2026プレナスなでしこリーグ1部は第18節。全22節のリーグ戦は、残り4試合となった。
順位表を見る限り、上位グループの顔ぶれは大きく変わっていない。しかし、実際の試合内容と直近の成績を見れば、リーグの勢力図には明らかな変化が生じている。
今節は、上位5チームのうち、2位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋を除く4チームがすべて敗戦。首位・静岡SSUボニータはニッパツ横浜FCシーガルズに0-1で敗れ、3位・オルカ鴨川FCは最下位のVONDS市原FCレディースに0-2で敗れた。
さらに、4位・ヴィアマテラス宮崎は岡山湯郷Belleに1-5で大敗。5位・伊賀FCくノ一三重も愛媛FCレディースとの打ち合いに敗れている。
一方、ニッパツは4連勝、そのすべてがクリーンシート。開幕14連敗を喫したVONDSも、第15節の初勝点獲得を経て3連勝を飾った。
中断期間を挟んだ第16節以降、上位クラブと中位・下位クラブの力関係は大きく変化し始めている。
年間順位だけでは捉えきれない、リーグの地殻変動が表れた第18節を振り返る。
ダッシュボード
第18節の試合結果
| 対戦カード | 結果 | 超概要コメント | リンク |
|---|---|---|---|
| 静岡 vs ニッパツ | 0-1 | 岡百々花が決勝点。ニッパツが首位を完封して4連勝。 | 試合レビュー |
| ハリマ vs 名古屋 | 1-2 | 名古屋が2点を先行し、ハリマの反撃を振り切って4試合ぶりの白星。 | 試合レビュー |
| 伊賀 vs 愛媛 | 2-3 | 伊賀が2度追いつくも、愛媛が谷口清夏の決勝点で接戦を制す。 | 試合レビュー |
| VONDS vs オルカ | 2-0 | VONDSが千葉ダービーを完封で制し、3連勝。 | 試合レビュー |
| 世田谷 vs 日体大 | 2-3 | 日体大が前後半の立ち上がりに得点を重ね、7連敗を止める。 | 試合レビュー |
| 宮崎 vs 湯郷 | 1-5 | 湯郷が宮崎のビルドアップを狙い撃ちし、5得点で快勝。 | 試合レビュー |
第18節で見えたリーグ全体の動き
第18節最大の特徴は、上位グループの相次ぐ敗戦である。
首位・静岡がニッパツに敗れ、オルカはVONDSに完封負け。宮崎は湯郷に5失点、伊賀も愛媛に競り負けた。
上位5チームで唯一勝利した名古屋は、勝点35に伸ばし、首位・静岡との勝点差を1ポイントに縮めた。一方、3位・オルカと4位・宮崎は勝点32、5位・伊賀は勝点29のまま。上位5チームの順位自体は変わっていない。
しかし、中断明けの第16〜18節に限れば、別の景色が見えてくる。
第16〜18節の獲得勝点
中断明け3試合の獲得勝点
2026プレナスなでしこリーグ1部|第16〜18節
※ 第16〜18節の成績のみを集計。第15節の延期分を含めるとニッパツは4連勝です。
現在の上位5チームが中断明け3試合で挙げた成績は、合計5勝2分8敗。対照的に、ニッパツとVONDSはともに3戦全勝。しかも、現在の上位5チームは第16節以降、それぞれ6位以下のクラブから敗戦を喫している。
シーズン全体の順位が示す力関係と、直近の試合結果から見える力関係は、必ずしも一致しなくなっている。
上位5チーム、全チームが下位に敗戦
2026なでしこリーグ1部|第16〜18節の対戦結果
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1静岡第18節0-1ニッパツ 6位
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2名古屋第16節0-3ニッパツ 6位第17節0-2世田谷 10位
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3オルカ第18節0-2VONDS 12位
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4宮崎第16節1-3ハリマ 9位第18節1-5湯郷 7位
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5伊賀第17節0-2ニッパツ 6位第18節2-3愛媛 8位
上位5クラブすべてが、3試合の間に6位以下から敗戦。
※ 順位はすべて第18節終了時点。スコアは左側(上位クラブ)から見た得点-失点。計8試合。
ニッパツとVONDS、異なる位置から始まった快進撃
この変化を象徴しているのが、ニッパツとVONDSである。
ニッパツ横浜FCシーガルズは第15節の延期分となった世田谷戦から、名古屋、伊賀、そして首位・静岡を連続で撃破。4連勝のすべてを無失点で終えた。
前線からのプレスと中央を締める守備、そしてボールを奪ってから縦へ進む速さがかみ合っている。名古屋、伊賀、静岡という上位勢を3試合続けて無失点で破ったことは、注目に値する。
さらに劇的なのがVONDS市原FCレディースだ。
開幕14連敗から、第15節の名古屋戦で初勝点を獲得。中断明けには日体大、愛媛、そして3位・オルカを破って3連勝を達成した。
依然として12位ではあるものの、現在の戦いぶりを年間順位だけで判断することは難しい。前線からの守備、コンパクトな陣形、中盤での球際の強さが改善され、それが結果につながり始めている。
VONDSの3連勝は残留争いにも影響を与えている。11位・日体大との勝点差は3。第18節では日体大も勝利したため差は縮まらなかったが、残留争いの行方は予断を許さない状況となった。
上位勢が抱える課題も表面化
一方、上位グループでは、それぞれの課題が表面化している。
静岡はニッパツのプレスとコンパクトな守備を崩し切れなかった。横山久美を中心とする攻撃力は依然として高いが、相手が中央を固めた際に、複数の攻撃経路を作れるかが問われている。
宮崎は直近3試合で4得点9失点。第16節のハリマ戦には開始早々の退場という特殊事情があったが、湯郷戦では低い位置からのビルドアップを狙われ、失点を重ねた。
オルカも守備の安定感を維持している一方、VONDS戦では相手のプレスに苦しみ、無得点に終わった。
名古屋はハリマ戦で4試合ぶりの勝利を挙げたものの、相手の前線からの圧力に対するビルドアップの安定性には改善の余地を残している。
約2か月の中断期間には、上位クラブからWEリーグへの移籍も相次いだ。名古屋の橘麗衣、静岡の万力安純、オルカの松尾菜月など、主力選手の離脱による影響も無視できない。
もっとも、現在の結果を移籍だけで説明することはできない。各クラブの対戦相手への分析と対策が進み、上位クラブが従来の戦い方だけでは勝ち切れない試合が増えていることも、第18節までの結果から読み取れる。
年間成績では依然として上位5チームが先行している。しかし、試合単位では順位による力関係の差が縮まっている。
これこそが、2026シーズン終盤に起きているリーグの地殻変動ではないだろうか。
順位変動と順位表(第18節終了時点)
第18節では、上位7チームの順位に変動がなかった。
首位・静岡は勝点36のまま。唯一勝利した2位・名古屋が勝点35まで伸ばし、両チームの差は1ポイントに縮まった。
3位・オルカ、4位・宮崎は勝点32、5位・伊賀は勝点29から伸ばせず。6位・ニッパツと7位・湯郷がともに勝利し、伊賀との差を2ポイントまで縮めた。
中位グループでは、愛媛が10位から8位へ浮上。ハリマが9位、世田谷が10位へ後退した。
11位・日体大と12位・VONDSはともに勝利し、順位は変わらなかった。
| 順位 (前節) | チーム名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 得点 | 失点 | 得失点 | 過去5試合 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1(1) | 静岡SSUボニータ | 36 | 18 | 11 | 3 | 4 | 49 | 13 | +36 | |
| 2(2) | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 | 35 | 18 | 10 | 5 | 3 | 39 | 18 | +21 | |
| 3(3) | オルカ鴨川FC | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 26 | 14 | +12 | |
| 4(4) | ヴィアマテラス宮崎 | 32 | 18 | 9 | 5 | 4 | 32 | 24 | +8 | |
| 5(5) | 伊賀FCくノ一三重 | 29 | 18 | 8 | 5 | 5 | 21 | 17 | +4 | |
| 6(6) | ニッパツ横浜FCシーガルズ | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 32 | 27 | +5 | |
| 7(7) | 岡山湯郷Belle | 27 | 18 | 8 | 3 | 7 | 28 | 29 | -1 | |
| 8(10) | 愛媛FCレディース | 22 | 18 | 6 | 4 | 8 | 21 | 35 | -14 | |
| 9(8) | ASハリマアルビオン | 20 | 18 | 5 | 5 | 8 | 19 | 24 | -5 | |
| 10(10) | スフィーダ世田谷FC | 19 | 18 | 5 | 4 | 9 | 27 | 32 | -5 | |
| 11(11) | 日体大SMG横浜 | 13 | 18 | 4 | 1 | 13 | 18 | 51 | -33 | |
| 12(12) | VONDS市原FCレディース | 10 | 18 | 3 | 1 | 14 | 12 | 40 | -28 |
得点ランキング(第18節終了時点)
| 順位 | 得点数 (今節得点) | 氏名 | チーム名 |
|---|---|---|---|
| 1 | 14 | 横山 久美 | 静岡SSUボニータ |
| 2 | 13 | 内田 美鈴 | スフィーダ世田谷FC |
| 3 | 10 | 土屋 佑津季 | ヴィアマテラス宮崎 |
| 4 | 9(+1) | 堀江 美月 | スフィーダ世田谷FC |
| 4 | 9 | 室井 胡心 | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
| 4 | 9 | 藤原 愛里 | 朝日インテック・ラブリッジ名古屋 |
| 7 | 8(+1) | 岡 百々花 | ニッパツ横浜FCシーガルズ |
| 7 | 8 | 三輪 玲奈 | 静岡SSUボニータ |
| 7 | 8 | 中島 咲友菜 | 静岡SSUボニータ |
| 7 | 8 | 千葉 園子 | ASハリマアルビオン |
各対戦カード振り返り
ニッパツが首位・静岡を完封、4連勝を達成
ニッパツは前線からのプレスと背後を狙う速い攻撃を徹底。33分、静岡のバックパスに素早く反応した岡百々花が先制点を奪った。
その後も中央を固め、横山久美へのパスには素早く寄せて対応。静岡も反撃したが、GK松井里央の好守もあり、最後までゴールを割ることができなかった。
ニッパツは第15節の延期分から4連勝、4試合連続クリーンシート。名古屋、伊賀、静岡という上位勢を3試合続けて無失点で破り、好調を維持している。
名古屋が4試合ぶりの白星、首位との差を1に縮める
第15節から3試合連続無得点と苦しんでいた名古屋が、4試合ぶりの勝利をつかんだ。
32分、上田真子がPKを決めて先制。後半には河合野乃子がコーナーキックから追加点を奪い、2点のリードを得た。
しかし、ハリマも65分に小池快が1点を返して反撃。終盤には今蔵綾乃のシュートがポストを直撃するなど、最後まで緊張感の続く展開となった。
名古屋は接戦を2-1で制し、首位・静岡との勝点差を1ポイントに縮めた。一方、失点場面では最終ラインでの横パスを相手に狙われ、ボールを奪われた。以前から見られるビルドアップ時の課題が、今節も失点につながった。
伊賀が2度追いつくも、愛媛が競り勝つ
伊賀と愛媛の一戦は、両チーム合わせて5得点が生まれる接戦となった。
愛媛が桜井由衣香の得点で先制すると、伊賀は後半に島野美央のゴールで同点。しかし、その3分後に安齋結花が勝ち越し点を奪った。
伊賀も82分に増田玲那が再び追いついたが、85分には途中出場の谷口清夏が決勝点を決め、愛媛が3-2で勝利した。
伊賀はシュート11本、コーナーキック13本を記録しながらも、2度の同点直後に失点。攻撃で押し込んだ時間を勝点につなげられなかった。
一方の愛媛は、終盤の交代策が決勝点に結びつき、10位から8位へ浮上した。
VONDSがオルカを完封、千葉ダービーを制して3連勝
開幕14連敗を喫したVONDSが、ついに上位グループのオルカも撃破した。
雨のなかで行われた千葉ダービー。VONDSは前線から積極的にプレスをかけ、オルカの低い位置でのパス交換を制限した。
18分、櫻庭琴乃のシュートがクロスバーを直撃したこぼれ球を増原遥花が押し込んで先制。39分にはショートコーナーから小堀菜緒がヘディングで追加点を奪った。
後半はオルカも選手交代と配置変更によって押し返したが、VONDSはGK山田二千華を中心に最後まで無失点で守り切った。
これでVONDSは中断明け3連勝。対するオルカは、中断前から続いていた6試合無敗がストップした。
雨天のピッチコンディションに加え、VONDSのプレスを受ける状況で、オルカが低い位置からのビルドアップにこだわったことも試合の流れに影響したと考えられる。
日体大が世田谷を振り切り、7連敗を止める
残留争いに関わる両チームの直接対決は、日体大が3-2で制した。
日体大は開始4分、浅香美結が先制。さらに西村萌の得点でリードを広げ、前半の立ち上がりから世田谷を苦しめた。
世田谷も前半終了間際に篠原沙耶が1点を返したが、後半開始直後には髙橋光莉が追加点。日体大が再び2点差とした。
その後、世田谷は堀江美月のゴールで追い上げたが、日体大が最後までリードを守り切った。
日体大は世田谷の高い最終ラインの背後を繰り返し狙い、得点機を生み出した。7連敗を止め、8試合ぶりの勝利を手にしている。
一方の世田谷は、守備陣の積極的な攻撃参加と引き換えに生まれる背後のスペース管理をどう両立させるかが課題として残った。
湯郷が宮崎に5得点、ビルドアップを狙い撃ち
第18節で最も大きな得点差が生まれたのは、宮崎と湯郷の一戦だった。
第16節、オルカに5失点を喫していた湯郷。今節は宮崎の低い位置からのビルドアップを狙い、前線から積極的にプレスを仕掛けた。国吉花吏埜が最終ラインへ圧力をかけ、周囲の選手も連動してパスコースを制限。宮崎の後方でのミスを誘発し、奪ったボールを得点につなげた。
高い位置でボールを奪って素早くゴールへ向かい、前半から得点を重ねる。宮崎も一時は1点差に迫ったが、湯郷は再び突き放し、最終的に5-1で快勝した。
宮崎は第16節のハリマ戦で開始早々に退場者を出して敗れ、第17節の日体大戦では苦しみながら勝利。そして今節は5失点を喫した。
直近3試合で4得点9失点と、シーズン前半に比べて守備面の不安定さが目立つ。優勝争いに踏みとどまるためには、低い位置でのボール保持を狙われた際の対応が問われる。
一方の湯郷は、中断明けの大敗から修正して上位クラブに快勝。7位ながら、上位争いの行方に影響を与える存在となった。
次節の注目カード
第19節では、上位4チームによる2つの直接対決が予定されていた。
4位・宮崎が首位・静岡をホームに迎える一戦。そして、3位・オルカと2位・名古屋の対戦である。
ただし、オルカと名古屋の試合は、台風25号の影響により9月27日の開催が中止となった。代替日程は未定である。
ヴィアマテラス宮崎 vs 静岡SSUボニータ
第19節最大の注目カードは、4位・ヴィアマテラス宮崎と首位・静岡SSUボニータの上位直接対決である。
前回対戦となった第8節は、静岡が1-0で勝利した。
宮崎は今節、湯郷に1-5で大敗。中断明け3試合では1勝2敗、4得点9失点と、優勝争いを考えるうえで厳しい結果が続いている。
一方の静岡も、ニッパツに0-1で敗れ、首位を維持しているものの2位・名古屋との勝点差はわずか1ポイント。今節に続く敗戦は避けたいところだ。

宮崎にとっては、前線からの守備強度を維持しながら、低い位置でボールを失わない工夫が必要になる。
静岡は横山久美を中心とした攻撃力を生かしつつ、宮崎の運動量と強度に対して、長短のパスをどう使い分けるかがポイントだ。
第19節終了時点で残り3試合。優勝争いの行方を大きく左右する直接対決となる。
オルカ鴨川FC vs 朝日インテック・ラブリッジ名古屋
3位・オルカ鴨川FCと2位・朝日インテック・ラブリッジ名古屋の上位直接対決も、優勝争いを考えるうえで重要なカードとなる。
前回対戦となった第8節は、名古屋の猛攻を受けつつも低い位置での横パスを奪ったオルカが少ないチャンスを決めて1-1引き分けだった。
しかし、両チームとも中断期間を挟んで主力選手が移籍し、戦い方の再構築が求められている。
オルカは松尾菜月がINAC神戸レオネッサへ移籍したものの、最終ラインの連動性を維持してきた。しかし今節はVONDSのプレスに苦しみ、0-2で敗戦。攻撃面でも、得点を奪えない試合が続けば優勝争いから後退しかねない。

名古屋は橘麗衣の移籍後、第15〜17節で3試合連続無得点。今節はハリマに2-1で勝利したものの、守備から攻撃への切り替えやビルドアップには改善の余地を残した。
オルカにとっては、首位との差4ポイントを縮めるためにも、勝点3が欲しい直接対決。名古屋も静岡を勝点1差で追っており、優勝争いから後退しないために重要な一戦である。
第18節 個人的ベストイレブン


