【試合レビュー】村上賀梨・櫻庭琴乃が得点、VONDSが愛媛に完封勝利で2連勝|2026プレナスなでしこリーグ1部 第17節

試合レビュー

2026プレナスなでしこリーグ1部 第17節。

中断明け初戦となった第16節、首位・静岡SSUボニータに1-3で敗れた9位の愛媛FCレディース。敗れはしたものの、持ち味のハードワークで対抗し、互角に渡り合う時間帯も作った。

第17節は、前節に日体大SMG横浜を2-1で下し、なでしこリーグ1部初勝利を挙げた12位・VONDS市原FCレディースをホームに迎えた。

前回対戦は第6節。愛媛がピッチを広く使った攻撃から近藤彩優子、黒岩沙羽が得点し、VONDSの反撃を1点に抑えて2-1で勝利している。

今節は、その前回対戦とは異なる展開となった。

前線からの守備とコンパクトな陣形で愛媛のビルドアップを制限したVONDSが、前半終了間際にセットプレーから先制。後半開始直後にも追加点を奪うと、最後まで愛媛の反撃を抑えて2-0で勝利した。

中断前まで苦しい戦いが続いていたVONDSが、中断明けから2連勝。守備の変化が結果につながり始めている。

この記事の要点

  • VONDSが前線からの守備で愛媛のビルドアップをサイドへ誘導し、試合の主導権を握った
  • 村上賀梨、櫻庭琴乃のゴールでVONDSが2-0勝利。中断明けから2連勝
  • 中断前まで課題だったVONDSの中盤の強度とコンパクトさに改善が見られた

試合情報

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試合展開

VONDSが愛媛のビルドアップをサイドへ追い込む

序盤は両チームともサイドへ長いボールを送り合う展開となったが、試合が落ち着くにつれてVONDSが主導権を握った。

愛媛のビルドアップに対し、VONDSは#28中村円香が前線からプレッシャーをかけて中央への進入を制限。サイドへボールを誘導すると、#7佐藤寿音、#24増原遥花が高い位置を取り、#27木須みそら、#10櫻庭琴乃と連動してボールの出口を狭めていく。

奪った後は少ないタッチで前進し、中央では櫻庭が攻撃の起点となった。佐藤と増原もタイミングよく前方へ飛び出し、愛媛を押し下げていく。

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愛媛も櫻庭を自由にはさせない。#32平塚万貴が近い距離で対応し、ボールを受けた瞬間を狙ってプレッシャーをかける。
それでも櫻庭は身体を使ってボールを収め、瞬間的な加速でマークを外す。愛媛としては警戒していたはずの選手だったが、完全に攻撃から切り離すことはできなかった。

VONDSは守備からも攻撃へつなげる。

前節の日体大SMG横浜戦でゴールを決めた#19小林和音が愛媛の縦パスを読んでインターセプト。そのまま一気にドリブルで最前線まで持ち運び、守備だけではない攻撃性能も見せた。

愛媛が押し返すも、VONDSがセットプレーから先制

前半終盤になると、VONDSの中盤にも少しずつスペースが生まれる。

愛媛は#26桜井由衣香がドリブルでバイタルエリアまで運び、#15榎谷岬を経由して右サイドの#19黒岩沙羽へ。黒岩が鋭く中央へ切れ込み、左足を振り抜いたが、シュートは枠を捉えられなかった。
愛媛が前への圧力を強め、流れを引き寄せかけた時間帯だった。

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しかし、その流れを断ち切って得点につなげたのはVONDSだった。

前半終了間際、ハーフウェーライン付近で得たセットプレー。#2小堀菜緒がゴール前へ高いボールを送ると、DFとGKの間に落ちたボールに#11村上賀梨が反応。右足で合わせ、VONDSが先制した。

2部に参入した2025シーズンからキャプテンを務める村上のゴールで、VONDSが1点をリードして前半を折り返した。

後半開始直後、櫻庭の追加点で試合の構図が変わる

後半の早い時間帯に追いつきたい愛媛だったが、次のゴールもVONDSが奪った。

49分、愛媛陣内でスローインからボールを奪い返すと、小堀がゴール前へ浮き球を送る。

愛媛守備陣が二度跳ね返したものの、VONDSは攻撃を終わらせない。最後はゴール前に詰めていた櫻庭が頭で押し込み、リードを2点に広げた。

前節の日体大戦でもヘディングで先制点を挙げていた櫻庭は、これで2試合連続のヘディングゴール。中断明けのVONDS攻撃陣をけん引している。

2点を追う愛媛は前がかりになるが、その背後を今度はVONDSが狙う。

右サイドのスペースへ抜け出した佐藤がロングフィードを収めると、ドリブルで相手をかわしてシュート。ボールはクロスバーを直撃し、3点目にはならなかったものの、VONDSがカウンターからもゴールへ迫った。

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愛媛は交代で攻勢を強めるも、VONDSが逃げ切

愛媛は#6兵頭來良に加え、前節の静岡SSUボニータ戦で途中出場から攻撃を活性化させた#29安齋結花を投入。前線の運動量と推進力を高め、反撃を試みる。

しかし、VONDSは中盤と最終ラインの距離を大きく崩さない。

単純に自陣へ引いてボールを跳ね返すだけではなく、ボールを奪えば櫻庭や佐藤がドリブルで相手陣内まで運び、愛媛を再び自陣へ戻して時間を使った。

愛媛は終盤まで運動量を落とさず攻め続けたものの、VONDSの中央を崩して決定機を作るには至らない。

試合はそのまま0-2で終了。

愛媛は中断明けから2連敗。VONDSはなでしこリーグ1部初勝利に続く2連勝を飾った。

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総括

この試合でVONDSが愛媛を上回ったのは、単純な運動量だけでなく、「どこで強度を出すか」が整理されていた点だった。

ハードワークを持ち味とする愛媛に対し、前半はVONDSが前線から連動してボールを追い、愛媛のビルドアップをサイドへ限定。そこで身体を寄せて自由を奪い、ボールを回収すると素早く前進した。

愛媛も前半終盤には押し返したが、その時間帯にVONDSがセットプレーから先制。さらに後半開始直後の追加点によって、試合の構図は明確になった。

2点を追う愛媛に対し、VONDSは守備を固めながら背後のスペースを使ってカウンターを狙える。VONDSにとって理想的な展開へ持ち込めたことが、クリーンシートでの勝利につながった。

愛媛FCレディース

愛媛にとって痛かったのは、前半終了間際と後半開始直後という試合の流れが動きやすい時間帯での連続失点だった。

とくに櫻庭と佐藤というVONDSの攻撃を前進させる選手を抑えきれず、相手の勢いを断ち切ることができなかった。
愛媛の強みの1つであるサイドからの攻撃には鋭さがあり、終盤まで運動量も落ちなかった。一方で、この試合に限れば「走り勝った」と言えるほどの優位性は作れていない。

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愛媛は、自分たちよりボール保持や連係で上回る相手に対しては、ハードワークによって差を縮め、試合を拮抗させることができる。
一方、自分たちがボールを持つ時間が長くなると、後方から丁寧につなごうとすることで攻撃のテンポが落ち、持ち味である運動量や前線のスピードを十分に生かせない場面もある。

この日のVONDSは中央をコンパクトに締めていた。
サイド攻撃だけでなく、早いタイミングで前線へ長いボールを入れ、バイタルエリアへ複数の選手が飛び込んでセカンドボールを回収する形を増やすことも、ひとつの選択肢だったように思う。

相手が自陣の低い位置からつなごうとした場面もあっただけに、そこで再び前線から圧力をかけられれば、より高い位置でシュートチャンスを作れた可能性はあった。

VONDS市原FCレディース

前節の日体大SMG横浜戦で奪った2得点はいずれもセットプレーから。今節の先制点もセットプレーだった。
2点目も、相手守備をパスワークできれいに崩し切った形ではない。
それでも、ゴール前へ人数を送り、最初のボールを跳ね返されても攻撃を終わらせず、二次攻撃、三次攻撃へつなげる。その基本を徹底したことが、2試合連続の勝利につながっている。

守備面でも変化が見える。
シーズン序盤から中盤にかけては、時間の経過とともに中盤と最終ラインの距離が広がり、前からのプレスが外された後に相手へ前進を許す場面が少なくなかった。
中断前最後の第15節、朝日インテック・ラブリッジ名古屋戦では0-0で今季初勝点を獲得したものの、チーム全体の重心は低く、名古屋の波状攻撃を耐え抜いた印象が強かった。

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しかし中断明けの2試合では、最終ラインを以前より高く設定し、中盤との距離をコンパクトに保とうとする姿勢が見える。
とくに変わったのは対人守備だ。
相手の前進を遅らせる対応が中心だった時期に比べ、現在はボールを受けた相手へ身体を寄せ、プレーの精度を落とす。その周囲も素早くセカンドボールへ反応している。

中盤とセンターバックの連係も改善され、誰が前へ出て、誰がその背後をカバーするのかという守備の役割分担が整理されてきた。

もちろん、2連勝しても状況はまだ厳しい。
12位は自動降格となり、11位は2部2位との入替戦に回る。第17節を終え、残されたリーグ戦は5試合。まずは11位との差を縮めるためにも、勝点を積み続けなければならない。

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その中で改善したいのが、自陣深い位置でボールを奪った後の出口だ。
ドリブルで相手をはがそうとして再び囲まれ、危険な位置でボールを失いかける場面がこの試合でも見られた。

直近2試合で改善した守備を結果につなげ続けるためにも、無理につなぐ場所とシンプルに前へ逃がす場所を整理したい。上位・中位グループとの対戦では、ひとつのロストがそのまま失点につながる可能性が高くなる。

それでも、中断前まで1勝もできなかったチームが、中断明けから2連勝。
結果だけではなく、その背景に守備の変化が見えることは大きい。

順位表

第17節を終えて、愛媛FCレディースは10位に後退。

VONDS市原FCレディースは2連勝で勝点を7に伸ばした。順位は12位のままだが、11位・日体大SMG横浜との勝点差を3ポイントまで縮めている。

順位
(前節)
チーム名勝点試合数得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ361711334912+37
2(2)朝日インテック・ラブリッジ名古屋32179533717+20
3(3)オルカ鴨川FC32179532612+14
4(4)ヴィアマテラス宮崎32179533119+12
5(5)伊賀FCくノ一三重29178541914+5
6(6)岡山湯郷Belle24177372328-5
7(7)ニッパツ横浜FCシーガルズ24177373127+4
8(8)ASハリマアルビオン20175571822-4
9(10)スフィーダ世田谷FC19175482529-4
10(9)愛媛FCレディース19175481833-15
11(11)日体大SMG横浜101731131549-34
12(12)VONDS市原FCレディース71721141040-30

次節に向けて

愛媛FCレディース

次節、愛媛FCレディースは伊賀FCくノ一三重とのアウェー戦に臨む。
前回対戦は第7節。スコアレスのまま終盤を迎えたが、88分に上田彩葉のゴールを許し、愛媛は0-1で惜しくも勝点を逃した。

伊賀も運動量が豊富で、それに加えて球際の強度と最終ラインの安定感を持つチームだ。

愛媛としては、その強度をさらに上回るハードワークを見せながら、スピードのある前線へいかに早くボールを届けられるか。
前回対戦は試合終了間際まで0-0だった。再び拮抗した展開へ持ち込み、訪れた決定機を仕留められるかがポイントになる。

VONDS市原FCレディース

VONDS市原FCレディースは、ホームにオルカ鴨川FCを迎える千葉ダービー。
前回対戦は第7節。敵地・ワタレイスタジアムで立ち上がりから失点を重ね、0-4で敗れた。

オルカは伝統的な守備の安定感に加え、今季は得点力も向上。派手に相手を圧倒するのではなく、良い守備から得点につなげることで、上位争いを続けている。

一方のVONDSは、前回対戦時とはチーム状態が大きく異なる。中断前の名古屋戦から3試合連続で勝点を獲得し、直近2試合は連勝。コンパクトな守備と球際の強度という、残留争いを戦うための土台ができ始めている。

地力で上回る相手に対し、現在の守備強度を90分間維持できるか。そして限られたセットプレーやカウンターの機会を、どれだけ得点へ結びつけられるか。
前回0-4で敗れた相手に対して、現在地を測る重要な千葉ダービーとなる。

リソース

チーム紹介

愛媛FCレディース
愛媛FCレディースの2026シーズン成績やスタッツ、ハイプレスとハードワークを軸としたチームの特徴を紹介。小松 里弥、黒岩沙羽、近藤彩優子、川崎和奏ら注目選手や試合レビューもまとめています。
VONDS市原FCレディース
2026年からなでしこリーグ1部へ初挑戦するVONDS市原FCレディース。2部優勝から大幅な選手入れ替えを経たチームの歩み、戦い方、成績推移、櫻庭琴乃・佐藤寿音・村上賀梨ら注目選手の紹介、後半戦の展望を考察します。

第17節 振り返り

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第17節 個人的ベストイレブン

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