【試合レビュー】好機を仕留めたニッパツ、伊賀の猛攻をしのぎ3連勝|2026プレナスなでしこリーグ1部 第17節

試合レビュー

2026プレナスなでしこリーグ1部 第17節。

前節、朝日インテック・ラブリッジ名古屋に前半だけで3得点を奪い、3-0で完封勝利した7位・ニッパツ横浜FCシーガルズ。第15節のスフィーダ世田谷FC戦から2連勝で今節を迎えた。

対する5位・伊賀FCくノ一三重も、前節はスフィーダ世田谷FCに先制を許しながら、唐沢芽依と島野美央のゴールで2-1と逆転勝利。今節、上位争いに踏みとどまるためにも勝点3が欲しい一戦となった。

前回対戦は第6節。ニッパツは權野貴子のゴールで一度は追いついたものの、終盤に唐沢芽依の決勝点を許し、1-2で敗れている。

今節は立ち上がりから背後を狙った攻撃で主導権を握ったニッパツが、岡百々花の突破から田村かのんが先制。
その後は伊賀がコンパクトな陣形と強度の高いプレッシングで押し返し、後半は長くニッパツを自陣へ押し込んだ。
それでもニッパツは中央を固めて失点を許さず、61分にはセットプレーの流れから吉田凪沙が追加点。限られたチャンスを確実に得点へ結びつけ、2-0で今シーズン初の3連勝を飾った。

この記事の要点

  • ニッパツは岡百々花のサイド突破から田村かのんが先制。セットプレーの流れから吉田凪沙が追加点を奪った
  • 伊賀は後半に主導権を握り、増田玲那を中心に攻め続けたが、シュート数を決定機の質へ結びつけ切れなかった
  • ニッパツは前線のスピードと中央を締める守備で2-0の完封勝利。今季初の3連勝で6位へ浮上した

試合情報

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試合展開

ニッパツが背後への速さを生かして先制

立ち上がりはニッパツが主導権を握った。

狙いは明確だった。
前線のスピードを生かし、伊賀の最終ラインの背後へ素早くボールを送る。特に右サイドハーフの#11岡百々花の推進力を生かしたサイド攻撃からゴールへ迫った。
流れの中だけでなくセットプレーからも伊賀ゴールを脅かしたが、GK#16小野未織が好守を見せて失点を防ぐ。

一方の伊賀では、#14増田玲那が攻撃の中心となった。中盤でボールを引き出しながら周囲を動かし、パスだけでなくドリブルや自らのシュートでもニッパツ守備陣に揺さぶりをかける。

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それでも、先にスコアを動かしたのはニッパツだった。

21分、GKが弾いたボールを#10室井胡心が収め、サイドへ展開。#11岡百々花が縦へ仕掛けてグラウンダーのクロスを送り、ゴール前へ入った#14田村かのんが左足で合わせた。
序盤から繰り返していた、前線の速さを生かしてサイドを攻略する形。
ニッパツが自分たちの強みをそのまま先制点へつなげた。

伊賀がラインを押し上げて主導権を奪い返す

失点後は伊賀が徐々に試合を引き寄せていく。

#8島野美央が最終ラインからの縦パスを引き出し、#14増田玲那、#10平田ひなの、#24唐沢芽依へとボールをつなぐ。
さらに最終ラインを高く設定し、チーム全体をコンパクトに保つことでセカンドボールの回収率を高めた。

#3秦美結、#5常田菜那ら最終ラインの選手も攻撃に参加。ニッパツを自陣へ押し込み、ボールを失っても素早く回収して再び攻撃へ転じる。
#14増田を中心に前線の選手たちがゴールへ迫ったが、ニッパツは中央を狭く保ち、最後の局面で身体を張って対応。

ニッパツは伊賀にボールを持たれる時間は増えたものの、危険なエリアへの侵入を最小限に抑え、1-0で前半を折り返した。

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後半、伊賀が圧力を強める

伊賀はハーフタイムに#8島野美央に代えて#9桂亜依を投入。
サイドの推進力を高め、ニッパツ最終ラインの背後をより積極的に狙った。

中央の平田・増田が、サイドの桂・唐沢と連係。中央突破とサイド攻撃を使い分けながらニッパツを押し込み、シュートで攻撃を終える場面を増やしていく。

ニッパツにとって我慢の時間が続いた。
それでも#5吉田凪沙、#14田村かのんを中心とした中盤が強度を落とさず、伊賀の前進を中央で制限する。
横パスやバックパスが入れば、#10室井胡心や#11岡百々花が一気に距離を詰める。
奪えればそのまま相手ゴールへ。
押し込まれながらも、ニッパツには常にカウンターという明確な出口が残されていた。

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伊賀も#26清悠香が室井を強く意識して対応。背後へ抜けられても最後まで身体を寄せ、ニッパツの決定機を増やさせなかった。

劣勢のニッパツ、セットプレーから追加点

後半は伊賀が主導権を握っていた。

しかし、次の1点を奪ったのはニッパツだった。

室井の背後への抜け出しや岡のシュートによって一度陣地を押し戻すと、その流れからコーナーキックを獲得。
一度は伊賀に跳ね返されたものの、#22加田菜が競り合ったボールをニッパツが再び拾い、最後は#5吉田凪沙が苦しい体勢からシュートを放つ。
強烈な一撃ではなかったが、コースを突いたボールはGKの手が届かない位置へ飛び、ゴールネットを揺らした。

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61分、2-0。
吉田は前節の名古屋戦に続く2試合連続ゴールとなった。
伊賀が同点へ向けて圧力を高めていた時間帯だっただけに、大きな追加点だった。

ニッパツは押し込まれながらも、前線のスピードで一度相手を押し返し、そこから生まれたセットプレーを得点につなげた。
この場面に、この日の両チームの差が凝縮されていた。

2点を追う伊賀、それでも崩れないニッパツ

2点を追うことになった伊賀は、さらにリスクを取って前へ出る。

#26清悠香がパスをインターセプトすると、そのままドリブルで持ち上がる場面も見せた。
前線、中盤、最終ラインが連動してニッパツをサイドへ追い込み、中央への逃げ道に出されたパスを再び回収する。

#23米澤心花、#25上田彩葉、#22松田吏真と攻撃的な選手も送り込み、最後までゴールを目指した。

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対するニッパツは、自陣で守るだけではない。
クリアボールが室井や岡へ入れば、一気に相手ゴールへ向かう。
伊賀にとっては得点を奪うために人数をかけたい一方、ニッパツの前線を完全に放置することもできない。

伊賀は最後までニッパツゴール前へボールを運び続けたものの、決定的な形を作り切れない。

ニッパツ守備陣が最後まで中央を締めて耐え抜き、2-0で試合終了。
ニッパツが今シーズン初の3連勝を飾った。

総括

後半の主導権や攻撃回数では伊賀が上回った。
しかし、サッカーはボールを長く持ったチームやシュートを多く打ったチームが必ず勝つ競技ではない。
ニッパツは自分たちの最大の武器である前線のスピードを先制点へつなげ、押し込まれた後半にも、その速さを使って陣地を回復。そこから得たセットプレーを追加点へ結びつけた。

伊賀は自分たちの強度と運動量を発揮して試合を押し戻したものの、ゴール前でニッパツ守備陣を上回る最後の一手を欠いた。
ボールを握った時間ではなく、「自分たちの強みをどれだけ得点へ変換できたか」。
そこに2-0という結果を分けた差があった。

ニッパツ横浜FCシーガルズ

前半、伊賀がプレッシングの強度を高める前に、狙っていた形から先制できたことは大きかった。
後半は長い時間押し込まれたものの、前線の速さを使って陣地を回復しながら、守備陣は最後まで中央を割らせなかった。

特に室井胡心と岡百々花の存在は大きい。
2人が前を向いた状態でボールを持てば、一気に数十メートルを前進してフィニッシュまで運ぶことができる。
リーグでも有数の武器と言える前線のスピードがあるからこそ、相手最終ラインも簡単には前へ出られない。
押し込まれた試合でもカウンターという出口を失わないことが、現在のニッパツの強さにつながっている。

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一方、低い位置からボールをつないで前進する局面には、まだ不安定さも残った。
伊賀のプレスに狙われ、そのまま自陣でピンチにつながる場面もあった。

残り5試合という状況を考えれば、すべてをつないで解決する必要はない。
前線の速さという明確な武器があるだけに、つなぐ場面と、ロングボールやクリアで一度相手を押し戻す場面を整理することが重要になるだろう。

今シーズン初の3連勝。
前線のスピード、中盤の強度、そして最後まで身体を張る守備。

シンプルではあるが、チームの特徴を前面に押し出した戦い方が、結果につながっている。

伊賀FCくノ一三重

0-2という結果ほど内容が悪かった試合ではない。
特に後半は伊賀が主導権を握り、ニッパツを長い時間自陣へ押し込んだ。

その中心にいたのが増田玲那だ。
ボール保持時にはトップ下に近い位置でパスを引き出し、相手の寄せを受けながらもボールを失わない。
パス、ドリブル、シュートと複数の選択肢を持ち、ニッパツに警戒されながらも攻撃に変化を加え続けた。

秦美結から前線へ送る縦方向のボールも効果的だった。
ニッパツの中盤が前へ出た背後へボールを送り、そこから伊賀の攻撃をスタートさせる場面が何度も見られた。

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課題は、その優勢を得点へ変えられなかったことだ。
相手を上回るシュート数を記録しながら無得点。
シュートまで運ぶことはできても、GKやDFを完全に外した状態でフィニッシュする場面は多くなかった。

攻撃の回数を増やすところまではできている。
そこからゴール前で相手を一つ上回り、決定機の質を高められるか。

内容を勝点へ変えるために必要なのは、最後の部分の精度だろう。

順位表

第17節を終えて、ニッパツ横浜FCシーガルズは勝点24とし、6位へ浮上。

伊賀FCくノ一三重は勝点29で5位を維持した。
首位・静岡SSUボニータとの勝点差は7。残り5試合となり、伊賀にとっては上位争いに踏みとどまるためにも、これ以上勝点を落としたくない状況となった。

順位
(前節)
チーム名勝点試合数得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ361711334912+37
2(2)朝日インテック・ラブリッジ名古屋32179533717+20
3(3)オルカ鴨川FC32179532612+14
4(4)ヴィアマテラス宮崎32179533119+12
5(5)伊賀FCくノ一三重29178541914+5
6(7)ニッパツ横浜FCシーガルズ24177373127+4
7(6)岡山湯郷Belle24177372328-5
8(8)ASハリマアルビオン20175571822-4
9(10)スフィーダ世田谷FC19175482529-4
10(9)愛媛FCレディース19175481833-15
11(11)日体大SMG横浜101731131549-34
12(12)VONDS市原FCレディース71721141040-30

次節に向けて

ニッパツ横浜FCシーガルズ

次節、ニッパツ横浜FCシーガルズは首位・静岡SSUボニータとのアウェー戦に臨む。
前回対戦の第7節は2-2の引き分けだった。

静岡は横山久美を中心にリーグ屈指の攻撃力を持つ。
中盤の強度、運動量、そして最終ラインの対応力まで含めて、ニッパツにとってタフな90分になることは間違いない。

一方、室井胡心と岡百々花を中心とした前線の速さは、静岡にとっても無視できない武器になる。
伊賀戦のように押し込まれる時間を耐え、少ないチャンスを得点へ変えられるか。
好調のニッパツが首位を相手に4連勝を狙う。

伊賀FCくノ一三重

伊賀FCくノ一三重は、ホームに10位の愛媛FCレディースを迎える。
前回対戦の第7節は、伊賀が1-0で勝利した。

愛媛は順位こそ下位にいるものの、運動量を落とさず、ボールを奪ってから相手ゴールへ向かうスピードを持つ。
伊賀にとっては、今節のようにボールを持ち、相手を押し込むだけでは十分ではない。
高い守備強度と相手を上回る運動量、縦への意識を維持しながら、いかにゴール前で攻撃を完結させるか。

残り5試合。
上位を追い続けるためにも、今節で残った「得点」という課題に答えを出したい一戦となる。

リソース

チーム紹介

ニッパツ横浜FCシーガルズ
ニッパツ横浜FCシーガルズの2026シーズンを紹介。2021年以降の成績推移、前線からのプレスとスピードを生かした攻撃、ビルドアップへの取り組み、室井胡心・岡百々花・吉田凪沙・浦島里紗ら注目選手の紹介、後半戦の展望をまとめています。
伊賀FCくノ一三重
伊賀FCくノ一三重の2026シーズン成績やスタッツ、高い最終ラインと連動したプレスを軸とするチームの特徴を紹介。秦美結、常田麻友、増田玲那、渡邊凜ら注目選手や試合レビューもまとめています。

第17節 振り返り

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第17節 個人的ベストイレブン

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