2026プレナスなでしこリーグ1部は第21節。全22節のリーグ戦も残り2試合となり、残留争いは大詰めを迎えている。
勝点13で11位につける日体大SMG横浜が、7位の岡山湯郷Belleをホームに迎えた。
なでしこリーグ1部は、原則として12位が2部へ自動降格、11位が2部上位チームとの入替戦に進む。
日体大にとっては、最下位のVONDS市原FCレディースとの残留争いを制し、自動降格を回避するために勝点3が欲しい一戦だった。
一方の湯郷は前節、首位の静岡SSUボニータに先制されながらも終盤に追いつき、1-1の引き分けに持ち込んだ。粘り強い戦いを見せて迎えた今節、勝利を目指す。
両チームの前回対戦では、試合終盤に山本葉桜が決勝点を挙げ、日体大が1-0で勝利している。
先手を取ったのは湯郷だった。しかし、日体大は先制を許しても積極的な姿勢を崩さず、交代選手の活躍もあって89分からの2得点で逆転勝利。
日体大は最終順位11位を確定させ、2部への自動降格を回避した。
この記事の要点
- 日体大はロングボールと前線からの激しいプレスで湯郷のパスワークを制限。先制を許しても主導権を握る時間が長かった。
- 湯郷は国吉花吏埜の突破から西郡茉優が先制。しかし、日体大の圧力を受け、追加点を奪えないまま終盤に逆転を許した。
- 途中出場の佐藤実玖と山本葉桜が89分、90+1分に連続得点。日体大は劇的な逆転勝利で11位を確定させ、自動降格を回避した。
試合情報
試合展開
日体大の積極的な立ち上がり、湯郷は国吉の突破から先制
試合開始早々、日体大が決定機を迎える。
前線の#11浅香美結が相手DFを背負いながらクリアボールを収め、左サイドの#9柴原希保につなぐ。
柴原は持ち前のスピードで一気にペナルティエリアへ進入。左足を振り抜くが、シュートは惜しくもゴールポストの外側を叩いた。
日体大の狙いは明確だった。
最終ラインからロングボールを送り、湯郷の守備ラインの背後を狙う。相手にボールを跳ね返されてもセカンドボールを回収し、攻撃を継続する。守備でも前線から積極的にプレスを仕掛け、湯郷の低い位置からの組み立てを制限した。
特に警戒していたのは、精度の高いキックで攻撃の起点となる湯郷の#25香椎彩香。香椎に自由を与えず、相手のパスワークを乱し、高い位置でボールを奪って決定機につなげたいという意図が見えた。
一方の湯郷は、日体大のプレスをかわしながらボールを前進させ、#23国吉花吏埜や#24岸波美采らのスピードとドリブルを活かしてゴールに迫る。

その狙いが実を結んだのは9分だった。
自陣からのビルドアップで、香椎が左サイドの国吉へ縦パスを通す。
国吉はそのままドリブルでペナルティエリア内の深い位置まで進入。日体大の最終ラインが国吉の突破を警戒して下がったところで、中央へ折り返した。
中央で待ち受けていたのは、日体大の最終ラインと中盤の間に入り込んでいた#11西郡茉優。西郡は迷わず右足を振り抜き、ゴール隅へシュートを突き刺した。
湯郷にとっては、得意とするパスワークとサイドの突破を組み合わせた見事な先制点だった。
一方の日体大にとっては、積極的な入りからチャンスを作っていただけに、警戒していた形で失点を許したことが痛かった。
先制を許しても攻撃姿勢を崩さない日体大
先制に成功した湯郷だったが、そこから試合の主導権を握ることはできなかった。
日体大は失点後も前線からのプレスを緩めず、むしろ球際の強度を高めていく。
ロングボールを湯郷の最終ラインが跳ね返しても、そのセカンドボールを日体大が回収。再び前線へボールを送り込む展開が繰り返された。
湯郷としては、日体大が前がかりになることで生まれた背後のスペースを使いたかったが、中盤で自由にボールを扱える機会が限られる。
ボールを奪っても低い位置からの組み立てを強いられ、得意のテンポの良いパスワークを十分に発揮できなかった。
日体大はボールを失っても素早く奪い返し、再び攻撃を仕掛ける。
湯郷は1点のリードを保っていたものの、押し込まれる時間が長く、試合の流れを引き寄せられないまま前半を終えた。
後半、両チームの修正と交代選手が試合に変化をもたらす
後半開始から、両チームは攻撃面に変化を加えた。
湯郷は#19沖田有由を一列前に上げ、#23国吉花吏埜を中央に配置。#24岸波美采をサイドに置き、さらに右サイドバックの#3梶山朋恵が積極的に攻撃参加することで、日体大の圧力に対抗しようとした。
中盤でボールを保持できた場面では、前線への動き出しが増え、攻撃に関わる選手の数も増加。前半よりも前進の選択肢を確保しようとする姿勢が見えた。
一方の日体大は、ハーフタイムに#16鬼頭こはなに代えて#13山本葉桜を投入。#11浅香美結とともに前線で攻撃を組み立てる。

この山本の投入が、日体大の攻撃に変化をもたらした。
山本は前線から中盤まで幅広く動き、巧みなボールコントロールで相手のマークを外した。そして自らシュートを狙うだけでなく、サイドからクロスを供給するなど、日体大の攻撃に新たな選択肢を加えた。
さらに72分には#21佐藤実玖を投入。
佐藤はスピードを活かした抜け出しで攻撃に加わり、右足のアウトサイドで折り返したボールから山本が決定機を迎える。
湯郷の守備陣が身体を投げ出してブロックすると、こぼれ球に浅香が反応。最後まで押し込もうとしたが、シュートは惜しくも枠を外れた。
日体大は決定機を活かし切れない時間が続いたものの、攻撃の勢いは衰えなかった。
89分、佐藤実玖の同点弾 そして山本葉桜が逆転ゴール
試合は湯郷の1点リードのまま終盤へ。
日体大の猛攻に耐えていた湯郷だったが、89分に試合が大きく動く。
湯郷のゴールキックからのセカンドボールを、中盤まで下がった#13山本葉桜が苦しい体勢ながら前方へつなぐ。
これを受けた#21佐藤実玖は相手選手をかわして中央へドリブル。GKの位置を確認すると、左足を振り抜いた。
放たれたシュートは湯郷のゴールネットに突き刺さり、日体大が土壇場で同点に追いついた。

追いつかれた湯郷は勝ち越しを狙う。
#22片山真鞠のクロスに岸波がヘディングで合わせたが、シュートは枠を捉えられなかった。
そして後半アディショナルタイム、日体大に再び決定機が訪れる。
自陣へ戻った山本葉桜がプレスバックでボールを奪うと、#11浅香美結が前方へ運ぶ。一度は湯郷の守備に阻まれるが、佐藤実玖が競り合ってボールを残した。
これを#10本田悠良が拾い、前方へ抜け出した山本葉桜へパス。
山本はワンタッチで右足を振り抜き、GKの逆を突くシュートをゴールに流し込んだ。
90+1分、日体大がついに逆転。
89分からのわずかな時間で試合をひっくり返した日体大。
11位確保を懸けた重要な一戦で、最後まで攻め続けた日体大が劇的な逆転勝利をつかみ取った。
総括
先制した湯郷に対し、日体大は最後まで攻撃姿勢を崩さず、終盤の2得点で逆転した。
この試合を分けたのは、単なる決定力の差だけではない。
日体大がロングボールとハイプレスを徹底し、前線からの守備と攻撃を連動させ続けたこと。そして湯郷が、先制後も相手の圧力から抜け出せず、自分たちの強みである細かなパスサッカーで試合を進められなかったことが大きかった。
日体大は前がかりになることで中盤の守備に負担を抱え、先制点もそのスペースを突かれる形となった。
それでも戦い方を大きく変えることなく、最終ラインの選手も積極的に前へ出て相手に自由を与えないことで、チーム全体のコンパクトさを維持した。
その姿勢が試合終盤まで続いたことが、逆転劇につながったように見受けられた。
日体大SMG横浜
この試合の日体大からは、なんとしても勝利をつかみ取ろうとする気迫が伝わってきた。
ボールを前へ運べば、シュートやクロスで攻撃を終える。ボールを失えば、すぐに奪い返す。
そうしたプレーを90分間通して徹底したことが、この試合の大きな特徴だった。
中盤で相手に数的優位を作られる場面もあったが、最終ラインの選手が積極的に前へ出て、湯郷のボール保持者に自由を与えなかった。
守備をしながら次の攻撃につなげる、チーム全体の連動性が際立っていた。
そして、逆転勝利に大きく貢献したのが後半から出場した山本葉桜だ。
山本は前線だけでなく中盤にも顔を出し、巧みなボールコントロールと動き出しで攻撃を活性化させた。
同点ゴールでは佐藤実玖へのパスを送り、逆転ゴールでは自らのプレスバックを起点として、最後は本田悠良との連係から決勝点を決めた。

特に逆転ゴールは素晴らしかった。
試合終了間際、しかも自動降格の危機が懸かる重要な一戦。大きなプレッシャーがかかる中でも慌てず、向かってくるDFとGKの動きを見極めてシュートを決め切った。
前回対戦でも決勝点を挙げた山本は、今シーズンの湯郷との2試合でいずれも勝利を決めるゴールを記録。大一番での起用に応える見事な活躍だった。
さらに、同点ゴールを決めた佐藤実玖の働きも見逃せない。
72分から出場すると、積極的に相手の背後を狙い、攻撃に推進力をもたらした。89分の得点でも、相手をかわして運びながらGKの位置を確認し、冷静に左足で仕留めている。
交代選手が試合の流れを変え、結果に直結する仕事を果たした。

その土台を支えていたのは、先発から前線を走り続けた浅香美結だろう。
浅香自身にゴールは生まれなかったものの、プレス、プレスバック、相手の背後への抜け出しを繰り返し、前線の強度を維持した。
終盤になっても運動量とスピードが落ちず、何度も相手ゴールに迫る。
日体大が最後まで攻撃の勢いを失わなかったのは、浅香が前線で相手守備陣に圧力をかけ続けたことも大きい。
そして、この勝利の意味は非常に大きい。
同日に行われた別会場の試合で、最下位のVONDS市原FCレディースが伊賀FCくノ一三重と1-1で引き分けた。
この結果、VONDSの12位が確定。日体大は勝点16で11位を確定させ、2部への自動降格を回避した。
昨シーズンに続いて入替戦に臨むことになるが、少なくとも1部残留への可能性をつないだ。
シーズン終盤に見せている粘り強さと攻守の連動性は、入替戦に向けても大きな武器になるはずだ。
岡山湯郷Belle
湯郷の先制点は見事だった。
序盤、日体大のロングボールとハイプレスに苦しみながらも、香椎彩香の縦パス一本で相手の圧力を突破。国吉花吏埜がドリブルで守備陣を引きつけ、西郡茉優が生まれたスペースを使って決め切った。
湯郷が持つ攻撃面の魅力が凝縮された得点だった。
しかし、その後は日体大の圧力に苦しんだ。
前線からのプレスを回避して攻撃につなげる場面もあったが、試合全体ではシュート5本、コーナーキック0本。攻撃機会を十分に確保できなかったことが数字にも表れている。
特に気になったのは、試合終盤の判断だった。
89分に追いつかれた湯郷は、再び勝ち越しを狙って前線にボールを送り込んだ。しかし、日体大が勢いを増していたこともあり、攻撃に出る一方で、ボールを失った際のリスクも大きくなっていた。
もちろん、残り時間が少ない中で勝点3を狙うこと自体は間違いではない。ただ、相手の圧力を受ける場面では、無理につなごうとせず、安全にボールを処理する判断も必要だったのではないだろうか。
湯郷にとっては、試合を通じて自分たちのパスワークを十分に発揮できなかったことに加え、終盤の難しい時間帯をどう戦うかという課題も残った。

多くの選手が動いた中断期間明けの湯郷は、試合によって内容が大きく変わっている。
第18節には上位のヴィアマテラス宮崎を相手に5得点を挙げ、第20節には首位・静岡SSUボニータに先制されながらも追いついた。
その一方で、第19節の伊賀FCくノ一三重戦や今節のように、先制しながらも相手の圧力に苦しみ、試合の主導権を握り切れないこともある。
相手の戦い方によって難しい展開になるのは当然だが、パスワークによる前進を優先する場面と、安全にボールを処理する場面の使い分けは改善したい。
最終節では、自分たちの攻撃の良さを発揮するだけでなく、相手の勢いをどのように抑えるかも重要になるだろう。
順位表
第21節を終えて、日体大SMG横浜は勝点16で11位を維持し、最終順位11位が確定した。
岡山湯郷Belleは7位を維持している。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 41 | 21 | 12 | 5 | 4 | 51 | 14 | +37 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 39 | 21 | 11 | 6 | 4 | 42 | 20 | +22 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 39 | 21 | 11 | 6 | 4 | 29 | 15 | +14 | |
| 4(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 36 | 21 | 10 | 6 | 5 | 29 | 20 | +9 | |
| 5(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 35 | 21 | 10 | 5 | 6 | 38 | 30 | +8 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 32 | 21 | 9 | 5 | 7 | 38 | 32 | +6 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 28 | 21 | 8 | 4 | 9 | 31 | 36 | -5 | |
| 8(9) | スフィーダ世田谷FC | 26 | 21 | 7 | 5 | 9 | 33 | 35 | -2 | |
| 9(8) | 愛媛FCレディース | 26 | 21 | 7 | 5 | 9 | 27 | 41 | -14 | |
| 10(10) | ASハリマアルビオン | 20 | 21 | 5 | 5 | 11 | 20 | 31 | -11 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 16 | 21 | 5 | 1 | 15 | 22 | 57 | -35 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 12 | 21 | 3 | 3 | 15 | 14 | 43 | -29 |
過去5試合:勝利 引き分け 敗戦
次節に向けて
日体大SMG横浜
日体大SMG横浜は最終節、アウェーで伊賀FCくノ一三重と対戦する。
前回対戦では自陣からのビルドアップを狙われて3失点を喫し、0-3で完敗している。
日体大は最終節の勝敗に関わらず11位が確定しているが、入替戦に向けた重要な一戦となる。
シーズン中盤まで取り組んでいたビルドアップ中心の戦いから、守備を重視しつつ素早く前進する戦い方へと比重を移したことで、試合内容が安定し始め、結果にもつながってきた。
対する伊賀は、今節の引き分けで優勝の可能性こそなくなったものの、最終節の結果次第では3位に浮上する可能性を残している。
リーグ3位に与えられる賞金100万円も懸かるだけに、伊賀も勝利を目指して積極的に攻めてくるだろう。
日体大にとって重要なのは、湯郷戦で見せた強度を継続できるかどうかだ。
相手のビルドアップを制限するプレス、球際の激しさ、そしてボールを奪った後の素早い前進。
前回対戦からどれだけ成長した姿を見せられるかが注目される。
苦しいシーズンとなったが、最終節でも1部で戦う力を示し、自信を持って入替戦へ臨みたい。
岡山湯郷Belle
岡山湯郷Belleは最終節、ホームに2位の朝日インテック・ラブリッジ名古屋を迎える。
前回対戦ではセットプレーから2失点を喫し、0-2で敗れている。
首位・静岡SSUボニータが勝点41、2位・名古屋が勝点39。
名古屋が逆転優勝するためには、最終節で湯郷に勝利することが最低条件となる。
中断明けの名古屋は内容と結果が安定しない時期もあったが、前節の静岡との直接対決では高い強度と優れた技術を見せ、昨シーズン王者の底力を発揮した。
湯郷は名古屋と同じく、低い位置からのビルドアップをベースとしたパスワークを得意としている。
しかし、真正面からボール保持を争う展開になれば、名古屋のプレスと多彩な攻撃に苦しむ可能性もある。
湯郷にとって参考になるのは、奇しくも今節の日体大が自分たちに対して見せた戦い方かもしれない。
相手のビルドアップに積極的に圧力をかけ、ボールを奪えば素早く前進する。ただし、名古屋は個々の技術とパスワークに優れているため、無理にプレスを仕掛ければ、その背後を使われる危険もある。
自分たちのパスワークにこだわるだけでなく、相手の戦い方や試合の状況に応じて、攻撃の速度や守備の位置を調整することが重要になるだろう。
今節は先制しながらも逆転負けを喫した湯郷。
最終節は優勝を争う名古屋をホームに迎える。相手の優勝争いに大きな影響を与える一戦で、今シーズンの集大成となる戦いを見せたい。
リソース
チーム紹介


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