2026プレナスなでしこリーグ1部は第20節。
優勝争いを続ける2位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋が、残留争いの渦中にある11位・日体大SMG横浜をホームに迎えた。
第9節の前回対戦では、名古屋が8-0で圧勝。多彩な攻撃で日体大の守備を崩し、両チームの完成度の差が表れた一戦だった。
しかし、今回の対戦では異なる展開となった。
名古屋は持ち前のパスワークでボールを保持し、セットプレーと相手のミスから前半に2得点。日体大に1点を返されたものの、後半開始直後にも追加点を奪い、3-1で勝利した。
一方の日体大は、名古屋の最終ラインでのパス回しを狙ったプレスが機能。素早い縦への攻撃でも相手ゴールに迫り、前回対戦からの改善を印象づけた。
優勝争いに踏みとどまった名古屋だが、後方からの組み立てには課題も残った。敗れた日体大も、守備の狙いと攻撃の連動性に手応えを得られる内容だった。
この記事の要点
- 名古屋が仁木愛実、水野亜美、渕上野乃佳の得点で3-1の勝利。優勝争いへ貴重な勝点3を獲得
- 日体大は髙橋光莉、柴原希保らの素早い攻撃から浅香美結が得点。前線のプレスでも名古屋を苦しめた
- 名古屋はボール保持からの攻撃に課題を残し、日体大はセットプレーの守備と自陣でのミスが響いた
試合情報
試合展開
名古屋のパスワークと日体大のプレス
立ち上がりからボールを保持したのは名古屋だった。
最終ラインから丁寧にパスをつなぎ、日体大の守備を動かしながら前進。相手の中盤に生まれた隙間を使い、縦パスを入れて攻撃を組み立てた。
特に中盤の#5安部由希子が相手陣内で前を向いてボールを持つと、名古屋の攻撃は一気に加速する。
前線への縦パスだけでなく、サイドバックとセンターバックの間に生まれるスペースも狙い、相手ゴール前へと迫った。

日体大は中央で寄せが遅れ、名古屋に前を向く時間を与える場面があったものの、守備の狙いは明確だった。
狙ったのは、名古屋の後方からのパス回しである。
名古屋がセカンドボールを回収して攻撃を組み立て直す場面では、前線から距離を詰めてバックパスを誘い、さらに追いかける。
サイドでは複数人で相手を囲み、球際で強く競り合ってボールを奪った。
奪った後は、細かくパスをつなぐよりも縦への速さを優先。#7髙橋光莉、#9柴原希保らがサイドや最終ラインの背後を狙い、カウンターにつなげた。
名古屋がボールを保持する一方で、日体大にも相手の弱点を突く狙いが見える立ち上がりだった。

名古屋がセットプレーと相手のミスから2点を先行
名古屋はボールを保持しながらも、日体大の守備にパスを引っかけられる場面があり、なかなか得点を奪えなかった。
それでも、セットプレーから先制する。
ショートコーナーで変化をつけ、#14上田真子がクロスを供給。ファーサイドでフリーになっていた#13仁木愛実が右足のワンタッチボレーで合わせ、ゴールに叩き込んだ。
ボールをしっかりと叩きつけながら枠に収めた、技術の高さが光る先制点だった。

追いかける日体大は、失点後も縦への意識を強め、名古屋の守備ラインの背後を狙い続けた。
しかし、追加点を奪ったのも名古屋だった。
日体大が自陣でのセットプレーからバックパスを選択すると、センターバックがトラップを乱し、さらにゴールキーパーへボールを戻す。
ゴールキーパーが前に出てクリアしたものの、飛距離が伸びず、ボールは#9水野亜美のもとへ。
水野は相手ゴールキーパーの位置を確認すると、冷静にループシュート。無人となったゴールにボールを送り込み、名古屋が2-0とリードを広げた。
日体大にとっては、自陣でのボール処理と判断の乱れが失点に直結する、悔やまれる場面となった。
浅香美結のヘディングで日体大が反撃
2点を追う日体大は、前半のうちに反撃する。
自陣から前線まで、複数の選手が連動した見事な攻撃だった。
#6西村萌がロングフィードを送ると、中盤に下りた#10本田悠良がワンタッチで#7髙橋光莉につなぐ。
本田のパスで名古屋の中盤を突破すると、髙橋はセンターライン付近からドリブルで一気に前進。
ペナルティエリア手前まで運び、左サイドを駆け上がった#9柴原希保へ展開した。柴原はワンタッチでゴール前へクロス。
走り込んだ#11浅香美結がスピードを落とさずに落下点へ入り、ヘディングシュートでゴールネットを揺らした。

西村の正確なフィード、本田のワンタッチプレー、髙橋の積極的な前進、柴原のクロス、そして浅香の飛び込み。
それぞれの判断と技術がかみ合った、日体大の攻撃の良さが凝縮された得点だった。
さらに前半終了間際には、日体大の前線からのプレスが名古屋の最終ラインに圧力をかける。
名古屋はパスを奪われて危険な場面を迎えたものの、追加失点を免れ、2-1で前半を折り返した。
後半開始直後に渕上野乃佳が追加点
後半開始から、名古屋が再び攻勢を強める。
左サイドバックの#2夏目歩実が高い位置を取り、#8渕上野乃佳と連動して日体大を押し込んだ。
そして48分。
セカンドボールを回収した名古屋は、右サイドの#14上田真子がペナルティアーク付近の#9水野亜美へパス。
水野がボールをスルーすると、左サイドから中央に入り込んでいた渕上がフリーで受ける。
渕上はゴールキーパーとの1対1を冷静に決め、名古屋が3-1とリードを広げた。
水野のスルーによって相手の守備を外し、渕上が空いたスペースを使う。名古屋の選手間の連動性が発揮された、鮮やかな得点だった。

しかし、その後も名古屋が一方的に試合を進めたわけではない。
日体大は前線からのプレスを継続し、名古屋の後方からのパス回しに圧力をかけ続けた。
名古屋が自陣からつなごうとしたボールを高い位置で奪うと、日体大は一気にゴール前へ。#7髙橋光莉が放ったシュートはクロスバーを直撃し、あと一歩で得点という場面を作った。
その後も日体大は球際の強度を維持し、素早く縦へ攻めることで名古屋を押し込む時間を作った。
一方の名古屋は、後方でパスを動かしながらも相手のプレスを十分に外せず、守備に回る場面が増えていった。
日体大は追加点を奪えず、試合は3-1で終了。
名古屋が勝点3を積み重ね、優勝争いに踏みとどまった。
総括
2位の名古屋が11位の日体大を3-1で下した。
前回対戦の8-0という結果を考えれば、今回も名古屋の優勢が予想された一戦。しかし、ピッチ上で繰り広げられた攻防に、前回ほど大きな差は感じられなかった。
名古屋はセットプレーと相手のミスを逃さず2点を奪い、後半開始直後には連動した攻撃から追加点を挙げた。その一方で、自陣でのパス回しを狙われ、守備に追われる時間も少なくなかった。
日体大は第17節のヴィアマテラス宮崎戦以降、攻守の連動性が改善している印象を受ける。前線からのプレスと素早い縦への攻撃が機能し、上位の名古屋に対しても狙いを持った戦いを見せた。
両チームの現在地を映し出す一戦だった。
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
名古屋は3得点で勝利を収めたものの、内容には課題を残した。
右サイドでは#24角田菜々子が積極的にオーバーラップし、#14上田真子との連係からチャンスを作った。
特に後半開始直後の3点目は、名古屋が持つ攻撃の良さを象徴する場面だった。複数の選手が素早くボールをつなげた一連のプレーには、相手の守備を動かす意図と選手間の共通理解が感じられた。

一方で、こうした連動した攻撃が90分を通じて続いたわけではない。
名古屋は足元の技術に優れ、チーム全体でボールを保持する戦い方が共有されている。実際にパスはつながり、相手の守備を動かして前進する場面も多かった。
しかし、ボールを受けてから次のパスコースを探す場面も多く、攻撃のテンポが落ちていた。その間に日体大が守備陣形を整えるため、ボールを保持していても相手ゴールに迫れない時間が生まれていた。
また、最終ラインでの横パスやバックパスに対して日体大が圧力をかけると、ボールを失い、相手にシュートまで持ち込まれる場面もあった。
もちろん、横パスやバックパス自体が悪いわけではない。相手のプレスを引きつけてスペースを作り、前進するためには必要なプレーである。
問題は、その後に相手の圧力を外して前進できるかどうかだ。

名古屋は第15節、当時開幕から14連敗していたVONDS市原FCレディースを相手に無得点で引き分けた。その後も、ニッパツ横浜FCシーガルズやスフィーダ世田谷FCに敗れるなど、苦しい戦いが続いた。
シーズン中盤までの名古屋は、相手の強みを抑えながら堅実に守り、サイド攻撃やセットプレーなど多彩な形で得点を積み重ねていた。
それと比較すると、現在はボールを失わないことへの意識が強まり、相手ゴールに迫る積極的な選択が減っているようにも映る。
今節も3得点を挙げたとはいえ、相手のミスによる得点やセットプレー以外で、どれだけ継続的に決定機を作れていたかは振り返る必要があるだろう。

ただし、攻撃力そのものが失われたわけではない。
相手陣内で前を向き、選手が連動した際のパスワークには依然として高い完成度がある。
必要なのは、ボールを保持することだけにとらわれず、縦パスを入れるタイミングや相手の背後を狙う動きを増やすこと。そして、自陣でのパス回しに対する相手のプレスを、より確実に外すことだろう。
優勝争いは最終盤に入った。
リーグ連覇へ向けて勝点3を積み重ねながら、名古屋本来の攻撃の多彩さと鋭さを取り戻せるかが問われる。
日体大SMG横浜
敗れはしたものの、日体大の戦いぶりには前回対戦からの改善が見られた。
8失点を喫した第9節の前回対戦と比較すると、前線からのプレスやサイドでの寄せが改善し、チームとしてボールを奪う狙いが明確になっている。
特に効果的だったのが、名古屋の最終ラインからのパス回しを狙ったプレスだ。
名古屋がボールを後方へ戻すと前線から素早く距離を詰め、パスの出しどころを制限する。サイドでは複数人で囲み、球際で強く競り合ってボールを奪った。
名古屋がゴールキックなどから短いパスで組み立てることを見越し、高い位置でボールを奪って素早くシュートへつなげる場面もあった。
攻撃面でも、縦への意識が徹底されていた。
特に浅香美結の得点は、その成果を示す場面だった。

一方で、課題も残った。
先制を許したセットプレーでは、ファーサイドの仁木愛実をフリーにしてしまった。シーズン序盤から見られた、クロスやセットプレーに対する守備の甘さが再び失点につながった。
さらに痛かったのが2失点目だ。
自陣でのセットプレーからバックパスを選択した後、ボールの処理が乱れ、結果として相手に得点を許した。
日体大は今季、自陣でのパス回しを相手に狙われ、失点につながる場面が目立っている。
この試合では、縦への速い攻撃が機能していた。それだけに、自陣で無理にボールを保持するのではなく、相手の守備の状況に応じて前方へボールを送る判断も必要だっただろう。
ただし、バックパスを選択したことだけが問題ではない。受け手の準備や周囲のサポートも含め、チームとして安全にボールを動かす判断が求められる。

今節終了時点で日体大が到達できる最高順位は11位となった。
原則として11位は2部クラブとの入替戦、12位は自動降格の対象となる。まずは最下位を回避し、1部残留の可能性を残したい。
前線からのプレス、球際の強度、縦への速い攻撃には改善が見られる。
残り2試合。ここ数試合で見せている積極的な戦いを継続し、1部残留への望みをつなげられるか。
順位表
第20節終了時点で、朝日インテック・ラブリッジ名古屋は勝点38で2位を維持した。
首位・静岡SSUボニータは岡山湯郷Belleと引き分けて勝点40。名古屋は未消化試合を1試合残しており、優勝争いは引き続き接戦となっている。
一方、日体大SMG横浜は勝点13の11位。12位・VONDS市原FCレディースとの残留争いが続く。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 40 | 20 | 12 | 4 | 4 | 51 | 14 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 38 | 19 | 11 | 5 | 3 | 42 | 19 | +23 | |
| 3(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 35 | 20 | 10 | 5 | 5 | 36 | 26 | +10 | |
| 4(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 35 | 20 | 10 | 5 | 5 | 28 | 19 | +9 | |
| 5(3) | オルカ鴨川FC | 33 | 19 | 9 | 6 | 4 | 27 | 15 | 12 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 31 | 20 | 9 | 4 | 7 | 34 | 28 | +6 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 28 | 20 | 8 | 4 | 8 | 30 | 34 | -4 | |
| 8(8) | 愛媛FCレディース | 25 | 20 | 7 | 4 | 9 | 24 | 38 | -14 | |
| 9(9) | スフィーダ世田谷FC | 23 | 20 | 6 | 5 | 9 | 29 | 33 | -4 | |
| 10(10) | ASハリマアルビオン | 20 | 20 | 5 | 5 | 10 | 20 | 30 | -10 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 20 | 4 | 1 | 15 | 20 | 56 | -36 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 11 | 20 | 3 | 2 | 15 | 13 | 42 | -29 |
次節に向けて
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
名古屋は次の公式戦として、10月11日(日)に第19節の未消化試合、オルカ鴨川FCとのアウェー戦に臨む。この試合は台風25号などの影響で延期されていた一戦だ。
名古屋は勝利すれば勝点41となり、静岡を抜いて首位に浮上する。
さらに第21節では、10月17日(土)に首位・静岡SSUボニータとの直接対決が控える。
前回対戦では、名古屋がセットプレーから2点を奪うなど、3-0で快勝。静岡にシーズン初黒星をつけた。
しかし、現在の静岡は優勝争いの先頭を走っており、名古屋にとって簡単な相手ではない。
まずはオルカ戦で勝点3をつかみ、首位に立てるか。
そして、静岡との直接対決でリーグ連覇に向けた優位を築けるか。
名古屋にとって、シーズンの行方を左右する2試合が続く。
日体大SMG横浜
日体大は岡山湯郷Belleをホームに迎える。
前回対戦では、守備的な戦い方に切り替えた日体大が終盤に山本葉桜の決勝点を挙げ、1-0で勝利した。
現在の湯郷は試合ごとに結果の振れ幅が大きく、第18節ではヴィアマテラス宮崎に5-1で快勝したものの、第19節では伊賀FCくノ一三重に1-4敗戦。そして今節は、首位SSUボニータに先制を許しながら追いつき、引き分けに持ち込んだ。
夏の移籍期間に発生した選手の入れ替わりの影響で、中断明けからチームの再構築を進めるなかで、上位チームを苦しめる力を見せる一方、守備の安定性には課題を残している。
日体大としては、相手の勢いに飲み込まれず、ここ数試合で見せている守備の積極性を維持したい。
名古屋戦で機能した前線からのプレスと縦への速い攻撃を継続し、自陣での不用意なミスを減らせるか。
また、今節の前半終了間際にピッチ上で動けなくなる場面があり、後半開始時に交代となった安積和季の状態も気になるところだ。
安積は中盤で攻守を支える重要な存在であり、次節に向けた出場状況が注目される。
残るは湯郷戦、そして最終節の伊賀FCくノ一三重戦。
自動降格を回避し、1部残留への可能性をつなぐため、日体大の最後の戦いが続く。
リソース
チーム紹介


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