2026プレナスなでしこリーグ1部は第18節。リーグ戦は残り5試合となり、残留争い、そして優勝争いともに緊張感が増す終盤戦に入った。
第15節の朝日インテック・ラブリッジ名古屋戦で、1部昇格後初の勝点を獲得したVONDS市原FCレディース。その後は日体大SMG横浜、愛媛FCレディースに連勝し、勢いに乗って千葉ダービーを迎えた。
一方のオルカ鴨川FCは、第17節終了時点で3位。第12節から6試合負けなしと安定して勝点を積み重ね、首位争いに踏みとどまっている。
第7節の前回対戦は、序盤から得点を重ねたオルカが4-0で快勝した。
しかし、再戦はまったく異なる90分となった。
台風25号が関東地方へ近づく中、大雨の難しいコンディションで行われた千葉ダービー。VONDSがハイプレスと球際の強度で主導権を握り、18分に増原遥花、39分に小堀菜緒が得点。後半はオルカが押し返したものの、GK山田二千華を中心とした守備を最後まで崩せない。
VONDSが2-0で勝利し、1部で初勝利を挙げてから一気に3連勝を飾った。
この記事の要点
- VONDSがハイプレスと球際の強さで主導権を握り、増原遥花、小堀菜緒の得点で前半に2点を先行
- オルカは後半に配置を変え、背後への攻撃を増やして押し返したが、GK山田二千華を中心とするVONDS守備陣を崩せず
- VONDSは3連勝で勝点10。オルカは6試合続いた無敗が止まったものの、勝点32で3位を維持
試合情報
試合展開
VONDSのハイプレスがオルカのビルドアップを止める
前半、試合の主導権を握ったのはVONDSだった。
ハイプレスからボールを奪い、素早く相手ゴールへ向かうVONDS。それに対してオルカは、ロングボールを効果的に使った前節・静岡SSUボニータ戦とは異なり、最終ラインから丁寧にボールをつないで前進しようとした。
自陣までボールを運ばれた際のオルカの守備は鋭かったものの、問題は攻撃への移行だった。
大雨による難しいピッチコンディションもあってか、後方からのパスワークは普段ほどスムーズではない。VONDSの素早い寄せを受けて前進を阻まれ、低い位置までボールを戻す場面が増えていく。
時間の経過とともにオルカもボール保持の時間を伸ばしたが、そのビルドアップを狙ったVONDSが先に試合を動かした。
18分、増原遥花が先制。39分には小堀菜緒
オルカが自陣左サイドの深い位置からつなごうとする中、VONDSが圧力をかける。オルカのクリアボールを#27木須みそらが回収し、二次攻撃につなげた。
木須が低いボールをゴール前へ送ると、#10櫻庭琴乃が左足でダイレクトシュート。クロスバーに当たったこぼれ球を#24増原遥花が収め、左足でゴールへ押し込んだ。
VONDSのプレスによってオルカのビルドアップを停滞させたことに加え、二次攻撃に対するゴール前の対応も後手に回った結果だった。

先制後もVONDSの勢いは落ちない。
#9宮本春花のプレスから再びボールを奪うと、#10櫻庭がドリブルで運び、#27木須のシュートへつなげる。ここはオルカGK米澤萌香が好セーブを見せ、追加点を許さなかった。
オルカも前半終盤になると、前節の静岡戦で有効だった#2吉田紫穂のロングフィードを使い始める。しかし、VONDSの守備を大きく後退させるまでには至らない。

そして39分、VONDSがセットプレーから追加点を奪う。
ショートコーナーで変化をつけ、#27木須から#7佐藤寿音へ。リターンを受けた木須がゴール前へクロスを送ると、#2小堀菜緒が競り勝って頭で合わせ、リードを2点に広げた。
小堀にとっては、なでしこリーグ初ゴールとなった。
VONDSにとっては狙い通りの展開。対するオルカは、ほとんどのフィールドプレーヤーが自陣へ押し込まれる時間も生まれ、前半のシュートは1本にとどまった。
VONDSが2-0とリードしてハーフタイムを迎えた。
オルカが配置を変えて反撃
後半、オルカは長身のレフティーである#22北村ほのかを投入。
北村を右サイドに配置し、#11河野有希と#14蔵田あかりをより前方へ。#19太田凪砂も左サイドから攻撃に関わり、前半より明確にVONDS最終ラインの背後を狙うようになった。
最終ラインも押し上げ、試合の重心を一気にVONDS陣内へ移していく。

ただし、VONDSも押し込まれるだけではない。
オルカが高い位置を取った背後を狙い、ボールを奪えば素早く前進。オルカに簡単には攻撃を継続させず、陣地を回復することで流れを完全には渡さなかった。

それでも、後半はオルカにも決定機が生まれる。
櫻庭の強烈なシュートを#2吉田紫穂が身体でブロックすると、その流れから#14蔵田、#19太田とつなぎ、太田が最終ラインの背後へ抜け出した#11河野へスルーパス。
河野がゴールへ迫ったが、GK山田二千華が好セーブ。オルカに反撃の1点を許さなかった。

その後もオルカは攻撃的な選手を投入し、ロングボールやクロスを増やす。
#19太田のヘディングシュートも枠を捉えたが、ここでも山田が立ちはだかった。
終盤、VONDSは#11村上賀梨を中心に最終ラインの人数を確保。セカンドボールを回収すると#10櫻庭が相手陣内のコーナー付近まで運び、陣地を回復しながら時間を使う。
前へ出るオルカに対してゴール前では身体を張り、最後まで決定的なスペースを与えない。
第15節の名古屋戦以降に見せている粘り強い守備をこの試合でも発揮したVONDSが、そのまま2-0で勝利。日体大、愛媛、オルカを破り、3連勝を飾った。
総括
大雨の難しいコンディションで行われた千葉ダービー。
細かなボールコントロールやパスワークで優位性を作りにくい状況だからこそ、判断の速さ、球際、セカンドボールへの反応が試合の流れを大きく左右した。
そこで上回ったのがVONDSだった。
ハイプレスからオルカのビルドアップを停滞させ、奪った後は迷わず前へ。さらにセットプレーからも得点し、前半で試合の主導権を握った。
オルカも後半は配置と攻撃方法を変えて押し返したが、VONDS守備陣は最後までゴールを許さなかった。
前回対戦の0-4から約4か月。
順位だけを見ればオルカが上位だが、この90分に限れば順位差を感じさせない内容で、VONDSが2-0という結果に値する試合を見せた。
VONDS市原FCレディース
ここ数試合で結果につながっている、ハイプレスからのショートカウンターをこの試合でも継続した。
とりわけ存在感を放ったのが櫻庭琴乃だ。
大雨でボールコントロールが難しい状況でも、柔らかなタッチと身体の強さを生かしてボールを収める。緩急をつけたドリブルに加えてシュートへの意識も高く、VONDSの攻撃を前進させ続けた。

先制点も、櫻庭がゴール前まで入り込み、クロスバーを叩くシュートを放ったことから生まれている。
櫻庭が相手ゴールに近い位置で前を向ける状況をどれだけ作れるか。それは、現在のVONDSの攻撃における重要なポイントのひとつだろう。
そして、この試合では増原遥花の働きも際立った。
先制ゴールだけでなく、サイドでの仕掛け、押し込まれた際の攻撃の出口、守備へのプレスバックまで幅広く貢献した。
櫻庭と増原がサイドで関わることで、相手が攻撃へ人数をかけようとした瞬間にも、VONDSは一気に流れを自分たちへ引き戻すことができる。

日体大、愛媛だけでなく、優勝争いに加わるオルカを相手にも複数得点・無失点。
しかも、武器になりつつあるセットプレーから再び得点した。
単発の勝利ではなく、現在の戦い方に再現性が生まれていることを示した一戦と言えるだろう。
一方、後半は守勢に回る時間が長く、攻撃でフィニッシュまで持ち込む場面は限られた。
リード後にも相手を押し返す時間を作れるようになれば、残留争いを戦ううえでさらに大きな武器になる。
勝点は10。
遠く見えていた1部残留が、現実的な射程に入り始めた。
オルカ鴨川FC
オルカにとっては、前半の入り方に課題が残る試合となった。
後方から丁寧につないでVONDSのプレスを外そうとしたものの、相手の寄せの速さと球際の強さをまともに受け、前進できない時間が続いた。
今季のオルカが結果を残してきた試合では、守備で耐えながら、奪った後に相手最終ラインの背後へ素早くボールを届ける攻撃が効果を発揮している。
しかし、この日は前半からつなぐことへの意識が強く、VONDSの守備が整う前に縦へ進む場面が少なかった。
前半のシュート1本という数字にも、その苦戦が表れている。

守備でも、低い位置でボールを失った後の対応に課題が残った。
先制点の場面では、ビルドアップを完結できず二次攻撃を受け、ゴール前では櫻庭や増原への対応も後手に回った。
オルカの堅い守備の中心だった松尾菜月が夏に移籍し、最終ラインを再構築している背景はある。ただし、この試合の失点を単純にその影響だけへ結びつけることはできない。
ボールを失った直後の切り替えと、ゴール前で誰がどの選手を見るのか。チーム全体で改めて整理したい部分だ。
一方、後半の修正には光もあった。
配置変更によって背後への意識を強めると、河野有希や太田凪砂がゴールへ迫る場面を作った。
特に太田は、フィジカルの強さ、技術、シュートへの積極性を発揮。苦しい展開の中でも攻撃を前へ進めようとする姿勢を見せ続けた。

今節は首位・静岡SSUボニータが敗れており、勝利すれば首位との勝点差を縮められる状況だっただけに、オルカにとっては痛い敗戦となった。
それでも順位は3位。
2023シーズン以来となる優勝を狙える位置にいることは変わらない。
残り4試合。ここで失速しないためにも、今季結果につながってきた堅い守備と、奪った後に迷わず相手の背後を狙う攻撃をもう一度整理して次節へ向かいたい。
順位表
第18節を終え、VONDS市原FCレディースは12位のままだが、勝点を10まで積み上げた。
11位の日体大SMG横浜は勝点13。その差は3ポイントとなり、自動降格圏脱出が現実的に見える位置まで迫っている。
オルカ鴨川FCは勝点32で3位を維持。同じ勝点32のヴィアマテラス宮崎を得失点差で上回っている。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 36 | 18 | 11 | 3 | 4 | 49 | 13 | +36 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 35 | 18 | 10 | 5 | 3 | 39 | 18 | +21 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 26 | 14 | +12 | |
| 4(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 32 | 24 | +8 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 29 | 18 | 8 | 5 | 5 | 21 | 17 | +4 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 32 | 27 | +5 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 28 | 29 | -1 | |
| 8(10) | 愛媛FCレディース | 22 | 18 | 6 | 4 | 8 | 21 | 35 | -14 | |
| 9(8) | ASハリマアルビオン | 20 | 18 | 5 | 5 | 8 | 19 | 24 | -5 | |
| 10(10) | スフィーダ世田谷FC | 19 | 18 | 5 | 4 | 9 | 27 | 32 | -5 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 18 | 4 | 1 | 13 | 18 | 51 | -33 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 10 | 18 | 3 | 1 | 14 | 12 | 40 | -28 |
次節に向けて
VONDS市原FCレディース
次節、12位のVONDS市原FCレディースは10位・スフィーダ世田谷FCをホームに迎える。
前回対戦は、世田谷の2大エースである内田美鈴と堀江美月にゴールを奪われ、0-2で敗れた。
内田、堀江はいずれも一瞬の隙からフィニッシュまで持ち込める選手。
VONDSとしては個人で対応するのではなく、直近3試合で機能している前線からのプレスと最終ラインの連動によって、良い状態でボールを持たせないことが重要になる。
さらに武器となっているセットプレー、櫻庭琴乃を中心とした素早い攻撃を再現できれば、勝点を積み上げるチャンスは十分にある。
勝点差を考えても、残留争いにおける重要な一戦。
3連勝で得た自信を、残留へつなげられるか注目したい。
オルカ鴨川FC
3位のオルカ鴨川FCは、2位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋をホームに迎える上位直接対決。
前回対戦では長い時間押し込まれながらも、相手の低い位置でのパスを奪い、河野有希が同点ゴール。1-1の引き分けに持ち込んだ。
名古屋は第15節のVONDS戦で0-0。その後2連敗を喫したが、第18節ではASハリマアルビオンを2-1で下し、再び勝点3を積み上げた。
オルカとしては、今回のVONDS戦で苦しんだ部分をそのまま名古屋戦へ持ち越したくない。
第17節の静岡戦で見せたように、高い強度で相手へプレッシャーをかけ、ボールを奪えば積極的に最終ラインの背後を狙いたい。
両チームとも夏の移籍で守備の中心選手が抜け、最終ラインの再構築を進めている。
残り4試合で迎える2位と3位の直接対決。
優勝争いに踏みとどまるためにも、オルカにとって重要な一戦となる。
リソース
チーム紹介


第18節 振り返り

第18節 個人的ベストイレブン

フルマッチLIVE配信
第18節全試合ハイライト動画
公式記録


