | 29 | 15 | 8 | 5 | 2 | 28 | 15 | +13 | |
| 4(4) | オルカ鴨川FC | 28 | 15 | 8 | 4 | 3 | 20 | 10 | +10 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 26 | 15 | 7 | 4 | 3 | 17 | 11 | +6 | |
| 6(6) | 岡山湯郷Belle | 23 | 15 | 7 | 2 | 6 | 22 | 23 | -1 | |
| 7(9) | 愛媛FCレディース | 19 | 15 | 5 | 4 | 6 | 17 | 28 | -11 | |
| 8(10) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 18 | 15 | 5 | 3 | 7 | 26 | 27 | -1 | |
| 9(8) | スフィーダ世田谷FC | 16 | 15 | 4 | 4 | 7 | 22 | 27 | -5 | |
| 10(7) | ASハリマアルビオン | 16 | 15 | 4 | 4 | 7 | 15 | 21 | -6 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 10 | 15 | 3 | 1 | 11 | 13 | 45 | -32 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 1 | 15 | 0 | 1 | 14 | 6 | 39 | -33 |
次節に向けて
スフィーダ世田谷FCは中断明けの9月5日に、ホームのAGFフィールドに伊賀FCくノ一三重を迎える。
伊賀は前線の推進力に加え、中盤の球際と最終ラインの強度も高いため、決定機が限られる展開も想定される。ハードワークを続けて選手間の距離を保ち、内田や堀江の周囲にどれだけ多くの選手が関われるかが重要になる。
ニッパツ横浜FCシーガルズは9月5日、ホームのニッパツ三ツ沢球技場で朝日インテック・ラブリッジ名古屋と対戦する。
名古屋は組織力と個の能力を兼ね備え、ボールを保持しながら複数の攻撃ルートを作れるチームだ。ニッパツとしては最終ラインでリスクを抑え、中盤の球際で対抗しながら、室井や岡が背後へ走れる状況を作りたい。
名古屋にとっても、ニッパツの前線が持つスピードは警戒すべき要素になる。今回の勝利で取り戻した強みを、上位相手にも発揮できるかが問われる。
リソース
チーム紹介


フルマッチLIVE配信
第15節全試合ハイライト動画
公式記録

