2026プレナスなでしこリーグ1部は第20節。全22節のリーグ戦は、いよいよ最終盤を迎えた。
前節、3連勝中だった最下位・VONDS市原FCレディースを1-0で下し、1部残留を確定させた9位・スフィーダ世田谷FCが、勝点32で3位につけるオルカ鴨川FCをホームに迎えた。
オルカは第18節のVONDS市原FCレディース戦に0-2で敗れ、優勝争いでは他チームの結果も必要となる状況。それでも未消化試合を残しており、逆転優勝の可能性をつなぐためにも勝点3が欲しい一戦だった。
第9節の前回対戦は、拮抗した展開のなか、78分に河野有希が決勝点を挙げてオルカが1-0で勝利している。
今回は世田谷が序盤から前への圧力を強めて先制。オルカも前半のうちに齊藤彩花の得点で追いつき、後半は陣形を修正して押し返したものの、勝ち越しには至らなかった。
最終スコアは1-1。優勝を目指すオルカにとっては、勝点2を落としたとも言えるドローとなった。
この記事の要点
- 世田谷は堀江美月、内田美鈴への縦パスとセカンドボール回収から押し込み、13分に篠原沙耶の直接FKで先制した。
- オルカは37分、北村ほのかのインターセプトから齊藤彩花が同点弾。後半は前後の距離を縮め、試合の主導権を押し戻した。
- シュート数は世田谷4本に対してオルカ11本。オルカは相手の得点源2人をシュート0本に抑えた一方、前半に受け身となった時間が響き、勝点1にとどまった。
試合情報
試合展開
オルカは大幅な配置変更、世田谷は前線へのボールで押し込む
オルカは、これまでと比べてメンバーだけでなく配置にも変化が見られた。
GKは#26力丸里保が先発。#5浅野綾花が右サイドバックに入り、#19太田凪砂と#8金子ゆいがボランチを組んだ。さらに、左サイドでの出場が多かった#14蔵田あかりは右サイドに配置された。
守備では#3月東優季乃が最終ラインから前へ出て、世田谷の攻撃の起点となる#9堀江美月や#13内田美鈴に強く寄せる場面が目立った。

対する世田谷は、立ち上がりから前線へシンプルにボールを送り、堀江や内田を起点にオルカ陣内へ進入する。
前線でボールを収めれば、その周囲を味方が追い越す。さらにオルカのクリアボールにも素早く反応し、セカンドボールを回収することで攻撃を継続した。
オルカは中央では相手FWに自由を与えなかったものの、最終ラインと前線の距離が広がる場面があり、中盤で世田谷にボールを拾われる。
立ち上がりは世田谷が陣地を押し上げる展開となった。
13分、篠原沙耶の直接FKで世田谷が先制
その流れから13分、世田谷が試合を動かす。
右サイド深い位置で直接FKを獲得すると、#15篠原沙耶が左足でゴールに向かって鋭いボールを蹴り込む。
オルカ守備陣とGK力丸にとって対応の難しい軌道となり、ゴールネットを揺らした。
序盤から前線へ圧力をかけ続けた世田谷が、その流れから得たセットプレーを先制点につなげた。
低い位置でブロックを作りながら試合を進め、チャンスを待つ展開を得意とするオルカにとって、早い時間帯の失点は避けたかったところだった。
その後も世田谷は堀江、内田への縦パスを繰り返す。
2人自身にシュートまでは許さなかったものの、オルカはボールを跳ね返したあとを拾われる場面が続き、なかなか攻撃へ移れなかった。
37分、北村ほのかのインターセプトから齊藤彩花が同点
それでもオルカは、徐々に試合を押し戻す。
中盤で#8金子ゆいや#19太田凪砂がボールを奪い、前線から下がって受ける#9齊藤彩花へ縦パスを入れる。そこからサイドへ展開し、#14蔵田あかりが高い位置まで進んで攻撃を完結させる場面も生まれ始めた。
そして37分、オルカの前線からの守備が得点につながる。
世田谷が自陣からボールをつなごうとしたところを#22北村ほのかが狙い、左サイドで縦パスをインターセプト。そのまま前へ運び、中央へ抜け出した齊藤彩花へ送る。
齊藤はGK大塚美緒との1対1で相手の動きを見ながら右足で流し込み、1-1。
その前段では、北村と#25齊藤桃花が相手をサイドへ追い込み、さらに金子が縦へのパスコースを塞いでバックパスを選択させていた。
個人のインターセプトだけではなく、前線から連動して相手の出口を限定したことがボール奪取につながり、そこから最短距離でゴールまで結びつけた。
前半はそのまま1-1で終了する。
世田谷が前線へのボールとセカンドボール回収によって陣地を取った一方、シュート数ではオルカが5対3と上回っていた。押し込まれながらも、決定機そのものは大きく増やさせなかった前半だった。
後半はオルカが距離感を修正、勝ち越しには届かず
後半に入ると、オルカは前半に見られた前後の間延びを修正する。
最終ラインから前線までの距離が短くなり、中盤でセカンドボールを回収する場面が増えた。
とりわけ#19太田凪砂は、ボランチの位置にとどまらず、守備では前へ出てボールを奪い、攻撃ではそのままフィニッシュまで入り込む。中盤の強度を保ちながら、攻撃時には前線の人数を増やす役割を担った。

世田谷は中央を固めたオルカに対し、サイドからクロスを入れて#9堀江美月の高さを生かす形や、そこから生まれるこぼれ球を狙う。
一方のオルカもボールを保持する時間を増やし、相手陣内へ押し込んだ。
ただし、最後の一線を崩し切るまでには至らない。
世田谷も最後まで運動量を落とさず、奪えば素早く前へ出る姿勢を維持する。
互いに勝ち越し点を奪えないまま試合終了。1-1で勝点1を分け合った。
総括
公式記録上のシュート数は世田谷4本に対してオルカ11本。後半だけに限れば世田谷1本、オルカ6本だった。
世田谷は前半、前線へのボールとセカンドボール回収で陣地を押し上げ、その流れから得たセットプレーを先制点につなげた。一方のオルカは前半のうちに追いつき、後半は陣形を修正して攻勢を強めたものの、勝ち越しには届かなかった。
前半と後半で試合の流れが変化しながら、互いに譲らず勝点1を分け合った一戦だった。
スフィーダ世田谷FC
世田谷は試合の入りが良かった。
堀江美月、内田美鈴へ早めにボールを送り、その周囲へ選手が出ていく。さらにセカンドボールを回収して攻撃を継続することで、前半はオルカを自陣へ押し込む時間を作った。
13分の先制点も、そうした流れから獲得したセットプレーだった。

興味深いのは、試合全体ではシュート4本にとどまり、堀江と内田はともにシュート0本だったことだ。
2人はターゲットとしてオルカを押し下げる役割を果たした一方、フィニッシュの局面では相手守備に抑え込まれた。2人自身がシュートまで持ち込めないなかで、周囲の選手からどこまで決定機を作れるかという点には課題を残した。
自陣からボールをつなぐ場面では、オルカの前線からのプレスに対して苦しんだ場面もあった。37分の失点は、相手にパスコースを限定された中で縦パスを奪われ、そこから短い手数でゴールまで運ばれたものだった。
前線へのシンプルなボールでは相手を押し込めただけに、自陣からつなぐ場面で相手のプレスをどのように外すかは、今後に向けたポイントの一つになる。
オルカ鴨川FC
オルカにとっては、勝点3を必要としていた状況を考えれば悔しさの残る引き分けとなった。
ただし、内容を整理すると守備が大きく崩された試合ではない。
世田谷の攻撃の中心である堀江美月と内田美鈴には、公式記録上シュートを1本も許していない。月東優季乃を中心に中央では強く対応し、相手のフィニッシャーとしての仕事は抑えた。
一方で前半は、前線と最終ラインの距離が広がり、跳ね返したボールを世田谷に回収される場面が多かった。
これまでボランチとして、自らボールを前へ運んだり空いたスペースを埋めたりしてきた浅野綾花が右サイドバックに入り、中央には金子ゆいと太田凪砂を配置した。
中盤の強度を高める意図がうかがえた一方で、前半はボールを奪ったあとにチーム全体を前へ押し上げるところで苦しんだ。

後半はそこを修正した。
陣形をコンパクトにし、太田が守備だけでなく高い位置まで進出。セカンドボールを回収できるようになると、オルカが攻撃へ移る回数も増えた。
そのなかで存在感を示したのが齊藤彩花だ。
同点ゴールでは最終ラインの背後へ抜け出し、GKとの1対1を冷静に仕留めた。さらに前線に張るだけではなく、中盤へ下がってボールを引き出し、味方の前進を助ける場面もある。
中断明けの復帰以降、得点だけでなく攻撃全体への関与が増えており、終盤戦のオルカにとって重要な存在になっている。

オルカはこの引き分けで勝点33。未消化試合を残しているものの、順位は5位となった。首位・静岡は勝点40、2位・名古屋は勝点38で、名古屋とオルカはいずれも19試合消化。逆転優勝への道はさらに険しくなった。
それでも可能性は残っている。
このチームの土台は、リーグ屈指の堅い守備にある。ただ守るだけではなく、奪った瞬間に前へ出て相手ゴールまで迫ることがオルカの強さでもある。
この試合の後半に見せたような、押されても受け身にならず、自ら前へ出て押し返す守備を試合開始から出せるか。
残された3試合では、その部分がより重要になる。
順位表
第20節終了時点で、スフィーダ世田谷FCは勝点23の9位を維持。オルカ鴨川FCは勝点33で3位から5位へ順位を下げた。なお、オルカは第19節の名古屋戦が未消化のため、19試合消化となっている。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 40 | 20 | 12 | 4 | 4 | 51 | 14 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 38 | 19 | 11 | 5 | 3 | 42 | 19 | +23 | |
| 3(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 35 | 20 | 10 | 5 | 5 | 36 | 26 | +10 | |
| 4(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 35 | 20 | 10 | 5 | 5 | 28 | 19 | +9 | |
| 5(3) | オルカ鴨川FC | 33 | 19 | 9 | 6 | 4 | 27 | 15 | 12 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 31 | 20 | 9 | 4 | 7 | 34 | 28 | +6 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 28 | 20 | 8 | 4 | 8 | 30 | 34 | -4 | |
| 8(8) | 愛媛FCレディース | 25 | 20 | 7 | 4 | 9 | 24 | 38 | -14 | |
| 9(9) | スフィーダ世田谷FC | 23 | 20 | 6 | 5 | 9 | 29 | 33 | -4 | |
| 10(10) | ASハリマアルビオン | 20 | 20 | 5 | 5 | 10 | 20 | 30 | -10 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 20 | 4 | 1 | 15 | 20 | 56 | -36 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 11 | 20 | 3 | 2 | 15 | 13 | 42 | -29 |
次節に向けて
スフィーダ世田谷FC
次節、9位のスフィーダ世田谷FCは3位・ヴィアマテラス宮崎を再びAGFフィールドに迎える。
第10節の前回対戦は、世田谷がハードワークで宮崎に食らいつき、1-1の引き分けだった。
宮崎は第20節、柳田和洋GMによる暫定指揮体制の初戦で愛媛FCレディースに3-0で勝利した。
10月3日に佐藤考範監督の退任が発表されるなど難しい状況で迎えた一戦だったが、セットプレーと運動量を生かして勝点3を獲得している。
宮崎も優勝の可能性を残しているだけに、勝点3を求めて前への圧力を強めてくるだろう。世田谷としては、その勢いを正面から受け続けるのではなく、この試合でも見せた前線への縦パスと運動量を生かし、宮崎が前がかりになった背後をどこまで突けるか。
ホーム最終戦で、自分たちの特徴を上位相手にどこまで発揮できるか注目したい。
オルカ鴨川FC
オルカは通常の第21節を迎える前に、台風の影響で延期となっていた第19節・朝日インテック・ラブリッジ名古屋戦を10月11日にホームで戦う。
その翌週の10月18日は第21節でASハリマアルビオン戦、10月25日の最終節はヴィアマテラス宮崎とのアウェー戦が控えている。
まず大きな意味を持つのが名古屋戦だ。
第8節の前回対戦では、名古屋に主導権を握られながらも、後半開始早々に河野有希が同点ゴールを挙げ、1-1の引き分けに持ち込んだ。
続くハリマとの前回対戦では、前半に挙げた1点を堅い守備で最後まで守り切り、オルカが1-0で勝利している。
現在、名古屋は勝点38で2位、オルカは勝点33で5位。ともに19試合消化となっている。
オルカの残り3試合を全勝した場合の最大勝点は42。逆転優勝へ向けては、自ら勝点を積み上げるだけでなく、首位・静岡と名古屋の結果も必要となる。
だからこそ、まずは直接対決となる名古屋戦で勝点3を奪いたい。
2023シーズンのリーグ初優勝後、2024・2025シーズンは思うような結果を残せなかったオルカが、2026シーズンは最終盤まで優勝争いに加わっている。
残された3試合。
リーグ屈指の堅守を土台にしながら、この日の後半に見せたような前へ出る守備を試合開始から発揮し、奪ったボールを素早くゴールへつなげられるか。
わずかに残された可能性をつなぐためにも、まずは名古屋との直接対決が大きな一戦となる。
リソース
チーム紹介


第20節 振り返り

第20節 個人的ベストイレブン

フルマッチLIVE配信
第20節全試合ハイライト動画
公式記録


