2026プレナスなでしこリーグ1部 第17節。リーグ6連敗中で11位の日体大SMG横浜が、4位のヴィアマテラス宮崎をホームに迎えた。
日体大は前節、最下位のVONDS市原FCレディースに1-2で敗れ、相手になでしこリーグ1部初勝利を献上。シーズンを通して戦い方の修正を続けているものの、結果につながらない苦しい状況が続いている。
一方の宮崎も、前節は開始早々に先制しながら、その後に退場者を出して数的不利となり、ASハリマアルビオンに1-3で逆転負け。順位を4位へ落とし、首位・静岡SSUボニータとの勝点差は6に広がった。
両チームの前回対戦は第6節。前半だけで4得点を奪った宮崎が4-2で勝利している。
戦前は宮崎優位とも考えられた一戦だったが、ピッチ上で主導権を握ったのは日体大だった。
高い位置に最終ラインを設定し、中盤でボールを奪って素早く前進。#8安積和季を中心に中央から宮崎の守備を崩し、サイドからも何度も決定機を作った。
それでも、勝点3を手にしたのは宮崎だった。
GK#50後藤優香が日体大の決定機を阻み続け、最後はエース#9土屋佑津季が決勝点。試合内容では苦しみながらも、勝負どころを仕留める力で2-1の勝利をつかんだ。
この記事の要点
- 日体大は#8安積和季を中心に中盤で優位を作り、今季でも屈指の攻撃的な内容を見せた
- 宮崎は25分に#13川添ゆず、73分に#9土屋佑津季が得点。苦しい時間帯でも勝負どころを逃さなかった
- GK#50後藤優香が複数の決定機を阻止。宮崎が2-1で勝利し、優勝争いに踏みとどまった
試合情報
試合展開
日体大が中盤で優位、安積和季を起点に前進
宮崎は、登録上はDFの#21坂本理保をアンカーに上げた4-1-3-2気味の配置に見えた。
右に#22山本さゆり、左に#13川添ゆず、中央に#8嘉数飛鳥。左CFの#4永野桃子はタッチライン際まで流れ、後方からのパスを引き出す。
永野が左サイドで起点となり、クロスから#9土屋佑津季や山本がフィニッシュを狙う形が、宮崎のひとつの攻撃パターンになっていた。
対する日体大は、#7髙橋光莉と#13山本葉桜が相手の右サイドを積極的に攻略。そして中央では、この日先発した#8安積和季が大きな存在感を放った。
安積は細かなタッチと方向転換で相手を外しながら前進し、自らシュートを狙うだけでなく、最終ラインの背後へ質の高いパスを供給する。

日体大がこれまでの試合と大きく異なったのは、チーム全体をコンパクトに保てていたことだった。
最終ラインを高く設定し、中盤との距離を縮めることでセカンドボールを回収。奪った後は安積を経由して前線やサイドへ素早く展開する。
一方の宮崎は、坂本がアンカーの位置から前へ出た際に周囲のカバーが間に合わず、最終ラインとの間にスペースが生まれる場面が散見された。
そこを日体大に使われ、中盤でプレスを外されると一気にゴール前まで運ばれる。
安積から最終ラインの背後へ抜け出した山本葉桜がポストを直撃するシュートを放つなど、決定機の数では日体大が上回る展開となった。
25分に川添ゆずが先制、3分後に安積和季が同点弾
試合内容では苦しんでいた宮崎だったが、先にスコアを動かした。
25分、スローインから永野が左サイドでボールを受け、ゴール前へクロスを供給する。
日体大守備陣が身体を張ってボールをかき出そうとするものの、ゴール前で混戦に。最後は#13川添ゆずが倒れ込みながら押し込み、宮崎が先制した。
きれいに守備網を崩したゴールではない。それでもゴール前へ人数を送り込み、最後までボールへ足を伸ばしたことで生まれた先制点だった。

しかし、日体大もすぐに反撃する。
失点からわずか3分後の28分。スローインから宮崎陣内へ押し込み、一度はクリアされたボールを再び回収する。
最後は#8安積和季。
ペナルティーエリア付近でボールを持つと、細かなフェイントで相手との間合いを作り、左足を振り抜く。鮮やかなシュートがゴールへ突き刺さり、日体大が1-1に追いついた。
序盤から攻撃の中心となっていた安積が、自らの一撃で試合を振り出しに戻した。

後半も日体大が決定機、後藤優香が宮崎を救う
後半に入っても、先に決定機を作ったのは日体大だった。
クリアボールを拾った#13山本葉桜が個人技で最終ラインを突破し、前へ出たGKの位置を見てロングレンジからループシュートを狙う。
これにGK#50後藤優香が反応。わずかにボールへ触れて軌道を変え、シュートはポストに当たった。
さらにセットプレーの流れから#28岡千尋がヘディングシュートを放つが、これもポスト。
安積がゴール前から放ったシュートも後藤がパンチングで防ぎ、日体大が何度も宮崎ゴールへ迫った。

中盤で相手のプレスを外し、中央から前進する日体大。両サイドも高い位置を取り、攻撃が単発で終わらない。勝ち越しゴールが生まれても不思議ではない時間帯だった。
宮崎にとっては苦しい展開だったが、最後のところで後藤が立ちはだかる。日体大が作り出した決定機を、GKとゴールポストが食い止め続けた。
73分、土屋佑津季。エースの一撃で宮崎が勝ち越す
日体大が押し込む時間が続く中、次の1点を奪ったのは宮崎だった。
73分、飲水タイム明けに得たフリーキック。
#3國生乃愛が左足でゴール前へ送ったボールに、#9土屋佑津季が飛び込む。相手との身体のぶつけ合いを制しながら頭で合わせ、ゴールネットを揺らした。
前節にリーグ戦通算50得点を達成したエースが、チームが最も苦しい時間帯で大きな仕事を果たした。

それでも日体大は安積を中心に攻撃を続ける。
中央から宮崎の中盤と最終ラインの間へ入り、何度もゴール前まで運ぶものの、最後のシュート精度がわずかに足りない。
一方、リードを奪った宮崎は終盤になると永野が最前線へ移り、再び攻撃を活性化させた。
運動量が落ちてもおかしくない時間帯だったが、永野は前線でボールを引き出し続ける。そのプレーを起点に途中出場の#17小澤寛がポスト直撃のシュートを放つなど、日体大を自陣へ押し戻す時間も作った。

最後まで同点ゴールを目指した日体大だったが、宮崎はGK後藤を中心にゴール前で耐え切った。
日体大SMG横浜 1-2 ヴィアマテラス宮崎。
日体大は内容面で大きな改善を見せながらも7連敗。一方の宮崎は苦しい90分を勝ち切り、優勝争いに踏みとどまるための勝点3をアウェーで手にした。
総括
この試合を内容だけで振り返れば、日体大が優勢だった時間は長かった。
最終ラインを高く保ち、中盤でボールを奪い、安積を経由して素早く前進する。これまでの試合で見られた後方に重心がかかる時間は減り、相手陣内でプレーする時間と決定機を増やした。
しかし、サッカーでは決定機の数がそのまま勝敗になるわけではない。
宮崎は25分と73分、いずれも飲水タイム直後の時間帯に得点。苦しい試合でもセットプレーやゴール前の混戦から得点を奪い、GK後藤が最後の砦となった。
「内容で上回った日体大」と「勝負どころを仕留めた宮崎」。
両チームの現在地が表れた1-2だった。
日体大SMG横浜
開幕節から今節まで見てきた中では、個人的には今季の日体大で最も内容の良い試合だった。
これまで低い位置に押し込まれると、最終ラインと中盤の距離が広がり、ボールを奪っても前線まで運べない試合が少なくなかった。
しかし今節は最終ラインを高く設定し、中盤との距離をコンパクトに保つ。そこでボールを奪うと、時間をかけず前線やサイドへ展開した。

その中心にいたのが#8安積和季だった。
安積は宮崎の薄くなった中盤で何度も前を向き、ドリブル、ラストパス、シュートのすべてで攻撃をけん引した。
周囲の選手にとっても、中央でボールを預ければ前進してくれる選手がいる意味は大きい。髙橋光莉や山本葉桜がサイドや背後へ走る時間も作りやすくなり、日体大の攻撃に連続性が生まれていた。
この試合に限れば、両チームのフィールドプレーヤーの中でも安積のパフォーマンスは際立っていた。

だからこそ、勝点を取れなかったことは痛い。
特に修正したいのはゴール前の守備だ。
セットプレーを含め、ボールに意識が集中した瞬間に相手を見失う場面が残った。宮崎で最も警戒したい土屋、縦への推進力を持つ永野に対して自由を与える場面もあった。
攻撃面でこれだけの内容を作れるのであれば、あとはゴール前で1点を守れるか。
残留争いを勝ち抜くためにも、今節の攻撃を継続しながら守備の最後の部分を整えたい。
ヴィアマテラス宮崎
「なんとか勝ち切った」。
この表現が最も近い試合だった。
攻撃的な配置で試合へ入ったものの、前へ人数をかけたことで中盤の守備強度が十分に保てず、最終ラインの前にスペースを残した。最終ラインを構成したメンバーがこれまでと違ったことも、要因のひとつだろう。
特に坂本が前へ出た際のカバーが間に合わず、そこでセカンドボールを回収されると安積に前を向かれる。
日体大にはドリブルで局面を変えられる選手が多い。それだけに、中盤で相手を捕まえ切れず、最終ラインが1対1で対応する回数を増やしたことは危険だった。

それでも勝てた最大の要因のひとつが、GK#50後藤優香だろう。
日体大に何度もゴールへ迫られながらシュートストップで踏ん張り、山本のループシュートにも触れて軌道を変えた。ポストにも救われたとはいえ、後藤が最後のところで崩れなかったことが勝点3につながった。
そしてもうひとりが#9土屋佑津季。
前節にリーグ戦通算50得点へ到達したストライカーは、この日もチームが最も苦しい時間帯で決勝点を奪った。
内容が悪い試合でも、一度のチャンスを得点へ変えてチームを勝たせる。
優勝を争うチームにとって、エースに求められる仕事を果たした。

ただし、逆転優勝を狙うのであれば、今節の守備内容をそのままにすることはできない。
前へ出る人数と後方に残る人数、中盤でボールを失った際のリスク管理、最終ラインとの距離。
攻撃力を生かすためにも、後方の安定感をもう一度整理したい。
順位表
第17節の全試合終了待ち
次節に向けて
日体大SMG横浜
次節、日体大SMG横浜はスフィーダ世田谷FCとのアウェー戦に臨む。
前回対戦は第7節。日体大が山本葉桜と安部美琴のゴールで一時逆転したものの、内田美鈴の2得点と終盤の北川心子のゴールによって、世田谷が3-2で勝利した。
世田谷には内田美鈴、堀江美月という得点力の高いアタッカーがいる。ゴールへ向かう判断が速く、前を向かせれば少ないプレー数でもフィニッシュまで持ち込める。
日体大としては、まず中央でこの2人へ簡単にボールを入れさせないことが重要になる。
一方、世田谷は両サイドバックが高い位置を取る。今節のように中盤でボールを奪い、安積が前を向いた瞬間に山本や柴原が最終ラインの背後へ走ることができれば、十分にチャンスは作れるはずだ。
今節見せた積極的な戦い方を、次は勝点につなげたい。
ヴィアマテラス宮崎
ヴィアマテラス宮崎は、ホームに岡山湯郷Belleを迎える。
前回対戦は第7節。土屋佑津季の先制点、相手のオウンゴール、鈴木妃花の追加点で宮崎が3-1で勝利した。
中断期間を経て、湯郷はチーム編成が大きく変化し、再構築を進めている。
第16節ではオルカ鴨川FCに1-5で敗れ、守備の整理には大きな課題を残した。一方、高い位置では狭い場所を巧みなパスワークでボールを動かしながら前進する力はあり、相手に自由を与えれば押し込まれる時間を作られる。
宮崎としては、今節露呈した中盤と最終ラインの間を修正し、後方の安定感をベースに前から圧力をかけたい。
リーグ戦は残り5試合。
王座奪還を目指す宮崎にとって、ここからはひとつの取りこぼしが順位を大きく左右する。
リソース
チーム紹介


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