2026プレナスなでしこリーグ1部は第19節。全22節のリーグ戦は残り4試合となり、残留争いも重要な局面を迎えた。
開幕14連敗を喫したVONDS市原FCレディースだったが、第15節の引き分けを境にチーム状態が上向き、中断明けは3連勝。前節には、3位のオルカ鴨川FCを2-0で破った。
第18節終了時点で最下位の12位ながら、勝点は10。11位・日体大SMG横浜との勝点差を3まで縮め、自動降格圏からの脱出を目指していた。
一方、10位のスフィーダ世田谷FCは勝点19。第17節に2位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋を破ったものの、前節は日体大SMG横浜に2-3で敗戦。下位との勝点差を広げるためにも、勝利が欲しい一戦だった。
第8節の前回対戦では、堀江美月と内田美鈴の得点により世田谷が2-0で勝利している。
好調のVONDSがホームで連勝を伸ばすのか。それとも世田谷が再び勝点3を手にするのか。残留争いの行方にも関わる一戦となった。
1部残留をかけた両チームの一戦は、互いに攻撃を仕掛ける接戦となったが、より多くの決定的な場面を作った世田谷に軍配が上がった。
VONDSは堀江美月の高さと内田美鈴の速さ・強さに対策を講じていたものの、両選手の働きを抑え切れず、周囲の選手にも決定機を作られてしまった。
一方のVONDSも粘り強い守備と櫻庭琴乃を中心としたカウンターで対抗。しかし、チャンスを得点につなげられず、82分にコーナーキックから田口茉亜紗に決勝点を許した。
この記事の要点
- 世田谷の攻撃陣がVONDSの守備を揺さぶる。 堀江美月と内田美鈴が相手の警戒を集める中、北川心子らも積極的に攻撃へ関与。
- VONDSは粘り強い守備とカウンターで対抗。 櫻庭琴乃を中心に攻撃を展開したが、決定機を生かせず。
- 田口茉亜紗の決勝ゴールで世田谷が勝利。 82分にコーナーキックのこぼれ球を押し込み、VONDSの連勝を3で止めた。
試合情報
試合展開
VONDSは、ボール保持時に3バックを土台とする3-4-3で攻撃を組み立てる。
#7佐藤寿音と#24増原遥花が両サイドで高い位置を取り、前線では#10櫻庭琴乃が攻撃の中心を担った。ボールを失った際には両サイドの選手が下がり、5バックで守備の安定を図った。
対する世田谷は、#9堀江美月を最前線に配置。#13内田美鈴らがその周囲でプレーしながら、#2根本彩夏と#15篠原沙耶も積極的に攻撃参加した。
ボールを持たない場面では選手が中央を締める一方、攻撃に転じれば両サイドを広く使う。この攻守の切り替えが、VONDSの守備にどのような影響を与えるかが注目点となった。
互いの攻撃の中心を警戒した攻防
試合序盤、世田谷は#9堀江美月をロングボールのターゲットに据え、攻撃の起点を作ろうとした。
堀江が競り合ったボールに#13内田美鈴や#16北川心子が反応し、ゴールへ向かう。一方のVONDSは、堀江の高さと内田の突破力を警戒して中央を固め、簡単には前進を許さなかった。
VONDSも守るだけではない。
ボールを奪うと#10櫻庭琴乃を起点に攻撃を展開。#7佐藤寿音と#24増原遥花が高い位置へ進出し、世田谷の守備陣を押し下げた。

互いに相手の中心選手へ厳しく対応する中、世田谷は攻撃の選択肢を広げていく。
堀江や内田が中央で相手DFの注意を引きつける一方、北川と#8加藤沙彩が周囲のスペースを活用。さらに#2根本彩夏と#15篠原沙耶も攻撃に加わり、中央からサイドへと攻撃の方向を変えながらチャンスをうかがった。
特に北川は、守備では自陣深くまで戻り、ボールを奪えば再び前線へ走るなど、攻守の両面で存在感を発揮した。
ただし、試合は世田谷が一方的に攻める展開ではなかった。
VONDSもコーナーキックなどから相手ゴールへ迫り、拮抗した攻防が続く。互いに得点を奪えず、前半は0-0で終了した。
双方に訪れた決定機
後半に入ると、VONDSが攻撃の圧力を強めた。
両サイドの佐藤と増原が積極的に前進し、#9宮本春花も攻撃に関与。前半以上にシュートまで持ち込む場面を増やしていく。
それでも、先に決定的な場面を作ったのは世田谷だった。
相手陣内でのスローインから根本がクロスを送り、ゴール前にボールがこぼれる。これに北川が反応してボレーシュートを放ったが、クロスバーを直撃。先制点には至らなかった。

VONDSも反撃する。
中盤でボールを奪ってショートカウンターに転じると、櫻庭が前を向いてボールを運び、右サイドの宮本へ展開。宮本のクロスに#27木須みそらが頭で合わせたものの、シュートはGK大塚美緒の正面だった。
さらに世田谷は、VONDSのクリアミスを拾った堀江がシュートを放つ。GKが前へ出ていたためゴールは無人となっていたが、シュートはポストに阻まれた。
互いに決定機を作りながらも、スコアは動かない。
終盤には北川が相手最終ラインの裏へ抜け出し、GK山田二千華と1対1になる場面もあった。しかし、山田が前へ飛び出してシュートを防ぎ、VONDSはゴールを守った。
田口茉亜紗が試合の均衡を破る
迎えた82分、世田谷がついに先制する。
右コーナーキックを篠原沙耶がゴール前へ送ると、北川心子が右足でシュート。VONDSの選手が体を張って防いだものの、ボールを完全にはクリアできなかった。
そのこぼれ球を#10田口茉亜紗が左足でシュート。
ボールはゴールネットを揺らし、世田谷が先制した。
流れの中では決め切れなかった世田谷だったが、セットプレーで生まれた得点機会を逃さなかった。
増田のシュートはポスト、VONDSは追いつけず
1点を追うVONDSは、最後まで攻撃を続けた。
89分には櫻庭がボールを保持して時間を作り、宮本へ展開。宮本のパスから、途中出場の#18増田沙美亜が最終ラインの裏へ抜け出した。
増田は右足でシュートを放ったが、ボールはポストを直撃。土壇場での同点ゴールは生まれなかった。
VONDSはさらに攻撃を仕掛けたものの、世田谷が最後まで1点を守り切り、0-1で試合終了。
VONDSの連勝は3で止まり、世田谷が貴重な勝点3を手にした。
総括
両チームとも相手の攻撃の中心となる選手を警戒した試合だったが、その中でも決定機は生まれた。
世田谷は、堀江美月と内田美鈴だけで攻撃を完結させなかった。
堀江が最前線で相手DFを引きつけ、内田が中央と周辺のスペースを動く。その周囲では北川心子、加藤沙彩、さらには根本彩夏と篠原沙耶も攻撃に関与し、VONDSに対応を迫った。
一方のVONDSも、櫻庭琴乃を起点とした素早い攻撃や、両サイドからの仕掛けで得点機会を作っている。
シュート数はともに8本。コーナーキックはVONDSの方が多く、数字の上でも一方的な試合ではなかった。
それでも、試合を決めたのは世田谷だった。
攻撃に厚みを持たせながらチャンスを作り、最後はセットプレーのこぼれ球を田口が押し込んだ。
双方が決定機を逃した接戦において、ゴール前で迎えた好機を得点につなげられたかどうか。その差が、最終的な勝敗を分けた。
VONDS市原FCレディース
VONDSは敗れたものの、開幕から続いた苦しい時期と比較すれば、チームとしての戦い方が整理されてきている。
この試合でも、堀江と内田を警戒しながら中央を固め、世田谷の攻撃に粘り強く対応。GK山田の好守もあり、流れの中からは得点を許さなかった。
攻撃でも、櫻庭を起点にしたカウンターだけでなく、両サイドの積極的な前進や、宮本の攻撃参加からシュートまで持ち込んでいる。
ただ、守備の集中力を維持しながら戦えた一方で、得点にはつながらなかった。
世田谷に櫻庭を警戒される中、他の選手をどのように生かすか。両サイドからの仕掛けやセットプレーを、さらに得点へ結びつけたいところだ。

また、決勝点につながったコーナーキックでは、こぼれ球を処理し切れなかった。
残留争いの直接的なライバルを追う状況だけに、攻守ともに最後の局面での精度が問われる。
守備は安定してきている。選手も戦えている。次は、流れの中で相手の守備を崩すための共通認識を、チーム全体でさらに深めたい。
残り3試合。VONDSが目指すのは、11位に浮上して入替戦への出場権を獲得することだ。勝点3ポイント差で追う日体大を逆転するためにも、残された試合で一つでも多くの勝点を積み上げたい。
スフィーダ世田谷FC
前節の日体大戦では、試合開始直後と後半開始直後に失点した世田谷。しかし今節は、守備におけるリスク管理の改善が見られた。
自陣の低い位置では無理にパスをつながず、必要に応じて大きくクリアしたり、タッチラインの外へ逃がしたりすることで、守備陣形を立て直す時間を確保していた。
終盤には増田沙美亜に決定機を許したものの、無失点で試合を終えたことは、残り3試合に向けて重要な収穫となった。

世田谷で特に印象的だったのが、北川心子の働きだ。
守備では最終ライン付近まで戻って相手の攻撃に対応し、攻撃に転じると中盤の組み立てに関わりながら前線まで進出する。
この試合ではクロスバー直撃のボレーシュートに加え、終盤にはGKとの1対1も迎えた。そして、決勝点の直前にもゴール前でシュートを放ち、田口の得点につながる場面に関与している。
堀江と内田に相手の警戒が集まる中、北川が広い範囲で攻守に貢献したことは、世田谷の攻撃を支える大きな要素だった。
また、根本と篠原の積極的な攻撃参加も、中央に守備を集めるVONDSに対して効果を発揮した。
残り3試合、今節で見せたリスク管理を次節以降も徹底し、得点ランキング上位に名を連ねる堀江・内田を中心に高い攻撃性能を発揮して勝点を積み上げ、最終順位をどこまで上げることができるか。
順位表
2026年9月27日時点で、VONDS市原FCレディースは勝点10で12位のまま、VONDSの残り試合は3試合となり、11位を追いかける厳しい戦いが続く。
一方、世田谷は勝点を22へ伸ばして9位に浮上。自動降格を回避することが確定したものの、入替戦の可能性は残されている。
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 39 | 19 | 12 | 3 | 4 | 51 | 14 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 35 | 18 | 10 | 5 | 3 | 39 | 18 | +21 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 26 | 14 | +12 | |
| 4(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 32 | 19 | 9 | 5 | 5 | 33 | 26 | +7 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 32 | 19 | 9 | 5 | 5 | 25 | 18 | +7 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 30 | 19 | 9 | 3 | 7 | 34 | 28 | +6 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 27 | 19 | 8 | 3 | 8 | 29 | 33 | -4 | |
| 8(8) | 愛媛FCレディース | 25 | 19 | 7 | 4 | 8 | 24 | 35 | -11 | |
| 9(10) | スフィーダ世田谷FC | 22 | 19 | 6 | 4 | 9 | 28 | 32 | -4 | |
| 10(9) | ASハリマアルビオン | 20 | 19 | 5 | 5 | 9 | 19 | 27 | -8 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 19 | 4 | 1 | 14 | 19 | 53 | -34 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 10 | 19 | 3 | 1 | 15 | 12 | 41 | -29 |
次節に向けて
VONDS市原FCレディース
次節、VONDS市原FCレディースはアウェーでニッパツ横浜FCシーガルズと対戦する。第9節の前回対戦では4失点を喫し、0-4で敗れている。
ニッパツは現在5連勝中。シーズン終盤に入り、従来の強みである縦への速さを最大限に生かしながら、中盤の強度と攻守の切り替えの速さを高めている。
前線からの連動したハイプレスで相手の自由を奪い、ボールを奪えば素早くゴールへ向かう。第19節の日体大SMG横浜戦でも前半に2得点を奪い、後半の反撃をしのいで勝利した。
VONDSにとって、ニッパツの前線からのプレスと、ボールを失った直後の素早い攻守の切り替えへの対応が重要となる。
現在のVONDSは前回対戦時とは異なる守備の安定感を見せている。積み上げてきた守備組織が、5連勝中のニッパツを相手にどこまで通用するか。
残り3試合、自動降格圏からの脱出を目指すVONDS。最低でも勝点1を持ち帰るため、積み上げてきた堅い守備を土台に、好調のニッパツに対抗できるか。
スフィーダ世田谷FC
スフィーダ世田谷FCは、ホームにオルカ鴨川FCを迎える。第9節の前回対戦では、内田美鈴と堀江美月を中心とする攻撃を抑え込まれ、無得点。後半78分に決勝点を許し、0-1で敗れている。
攻撃陣の得点力と迫力を持つ世田谷だが、前回同様、オルカは堀江の高さと内田の突破力を警戒し、強固な守備で対抗してくるだろう。
今節のVONDS戦では、堀江と内田が相手の守備を引きつけることで、他の選手たちによる攻撃に厚みを生み出した。
この攻撃の幅を、オルカに対しても発揮できるかが注目される。
また、今節はメンバー登録のなかった谷口真由が復帰できれば、中盤の安定感と球際の強度を高める選択肢も増える。中盤で競り負けず、堀江と内田が前を向いてボールを受けられる状況を作れれば、世田谷の得点機会は増えるはずだ。
一方、攻撃的な布陣を維持するためには、守備への切り替えも欠かせない。今節は、相手の攻撃を受けた際に無理につながず、ボールをクリアして守備陣形を立て直すなど、リスク管理の改善も見られた。
オルカを相手にも攻守のバランスを維持しながら、積極的に攻撃を仕掛けたい。
リソース
チーム紹介


第19節 振り返り

第19節 個人的ベストイレブン

フルマッチLIVE配信
第19節全試合ハイライト動画
公式記録


