2026プレナスなでしこリーグ1部は第20節。
前節のASハリマアルビオン戦に3-0で勝利し、1部残留を決めた8位・愛媛FCレディースが、勝点32で4位につけるヴィアマテラス宮崎をホームに迎えた。
愛媛は伊賀FCくノ一三重、ハリマを連破して2連勝中。
一方の宮崎は、岡山湯郷Belleに1-5、静岡SSUボニータに1-2と2連敗。さらに試合前日の10月3日には佐藤考範監督の退任が発表され、柳田和洋監督代行のもとで迎える最初のリーグ戦となった。
第9節の前回対戦は宮崎が3-0で勝利している。ただ、愛媛も持ち味のハードワークから宮崎に圧力をかける時間を作っており、スコアほど簡単な試合ではなかった。
今回の対戦でも宮崎が3-0で勝利した。
開始14分までにセットプレーを起点として2点を奪うと、後半にもCKから追加点。愛媛も縦への速さを生かして宮崎の最終ラインの背後を狙ったが、最後までゴールを奪えなかった。
監督交代後の初戦となった宮崎が、3試合ぶりの白星を手にした。
この記事の要点
- 宮崎が開始14分までにセットプレーを起点として2得点。試合を早い段階で優位に進めた。
- 愛媛は近藤彩優子、安齋結花らのスピードを生かして背後を狙ったが、宮崎のラインコントロールと身体を張った守備を崩し切れなかった。
- 宮崎は3バックをベースに前線から強度高く守り、奪えば素早く縦へ。69分にはCKから山本さゆりが3点目を挙げた。
試合情報
試合展開
宮崎は3バック、高いラインで愛媛の背後への狙いに対応
宮崎は3-4-3。
3バックの#31上永ひかり、#21坂本理保、#3國生乃愛がラインを高く保ちながら、前線からのプレスと連動して全体をコンパクトにする。
愛媛の前線には#14近藤彩優子、#29安齋結花ら縦へのスピードを持つ選手がいる。宮崎は背後を狙われるリスクを負いながらもラインを下げ過ぎず、ラインコントロールによって対応していた。
立ち上がりから宮崎は前線から強く圧力をかける。
攻守の切り替えも速く、球際でも強度を落とさない。愛媛を自陣深くへ押し込みながら、試合の主導権を引き寄せていった。

開始14分までに2得点、宮崎がセットプレーから先行
その流れから、12分に宮崎が先制する。
#3國生乃愛のFKを#21坂本理保が頭で合わせ、ファーサイドへ流れたボールに上永ひかりが反応。ゴール前へ折り返すと、#16松田遥奈が頭で強く叩きつけ、ゴールへ突き刺した。
さらに14分。
右CKがファーサイドへ流れたところを#31上永ひかりが拾い、#7有馬りこへつなぐ。
有馬がゴール前へクロスを送ると、やや後方から坂本が飛び込んだ。ヘディングシュートはクロスバーに当たり、GK山内れなにも触れてゴールへ。

宮崎がわずか2分間で2得点を奪った。
第9節の前回対戦でもセットプレーから3得点した宮崎だったが、この試合でも同じ武器が得点につながった。
愛媛は縦への速さで反撃、宮崎の高い最終ラインを狙う
早い時間帯に2点を追う展開となった愛媛も、そのまま押し込まれ続けたわけではない。
ボールを奪えば素早く縦へ運び、#14近藤彩優子、#29安齋結花に加えて右サイドの#19黒岩沙羽、両サイドバックの#2松村菜美、#25足立寧々らが前へ出る。
特に狙ったのが、宮崎の高い最終ラインの背後だった。
縦への速さを生かして素早くボールを送り込み、宮崎の3バックを後方へ走らせる。
宮崎のラインコントロールによってオフサイドとなる場面も多かったが、タイミングが合えば一気にゴールへ迫れる形も作った。
宮崎の最終ラインにも、1人がサイドへ引き出された際などに対応が不安定になる場面はあった。
それでも最後の局面では身体を張り、愛媛に決定的な形を作らせない。

前半は宮崎が2点をリードして折り返した。
後半は愛媛も強度を上げ、互いに速い切り替えで応酬
後半に入ると、愛媛が守備の強度を上げる。
前線から相手へ寄せ、攻守が切り替わればすぐに前へ出る。
前半は宮崎に強度で後手を踏む場面もあったが、後半立ち上がりは愛媛らしいハードワークを取り戻し、宮崎と互角に渡り合う時間を作った。
一方の宮崎も強度を落とさない。
ボールを奪えば時間をかけずに縦へ進み、失えばすぐに切り替えて愛媛の前進を止める。
互いにボールを奪った後の縦への意識が強く、攻守が目まぐるしく入れ替わる時間が続いた。

再びセットプレー、山本さゆりの3点目で宮崎が突き放す
拮抗した後半の流れを再び動かしたのも、宮崎のセットプレーだった。
69分。途中出場の#24井之脇朱音が左サイドで粘ってCKを獲得する。
#3國生乃愛がゴール前へ蹴り込むと、中央へ飛び込んだ#22山本さゆりが頭で押し込み、宮崎が3-0とした。
愛媛にとっては、この日3度目となるセットプレーを起点とした失点だった。
3点差となってからも宮崎は前向きな守備を緩めない。
相手陣内でボールを奪えば素早くゴールへ向かい、愛媛に長く攻撃を続けさせない。
愛媛も最後まで宮崎の最終ラインの背後を狙ったが、GK暁清流と最終ラインを崩し切れず、そのまま試合終了。
宮崎が3-0で3試合ぶりの勝利を手にした。
総括
スコアは3-0。
ただし、この試合を「宮崎が90分間一方的に押し込んだ試合」と見るのは少し違う。
愛媛にも宮崎の高い最終ラインの背後を突き、ゴールへ迫る場面はあった。特に後半立ち上がりは持ち味である運動量と攻守の切り替えを発揮し、互角に渡り合う時間も作っている。
それでも最終的に3点差がついた最大の要因は、セットプレーだった。
宮崎の3得点はいずれもセットプレーと、その流れから生まれたもの。開始14分までに2点を奪ったことで試合を優位に進め、愛媛が反撃の強度を高めた後半にもCKから追加点を奪った。
そして宮崎は守備でも、愛媛の背後への狙いに対して高いラインを保ちながら対応。
完全に危険を消せていたわけではないが、最終ラインだけで対応できない場面では中盤や前線の選手も全力で戻り、人数をかけてゴールを守った。
監督退任発表の翌日という難しい状況で迎えた一戦。
その中で宮崎が見せたのは、シンプルに前へ進む姿勢と、球際・切り替えで強度を落とさない戦いだった。
愛媛FCレディース
愛媛にとって大きかったのは、やはり立ち上がりの2失点だった。
前節まで2連勝。その原動力となっていた前線からの守備と素早い切り替えを発揮する前に、12分、14分と立て続けに失点した。
しかも3失点はいずれもセットプレーを起点としている。
宮崎の高さだけが要因ではない。最初のボールだけでなく、その後のこぼれ球や二次攻撃に対して宮崎に先手を取られ、ゴール前へもう一度ボールを送り込まれている。
ここは今後に向けて整理したいポイントだろう。
一方、流れの中では宮崎の最終ラインを揺さぶる場面もあった。
近藤彩優子、安齋結花を中心に背後へ走り、サイドからも積極的に押し上げる。
宮崎が高いラインを取っていたこともあり、裏へ抜ければ一気にゴールへ迫れる場面はあった。

ただし、宮崎のラインコントロールによってオフサイドとなる場面も多く、最後のパスやフィニッシュまでつなげ切れない。
後半には持ち味であるハードワークを発揮して試合を押し戻した時間もあっただけに、前半の早い時間帯で背負った2点差が重かった。
すでに1部残留は決めている。
それでもリーグ戦は残り2試合。その後には皇后杯も控えている。
結果だけを見るのではなく、この試合で表れたセットプレー守備の課題を整理し、次戦につなげたい。
ヴィアマテラス宮崎
監督退任発表の翌日。
チームにとって決して簡単な状況ではなかったが、宮崎は立ち上がりから迷いの少ない戦いを見せた。
自陣深くでは無理につながず、必要なら強くクリアする。
中盤で奪えば、前線の選手が一気に走り出し、その動きに合わせて縦へボールを送り込む。
そしてボールを失えば、すぐに前向きな守備へ切り替える。
柳田和洋監督代行が試合後に語った「守備では粘り強く、ハードに、献身的に」「攻撃ではゴールへアグレッシブに向かう」という狙いが、そのままピッチ上に表れていた試合だった。
その中心にいた一人が松田遥奈だった。
12分には先制点。
それだけでなく、中盤で相手へ強く寄せ、ボールを奪えば前方へ展開し、自らも積極的にゴールへ向かう。
攻守両面で高い強度を保ち続け、この日の宮崎を象徴するような働きを見せた。
最終ラインではキャプテンの坂本理保の存在も大きかった。
愛媛が狙う縦パスに対して予測して前へ出て対応し、背後を狙われればラインをコントロールする。
対人守備、高さ、カバーリングだけでなく、ボールを奪った後には長いボールで攻撃の起点にもなった。
さらに14分には自身もゴールを記録している。

もちろん課題がなかったわけではない。
3バックで高いラインを取ったことで、愛媛に背後を突かれる場面もあった。
1人が吊り出され、攻守の切り替えが遅れれば、一時的に相手と同数になる場面もある。
それでも最終ラインが相手の攻撃を遅らせている間に、中盤と前線の選手が全力で戻り、複数人で挟み込む。
奪えば再び前へ走る。
この運動量と献身性によって、愛媛の攻撃を長く継続させなかった。
直近では4バックを採用する試合も多かった宮崎だが、この日は3バックを選択した。
まだ守備対応には調整の余地を感じさせたものの、前線からのプレス、高いライン、奪った後の縦への速さを組み合わせるうえでは興味深い形だった。
何より大きいのは、監督退任発表直後の初戦を3得点・クリーンシートで勝ち切ったことだろう。
自力優勝の可能性はない。それでも勝点35まで伸ばし、首位・静岡SSUボニータとの差は5。
残り2試合を勝ち切り、そのうえで上位勢の結果を待つことになる。
まず必要なのは、自分たちが勝ち続けることだ。
順位表
第20節開催分終了時点で、ヴィアマテラス宮崎は勝点35。伊賀FCくノ一三重と勝点で並び、得失点差で上回って3位へ浮上した。
愛媛FCレディースは勝点25の8位を維持している。
なお、朝日インテック・ラブリッジ名古屋とオルカ鴨川FCには未消化試合が残っている。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 40 | 20 | 12 | 4 | 4 | 51 | 14 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 38 | 19 | 11 | 5 | 3 | 42 | 19 | +23 | |
| 3(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 35 | 20 | 10 | 5 | 5 | 36 | 26 | +10 | |
| 4(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 35 | 20 | 10 | 5 | 5 | 28 | 19 | +9 | |
| 5(3) | オルカ鴨川FC | 33 | 19 | 9 | 6 | 4 | 27 | 15 | 12 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 31 | 20 | 9 | 4 | 7 | 34 | 28 | +6 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 28 | 20 | 8 | 4 | 8 | 30 | 34 | -4 | |
| 8(8) | 愛媛FCレディース | 25 | 20 | 7 | 4 | 9 | 24 | 38 | -14 | |
| 9(9) | スフィーダ世田谷FC | 23 | 20 | 6 | 5 | 9 | 29 | 33 | -4 | |
| 10(10) | ASハリマアルビオン | 20 | 20 | 5 | 5 | 10 | 20 | 30 | -10 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 20 | 4 | 1 | 15 | 20 | 56 | -36 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 11 | 20 | 3 | 2 | 15 | 13 | 42 | -29 |
次節に向けて
愛媛FCレディース
次節、愛媛FCレディースはニッパツ横浜FCシーガルズとのアウェー戦に臨む。
前回対戦は、愛媛がハードワークをベースとした守備からチャンスを作り、3-1で勝利した。
ただし、現在のニッパツは前回対戦時とは大きく状況が異なる。第15節から5連勝を記録し、今節は引き分けたものの6試合負けなし。
縦への速さを生かし、相手最終ラインの背後を繰り返し狙う攻撃で終盤戦に勝点を積み重ねている。
愛媛としては、前回勝った相手という意識を持ち過ぎないことが重要になる。
そして今節3失点を喫したセットプレー守備をどこまで整理できるか。
相手の最初のボールだけでなく、こぼれ球や二次攻撃まで含めて対応したい。
ヴィアマテラス宮崎
ヴィアマテラス宮崎はスフィーダ世田谷FCとのアウェー戦に臨む。
前回対戦は、宮崎が土屋佑津季のゴールで先制した直後に追いつかれ、1-1の引き分けだった。
優勝の可能性を残すためにも、宮崎にとって勝点3が必要な一戦となる。
世田谷には内田美鈴、堀江美月という前線の強力な選手がいる。
今節のように前を向かせる前に強く寄せ、相手の攻撃を前方で止めたい。
一方の攻撃では、愛媛戦で見せた前線への推進力に加え、3得点につながったセットプレーも大きな武器になる。
監督交代後の初戦で見せた強度と献身性を、次戦でも再現したい。
残り2試合、優勝の可能性を残すためには勝ち続けるしかない。
リソース
チーム紹介


第20節 振り返り

第20節 個人的ベストイレブン

フルマッチLIVE配信
第20節全試合ハイライト動画
公式記録


