2026プレナスなでしこリーグ1部は第18節。リーグ戦も残り5試合となり、終盤戦に入った。
第17節終了時点で5位の伊賀FCくノ一三重は、首位・静岡SSUボニータと勝点7差。優勝争いに踏みとどまるためにも、ホームで勝点3を積み上げたい一戦となった。
対する愛媛FCレディースは10位。第7節の前回対戦では、88分に上田彩葉が決勝点を挙げ、伊賀がアウェーで1-0の勝利を収めている。
しかし今節は、開始4分に愛媛が先制。伊賀も試合を通して押し込む時間を作り、後半に2度同点へ追いついたが、そのたびに愛媛がわずか3分後に勝ち越した。
伊賀FCくノ一三重 2-3 愛媛FCレディース。
伊賀が攻勢を強めても崩れず、限られた決定機を得点につなげた愛媛が、接戦をものにした。
この記事の要点
- 愛媛は4分に桜井由衣香が先制。伊賀に2度追いつかれながら、そのたびに3分後に勝ち越した
- 伊賀はシュート11本、CK13本と攻め込んだが、2度の同点直後に勝ち越しを許した
- 開幕戦以来の先発となった安齋結花が勝ち越し弾。終盤には途中出場の田上歩実と谷口清夏が決勝点を生み出した
試合情報
試合展開
開始4分、桜井由衣香のヘディングで愛媛が先制
立ち上がりはボールが落ち着かず、中盤での競り合いが続いた。
伊賀が立て続けにシュートを放った直後、愛媛が相手陣深くでスローインを獲得する。4分、右サイドから#19黒岩沙羽がクロス。ファーサイドで待っていた#26桜井由衣香が頭で合わせると、山なりの軌道を描いたボールがGKの手の届かないコースへ吸い込まれた。
伊賀DFも身体を寄せていたが、桜井がうまく頭で触ってコースを変えた。愛媛が開始早々に先制する
出鼻をくじかれた伊賀だったが、残された時間は十分にある。
トップ下で高い技術を見せる#14増田玲那を中心にボールを前進させ、#10平田ひなのをポスト役にしながら両サイドへ展開。#8島野美央、#24唐沢芽依が幅を取り、クロスからゴールを狙った。

守備では#3秦美結を中心に、相手が縦パスを受ける瞬間に強く身体を寄せる。奪った後は素早く縦へつなぐか、自らボールを運び、伊賀らしい強度の高い守備から攻撃へ移行していった。
一方の愛媛では、開幕戦以来の先発となった#29安齋結花のプレスが効果的だった。
伊賀の最終ラインに対して走るコースを使い分け、ビルドアップの選択肢を限定。伊賀が一度後方へ戻したボールにも素早く距離を詰め、簡単に組み立て直させない。
伊賀が押し込む時間を作りながらも、愛媛がゴール前を崩されず、前半は0-1で折り返した。
島野美央が同点弾。しかし3分後に安齋結花
後半開始から伊賀は#15竹島加奈子と#25上田彩葉を投入。
その竹島が前線からのプレスで最終ラインへのバックパスを奪い、シュートからCKを獲得するなど、伊賀はさらにプレッシャーを強めていく。
そして65分、攻勢が実を結んだ。
#3秦から#14増田への縦パスを起点に左サイドへ展開。増田は背後から寄せられながらも身体を使ってボールを守り、相手を外して攻撃を前進させる。
最後は愛媛のクリアボールを#5常田菜那が回収し、右足でゴール前へクロス。中央でフリーになった#8島野が頭で合わせ、1-1とした。
この日は試合前にリーグ通算100試合出場の記念セレモニーが行われた島野。節目のホームゲームで、自ら同点ゴールを決めた。

しかし、愛媛は追いつかれても崩れない。
わずか3分後の68分。途中出場の#20川﨑和奏がやや距離のある位置からシュート。伊賀GK小野未織が処理しようとしたところ、ボールが足元から離れる。
そこへ走り込んでいたのが安齋だった。
最後までプレーを止めずにゴール前まで詰めていた安齋が左足で押し込み、愛媛が1-2と再びリードした。
伊賀にとっては痛いミスからの失点だったが、川﨑が迷わずシュートを選択し、安齋がこぼれ球を予測して走り込んだことで生まれた得点でもあった。

増田玲那の一撃で再び同点。それでも愛媛が3分後に勝ち越す
伊賀は中盤と最終ラインの選手を入れ替えながら運動量を維持し、前線からのプレスを継続。愛媛の前進を阻み、再び相手陣でプレーする時間を増やしていく。
82分、伊賀が再び追いついた。
増田が中盤からゴール前へ縦パスを送ると、愛媛DFがクリア。そのセカンドボールに自ら反応した増田が、左足でダイレクトシュートを放つ。
浮き球となったシュートはクロスバーの下側を叩いてゴールへ。
パスを出して終わるのではなく、そのまま前方へ入り直してセカンドボールを回収。最後は高い技術でシュートを決め切った。増田の特徴が凝縮された同点ゴールだった。

スコアは2-2。
ところが、愛媛はここでもすぐに反撃する。
83分、#30田上歩実と#9谷口清夏を同時投入。そして、その交代策がわずか2分後に結果へつながった。
85分、左サイドで#26桜井が粘って攻撃をつなぐと、#2松村菜美が前方へパス。最終ラインの背後へ抜け出した田上がゴール前へ折り返し、最後は谷口が左足のワンタッチで押し込んだ。
伊賀は守備の人数こそそろっていたものの、左サイドで背後を取られ、中央へ入ってきた谷口への対応も間に合わなかった。
2度目の同点ゴールから、またしてもわずか3分後の失点だった。

そのまま試合終了。
伊賀FCくノ一三重 2-3 愛媛FCレディース。
伊賀が攻め込む時間を多く作った一方、愛媛は追いつかれても試合を崩さず、決定機を確実に得点へつなげた。
総括
主導権を握っていたのは伊賀だったが、開始早々に先制した愛媛がスコア上の優位を得て、試合を進めやすい状況を作った。
伊賀はその後、持ち前の強度と運動量を生かして相手陣へ押し込み、2度同点に追いついたものの、押し込んだ時間帯でもう1点を奪い切れず、追いついた直後には再び勝ち越しを許した。対する愛媛は押し込まれる時間が長くても崩れず、訪れた決定機を確実にゴールへつなげた。
伊賀が試合の主導権を握りながら勝点を得られず、愛媛が効率よく3得点を奪った一戦だった。
伊賀FCくノ一三重
内容だけを見れば、伊賀の持ち味が消えていた試合ではない。
攻守の切り替えは速く、中盤と最終ラインの距離もコンパクト。相手にボールを持たれても、秦美結、清悠香、常田菜那を中心とした後方の選手が強く寄せ、中盤と連係しながらボールを奪った。
奪った後も、正確な縦パスやロングフィードで一気に陣地を回復できている。
増田玲那は中央でボールを引き出しながら相手の守備を外し、平田ひなのは高さとフィジカルを生かして前線の起点となった。島野美央、唐沢芽依、途中出場の竹島加奈子らにもスピードと運動量があり、サイドから繰り返しゴールへ迫った。

公式記録でも、伊賀はシュート11本、CK13本。愛媛のシュート9本、CK6本をいずれも上回っている。
それでも勝点を得られなかった。
課題は「最後の崩し」や「フィニッシュの精度」だけではない。
この試合でより大きかったのは、追いついた直後の時間帯をどう戦うかだった。
65分に1-1としてから68分に失点。82分に2-2としてから85分に失点。せっかく流れを引き寄せながら、2度ともわずか3分でリードを奪い返されている。
同点に追いついた勢いのまま前へ出るのか、一度試合を落ち着かせるのか。攻撃から守備へ切り替わった瞬間に、どこを最優先で消すのか。
ゴールを奪う力だけでなく、得点後の数分間をどう管理するかも、この試合では勝敗を分けた。
残り4試合。優勝争いは厳しさを増したが、強度、運動量、縦への推進力といった伊賀の土台は崩れていない。
あとは優位に進めた時間を、いかに勝点へ結びつけるかだろう。
愛媛FCレディース
愛媛にとっては、選手起用と交代策が結果につながった試合だった。
前節から先発4人を変更し、安齋結花は開幕戦以来のスタメン。その安齋が前線からのプレスと運動量で伊賀のビルドアップを制限し、68分にはGKのミスを逃さず勝ち越しゴールを奪った。
伊賀と同じく、愛媛も持ち味はハードワークにある。
ただし、この試合では単純な運動量で伊賀を上回ったというよりも、走るべき場面とゴールへ向かう瞬間を得点につなげたことが大きかった。
4分には桜井由衣香がクロスに入り、68分には安齋が川﨑和奏のシュートに反応。そして83分に投入された田上歩実と谷口清夏が、その2分後に決勝点を作った。
限られたチャンスを逃さなかった。

左サイドバックの#2松村菜美の働きも大きい。
伊賀のスピードと運動量のあるサイド攻撃に対して対人強度を保ちながら、85分の決勝点では自ら前方へパスを入れ、田上の抜け出しを引き出した。
愛媛は伊賀に押し込まれる時間帯がありながら、2度追いつかれても崩れなかった。
「同点にされた直後」という相手に勢いが出やすい時間帯で、2度とも3分以内にゴールを奪い返したことが、この試合最大の勝因だった。
順位表
第18節を終え、伊賀FCくノ一三重は勝点29で5位をキープ。首位・静岡SSUボニータとの勝点差は7となった。
愛媛FCレディースは勝点を22へ伸ばし、10位から8位へ2つ順位を上げた。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 36 | 18 | 11 | 3 | 4 | 49 | 13 | +36 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 35 | 18 | 10 | 5 | 3 | 39 | 18 | +21 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 26 | 14 | +12 | |
| 4(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 32 | 24 | +8 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 29 | 18 | 8 | 5 | 5 | 21 | 17 | +4 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 32 | 27 | +5 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 28 | 29 | -1 | |
| 8(10) | 愛媛FCレディース | 22 | 18 | 6 | 4 | 8 | 21 | 35 | -14 | |
| 9(8) | ASハリマアルビオン | 20 | 18 | 5 | 5 | 8 | 19 | 24 | -5 | |
| 10(10) | スフィーダ世田谷FC | 19 | 18 | 5 | 4 | 9 | 27 | 32 | -5 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 18 | 4 | 1 | 13 | 18 | 51 | -33 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 10 | 18 | 3 | 1 | 14 | 12 | 40 | -28 |
次節に向けて
伊賀FCくノ一三重
次節、伊賀FCくノ一三重は岡山湯郷Belleとのアウェー戦に臨む。
前回対戦は第8節。伊賀は2点を先行された後、90分に平田ひなのが1点を返したものの、1-2で敗れている。
湯郷は第18節、上位グループのヴィアマテラス宮崎を相手にアウェーで5-1と快勝した。
中断期間には多くの選手が入れ替わり、中断明け初戦のオルカ鴨川FC戦では守備の連係に不安定さを見せて1-5で敗れた。しかし、その後は守備を修正。第17節のASハリマアルビオン戦を無失点で終えると、宮崎戦では良い守備からのショートカウンターで先制し、その後も得点を重ねて5-1で快勝した。簡単に崩せる相手ではない。
選手の入れ替わりが比較的少ない伊賀としては、これまで積み上げてきた連係面やチームとしての継続性を生かしたい。一方、湯郷のパスワークと前線の個の能力は上位陣に対しても脅威となり、高い位置で自由にボールを動かされれば、一気に決定機まで持ち込まれる。
伊賀としては、最終ラインの対人強度、中盤の出足、サイドのスピードを生かし、湯郷のパスワークが始まる前にボールホルダーへ圧力をかけたい。そのうえで素早く前線へ展開し、今節のように作った決定機を今度こそ得点へ結びつけられるか。
愛媛FCレディース
愛媛FCレディースは、アウェーでASハリマアルビオンと対戦する。
第8節の前回対戦では、ハリマに先制された後、黒岩沙羽のゴールで追いつき、1-1で引き分けた。
ハリマは中断明け、川﨑咲耶、千葉園子に加え、南條里緒や今蔵綾乃も起用されており、前線の選択肢は増えている。第16節ではヴィアマテラス宮崎を3-1で下すなど、攻撃陣の力を示している。
愛媛としては、今節機能した前線からのプレスを再び発揮し、ハリマのビルドアップを制限できるか。
高い位置でボールを奪い、安齋結花をはじめとする前線のスピードを生かして、相手の守備が整う前にゴールへ向かいたい。
リソース
チーム紹介


第18節 振り返り

第18節 個人的ベストイレブン

フルマッチLIVE配信
第18節全試合ハイライト動画
公式記録


