【試合レビュー】伊賀が4得点で逆転勝利、湯郷を下して連敗ストップ|2026プレナスなでしこリーグ1部 第19節

試合レビュー

2026プレナスなでしこリーグ1部は第19節。
第18節終了時点で勝点27の7位・岡山湯郷Belleが、勝点29の5位・伊賀FCくノ一三重をホームに迎えた。

湯郷は前節、ヴィアマテラス宮崎に5-1で快勝。中断明けからチームの再構築を進めるなかで、上位相手に挙げた大量得点を次につなげたい一戦だった。

対する伊賀は、ニッパツ横浜FCシーガルズ、愛媛FCレディースに連敗。優勝の可能性を残し、上位争いに踏みとどまるためにも勝点3が求められていた。

第8節の前回対戦では、湯郷が中盤の連動した守備によって伊賀の攻撃を抑え、PKとコーナーキックから2得点。終了間際に平田ひなののゴールで1点を返されたものの、2-1で勝利している。

しかし、今節は前回とは異なる展開になった。

湯郷が序盤にセットプレーで先制したものの、伊賀は縦への素早い攻撃とセカンドボールの回収から主導権を引き寄せ、前半のうちに逆転。
後半も豊富な運動量と攻守の切り替えで相手を押し込み、追加点を重ねた。

伊賀が4-1で逆転勝利。3試合ぶりの白星を挙げた。

この記事の要点

  • 湯郷は香椎彩香の直接FKで先制するも、伊賀が橋沼真帆・上田彩葉の得点で前半のうちに逆転。
  • 伊賀は縦への素早い展開と両サイドの攻撃参加、セカンドボールの回収によって主導権を握り、後半も2得点を追加した。
  • 宮崎戦で機能した湯郷のハイプレスは伊賀に対して十分な効果を発揮できず、守備の狙いどころと攻守の切り替えに課題を残した。

試合情報

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試合展開

香椎彩香の直接FKで湯郷が先制

試合は互いの特徴が表れる立ち上がりとなった。

伊賀は後方から積極的に縦パスやロングフィードを送り、前線の選手がボールを収めてサイドへ展開。クリアした後も最終ラインを素早く押し上げ、陣形をコンパクトに保とうとする。

一方の湯郷は、守備時には落ち着いてブロックを形成。ボールを奪うと短いパス交換で前進し、遠い位置からでも積極的にシュートを狙う姿勢を見せた。

拮抗した序盤、先に試合を動かしたのは湯郷だった。

11分、左サイドの遠い位置で獲得したフリーキック。
キッカーの#25香椎彩香が右足でゴール前に送ったボールは、競り合う選手の間を抜け、GKの手前でワンバウンド。そのままゴールネットに吸い込まれた。
雨で滑りやすくなったピッチの状況を生かした、精度の高いキックだった。

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先制した湯郷は、動きに勢いが生まれる。

スローインから相手ゴール前へ攻め込み、こぼれ球を拾って立て続けにシュート。伊賀の守備陣は身体を張ったブロックで対応し、最後はGK#1井上加菜美がヘディングシュートを確実にキャッチして追加点を許さなかった。

伊賀が反撃、前半のうちに逆転

湯郷の攻勢をしのいだ伊賀は、徐々に反撃の機会を増やしていく。

#25上田彩葉の縦パスから相手陣内へ進出すると、#30橋沼真帆が強烈なロングシュートを放つ。
さらに前線から複数の選手が連動して相手を囲み、ボールを奪ってサイドからクロスを供給。湯郷を自陣に押し込む時間が増えていった。

そして26分、伊賀が同点に追いつく。

左サイドのスローインから#14増田玲那がボールをつなぎ、#24唐沢芽依がペナルティエリア内へ侵入。唐沢が中央へ折り返したボールは相手DFに触れてコースが変わったものの、こぼれ球はペナルティエリア手前へ。
そこに走り込んだ橋沼が、迷わず右足を振り抜いた。
濡れた芝の上を滑るような低いミドルシュートがゴールに突き刺さり、試合は1-1となった。

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同点後も伊賀の攻撃は衰えない。

センターバックの#3秦美結からの縦パスを、#10平田ひなのが相手を背負いながら受け、#25上田彩葉、#24唐沢芽依へと展開。唐沢が相手のプレスを受けながら放ったミドルシュートはクロスバーを直撃した。
伊賀の縦への速さと、前線でボールを収めた後に周囲の選手が関わる攻撃が、次第に目立ち始める。

前半アディショナルタイム、その流れが逆転ゴールにつながった。

伊賀は、秦美結の縦パスから平田ひなのがシュートを放ち、コーナーキックを獲得。
左から増田玲那が蹴ったボールを#8島野美央がつなぐと、中央にいた上田彩葉が右足で合わせ、ゴールネットを揺らした。

45+1分、伊賀が2-1と逆転。

先制後の勢いを維持できず、押し込まれる時間が増えていた湯郷にとって、前半終了間際の失点は痛かった。

伊賀が運動量と攻守の切り替えで主導権を握る

後半に入っても、伊賀の勢いは衰えなかった。

両サイドでは#24唐沢芽依と#15竹島加奈子が積極的にスペースへ走り込み、ボールを受ければドリブルで前進。守備でも素早く身体を寄せ、相手が自由にプレーできる時間を与えない。

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この日、主に左サイドバックの位置でプレーした#14増田玲那も、後半は高い位置に顔を出す回数を増やした。
唐沢との縦の関係を生かし、前方のスペースへ飛び出すことで、湯郷のサイド守備に揺さぶりをかける。

その攻撃を後方から支えたのが#3秦美結だった。
秦は最終ラインから積極的に縦パスやフィードを送り、最前線の#10平田ひなのが相手を背負いながらボールを収める。
前線で攻撃の起点ができることで、唐沢や増田、島野、上田が次々と前方へ関わることができた。

そして、縦方向にボールを進めるだけではない。
前線へパスを送ると、最終ラインも素早く押し上げる。これによって選手間の距離をコンパクトに保ち、相手がクリアしたボールにもいち早く反応できていた。

一方、追いつきたい湯郷は、ボールを奪っても周囲のサポートが間に合わず、攻撃が単発に終わる場面が増える。
伊賀の素早い寄せによってパスコースを制限され、サイドへ追い込まれてボールを失う場面も目立った。

攻守の切り替えの局面で伊賀が先に動き、湯郷は後手に回る。そうした展開が続いていった。

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松田吏真・平田ひなのの追加点で勝負あり

67分、伊賀の積極性が3点目を生んだ。

#15竹島加奈子に代わって投入された#22松田吏真が、交代直後のコーナーキックでいきなり結果を出す。
左から#14増田玲那が送ったボールに松田が頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。
投入直後のプレーで得点を挙げ、伊賀がリードを2点に広げた。

3-1となった後も、伊賀は守備に回るだけではなかった。
中盤の距離感をコンパクトに保って相手のパスコースを制限し、ボールを奪えば素早く前線へ展開。

相手陣内でプレーする時間を増やすことで、増田もサイドハーフに近い高い位置まで進出できるようになっていた。

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そして84分、さらに追加点を奪う。

右サイドの高い位置から攻撃を展開し、増田、秦、清悠香らが関わってゴール前へ。
最後は平田ひなのが右足のボレーシュートで豪快に決め、4-1とした。

終盤になっても、伊賀の前へ進む姿勢は変わらない。

相手のコーナーキックを跳ね返した後には、秦が前方へ精度の高いフィードを送り、#9桂亜依が抜け出す。
桂はドリブルで相手をかわしてシュートを放ったが、惜しくもクロスバーを直撃。それでも、最後まで追加点を狙い続けた。

試合はそのまま終了。
伊賀FCくノ一三重が4-1で勝利し、連敗を2で止めた。

総括

勝敗を分けたのは、伊賀の縦への推進力と、攻守の切り替えの速さだった。

象徴的だったのが、後半の飲水タイム前、湯郷のコーナーキックを跳ね返した場面である。
クリアした直後、センターバックの秦美結が中央をドリブルで一気に駆け上がると、左サイドバックの増田玲那がその横を追い越していった。
シュートには至らなかったものの、注目したいのは2人だけではない。
後方からさらに複数の選手が一斉に走り出し、攻撃を支えようとしていた。

本来は守備を担う選手でも、前進できると判断すれば積極的に相手ゴールへ向かう。
伊賀の運動量と攻撃への意識が表れた場面だった。

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それを支えたのが、縦パスの選択と最終ラインの押し上げである。

最終ラインや中盤から前線へ素早くボールを届け、味方が収めれば周囲の選手が前進。相手が跳ね返してもセカンドボールを回収し、再び攻撃を始める。
こうしたプレーを繰り返すことで、伊賀は湯郷を押し込み続けた。

公式記録上のシュート数は、湯郷の4本に対して伊賀は16本。コーナーキックも湯郷の3本に対し、伊賀が9本を記録している。
特に後半、湯郷のシュートがわずか1本にとどまったことは、伊賀が主導権を握っていたことを表す数字といえる。

岡山湯郷Belle

前節の宮崎戦では5得点を挙げた湯郷だったが、今節は異なる課題に直面した。

宮崎戦で効果を発揮したのは、相手のビルドアップに対するハイプレスだった。
宮崎が最終ラインからパスをつなごうとするところへ積極的にプレッシャーをかけ、高い位置でボールを奪う。相手ゴールに近い位置から素早く攻撃できたことが、大量得点につながった。

しかし、伊賀は異なる戦い方を選択していた。

自陣深くで相手のプレスを受けそうになれば、無理につながず前線へ長いボールを送る。
一方、余裕を持ってボールを扱える場面では縦パスを入れ、平田を起点にサイドへ攻撃を展開する。
ボールをつなぐ場面と、長いボールで前進する場面を使い分けていた。

このため湯郷は、宮崎戦のように相手のビルドアップを狙ってボールを奪う機会を十分に作れなかった。
高い位置でボールを奪えないまま自陣へ押し込まれると、奪い返しても前線との距離が遠い。

国吉花吏埜ら、ドリブルで前方へ運ぶ力を持つ選手にボールを届けても、周囲のサポートが遅れ、攻撃が途切れてしまう場面が目立った。

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試合序盤には落ち着いた守備ブロックを形成し、先制後はセカンドボールを拾って相手ゴールへ迫る時間も作れていた。
しかし、その流れを継続できなかったことが悔やまれる。

中断明けの4試合では、オルカ鴨川FCに5失点、ハリマ戦では無失点、宮崎戦では1失点、そして今節は4失点と、守備の安定性に課題を残している。

相手のビルドアップに対して高い位置から奪いに行く守備は機能する一方、相手が長いボールを交えて前進してきた際に、どこでボールを奪うのか。

湯郷には、プレスが機能しない場合の守備の選択肢を増やすこと、そしてボールを奪った後のサポートを改善することが求められる。

伊賀FCくノ一三重

先制を許す苦しい立ち上がりとなったが、伊賀は大きく崩れることなく、自分たちの戦い方を続けた。

前節の愛媛戦では2度同点に追いつきながら、その直後に失点を許して敗れている。
今節も先制点を奪われたものの、失点後の対応には違いが見られた。

両サイドでは唐沢芽依、竹島加奈子が積極的に仕掛け、後方から秦美結、増田玲那が縦方向へボールを送る。
最前線の平田ひなのは相手を背負いながらボールを収め、味方が攻撃に参加する時間を作った。
こうして徐々に相手陣内でのプレーを増やし、橋沼真帆のミドルシュートで同点。前半終了間際にはコーナーキックから上田彩葉が逆転ゴールを挙げた。

前半のうちに逆転したことで、後半は相手に追いかけられる展開となったが、守りに入ることなく攻撃を続けた。
むしろ後半は、縦へのボールの供給とセカンドボールの回収、そして攻守の切り替えがさらに機能していた。

前半終了間際の上田の得点と、後半の松田吏真の得点は、いずれも増田のコーナーキックから生まれている。
流れの中で相手を押し込み、セットプレーを獲得し、それを得点につなげる。
伊賀らしい守備と攻撃が結果として表れた一戦だった。

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2連敗からの4得点で3試合ぶりの勝利。勝点は32となった。

首位の静岡SSUボニータとの差は依然として大きく、残り3試合での優勝には他チームの結果も必要になる。
それでも、今節のように豊富な運動量と球際の強さ、縦への積極性を発揮できれば、残る試合でも上位チームを脅かす力は十分にある。

この勝利で見せた伊賀らしい戦い方を、次節以降も継続したい。

なお、この試合で竹島加奈子がリーグ戦通算100試合出場を達成。積極的な攻撃参加と粘り強い守備で、節目の一戦でも存在感を示した。

順位表

第19節の結果、岡山湯郷Belleは勝点27で7位を維持。伊賀FCくノ一三重は勝点32で5位を維持した。

※第19節終了時点。オルカ鴨川FC対朝日インテック・ラブリッジ名古屋は未消化のため、チームごとに消化試合数が異なります。

過去5試合:勝利 引き分け 敗戦

順位
(前節)
チーム名勝点試合数勝分負得点失点得失点過去5試合
1(1)静岡SSUボニータ391912345114+37
2(2)朝日インテック・ラブリッジ名古屋351810533918+21
3(3)オルカ鴨川FC32189542614+12
4(4)ヴィアマテラス宮崎32199553326+7
5(5)伊賀FCくノ一三重32199552518+7
6(6)ニッパツ横浜FCシーガルズ30199373428+6
7(7)岡山湯郷Belle27198382933-4
8(8)愛媛FCレディース25197482435-11
9(10)スフィーダ世田谷FC22196492832-4
10(9)ASハリマアルビオン20195591927-8
11(11)日体大SMG横浜131941141953-34
12(12)VONDS市原FCレディース101931151241-29

次節に向けて

岡山湯郷Belle

次節、岡山湯郷Belleは再びホームで、首位の静岡SSUボニータを迎える。

前回対戦では0-4で敗戦。
湯郷も得意のパスワークで相手陣内へ進み、押し込む時間帯を作ったものの、決定機を十分に生かせず、静岡の攻撃力の前に4失点を喫した。

次節のポイントは、守備の整理と相手最終ラインの背後を狙う攻撃になるだろう。
第18節でニッパツ横浜FCシーガルズが静岡を1-0で破った試合では、前線からの積極的なプレッシャーと、相手最終ラインの背後を狙う動きが効果を発揮していた。

湯郷にも国吉花吏埜、岸波美采といったスピードと推進力のある選手がいる。
前線への素早い配球と背後への動き出しを増やし、静岡の守備陣に後方への警戒を強いることができれば、相手の攻撃参加を制限することにもつながる。

一方で、今節のように相手に押し込まれた際、どの位置でボールを奪い、どのように前線へつなぐのかという課題も残る。
首位との対戦だからこそ、守備で後手に回ることなく、自分たちからアクションを起こす時間を増やしたい。

伊賀FCくノ一三重

伊賀FCくノ一三重は、ホームに10位のASハリマアルビオンを迎える。
第9節の前回対戦では、ハリマに押し込まれる時間帯もあったが、守備陣が粘り強く対応。複数の選手が関わるサイド攻撃から平田ひなのが決勝点を挙げ、1-0で勝利している。

ハリマは今節、愛媛FCレディースに0-3で敗れた。今シーズンのハリマは試合によって内容に波があり、厳しい戦いが続いている。
それでも、千葉園子の技術、川﨑咲耶のスピードに加え、南條里緒や今蔵綾乃といった選手たちもいる。

伊賀としては、相手の個人技を警戒しながら、今節のように豊富な運動量と球際の強さで主導権を握りたい。
特に、最前線の平田を起点とした攻撃、唐沢や増田のサイドからの仕掛け、そしてセットプレーは引き続き得点源となる。

今節の勝利で連敗を止めた伊賀。
わずかに残された優勝の可能性をつなぎ、少しでも上位に迫るために、次節も勝点3が求められる。

リソース

チーム紹介

岡山湯郷Belle
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